写真オークション結果(2014年ロンドン)全年同様の驚き少ない平均的な落札結果

例年5月に開催されるロンドンのアート写真オークション。今年はササビーズとフリップスのみの開催となった。クリスティーズはパリコレに合わせて7月にパリで開催する予定とのこと。

アートの中では低価格帯と考えられているアート写真。さらにロンドンでは目玉となる高額の貴重作品の出品はあまりない。今回も大きなサプライズはなく、絵にかいたような普通の結果だった。

5月7日、ササビーズ・ロンドンでは複数委託者による148点のオークションが開催された。

落札率はほぼ60%とあまり良くなかった。売り上げはほぼ落札予想価格の真ん中となる1,851,575ポンド(約3.14憶円)だった。
最高額落札は、19世紀のJohn Beasley Greeneの写真アルバム”Album of Egypt and Algeria, 1852-1856″。落札予想価格上限150,000ポンドを大きく上回る482,500ポンド(約8200万円)で落札された。
リチャード・アヴェドンの11枚からなるファッション・ポートフォリオの”Avedon, Paris, 1978″は、落札予想価格下限近くの134,500ポンド(約2286万円)で落札。これは、1979~1980年ころにコレクションされた貴重な初期作品だ。
アーヴィング・ペンの”Anemone/Anemone Coronaria: Irna Blue, New York, 2006″ は、落札予想価格上限18,000ポンドを大きく上回る69,700ポンド(約1184万円)で落札された。これはエディション9のピグメント・プリント。ペンのダイ・トランファーでない花のカラー作品としては驚きの高額落札だ。

ちなみにカタログ表紙の掲載写真は、アダム・フスの”Untitled, 2007″。1点もののフォトグラム作品。落札予想価格上限近くの37,500ポンド(約637万円)で落札されている。

5月8日にフリップス・ロンドンで開催された複数委託者によるアート写真オークションもほぼ予想通りの結果だった。出品数は142点、落札率は約68%、総売上高は落札予想価格のほぼ下限値の合計1,189,625ポンド(約2.02億円)。ただし、中価格帯から高額価格帯作品の落札がやや弱かった。全般的に、クラシックのファッション写真、カラーによる現代アート系作品の動きが鈍く感じられた。

最高額落札は、アーウィン・ブルメンフェルドのソラリゼーションによるポートレートの”Manina, Paris, 1937″。落札予想価格上限30,000ポンドを大きく上回る80,500ポンド(約1368万円)で落札された。
ウィリアム・エグルストンのダイトランスファー作品の”Untitled (Near Minter City and Glendora, Mississippi), 1970″は、落札予想価格範囲内の62,500ポンド(約1062万円)で落札されている。

(1ポンドは170円で換算)