今年のアート写真オークションはいよいよ今週からスタートする。
2月15日に、米国の中堅業者スワン(Swann Auction Galleries)で“Icons & Images:Photographs & Photobooks”が例年通り開催される。アート写真、ヴァナキュラー写真、フォトブックなど、ほとんどが1万ドル以下の低価格帯作品332点が出品される。今回はフォトジャーナリズムが特集されており、ルイス・ハイン (1874-1940) の作品が数多く出品されている。
高額落札が予想されるのは、カタログの表紙を飾るハインの代表作“Mechanic at Steam Pump in Electric Power House, Circa 1921”。落札予想価格は7万~10万ドル(770~1100万円)。ややブームが去った感があるレア・フォトブックはわずか19点の出品にとどまっている。
春前のアート市場は閑散期となる。オークション・ハウスは新しいコレクターを獲得するために新たな切口でアート作品やコレクタブルの紹介を試みる。今年はササビーズが積極的で、ロンドンとパリでユニークな取り組みを行う。
ササビーズ・ロンドンでは、2月16日までのオンライン・オークションでエロティック・アートに特化した“Erotic Art Online”を開催。
絵画、彫刻、ドローイング、ヌード系写真など78点が出品。ハーブ・リッツ、パトリック・デマルシェリエ、ミッシェル・コンテ、ヘルムート・ニュートン、ボブ・カルロス・クラーク、ベッティナ・ランス、荒木経惟などが含まれる。
2月15日には、“Erotic: Passion & Desire”オークションを開催。こちらにはやや高めの評価の、リチャード・アヴェドン、ロバート・メイプルソープ、ヘルムート・ニュートン、マン・レイ、トーマス・ルフなどのヌード写真が他分野の作品とともに出品される。
ササビーズ・パリは、お求めやすい価格帯の現代アート、家具などのデザイン、アート写真をまとめ販売する“NOW!”を2月28日に開催する。
続いてササビーズ・ロンドンでは、英国にゆかりのある低価格帯の、絵画、版画、アート写真、陶器などを取り扱う“Made in Britain”を3月20日に開催。
一方、フィリップス・ニューヨークは、高額セクターを含む幅広い価格帯の写真表現を含む現代アート系作品のオークション“NEW NOW”を2月28日に開催する。このシーズンに行われる新機軸のオークションは徐々に定着しつつあるようだ。
定例のニューヨークの大手業者のアート写真オークションは、世界最大のフォト・フェア“The Photography Show”が4月5日から8日に開催されるのに合わせて開催される。クリスティーズが4月6日、フィリップスが4月9日、ササビーズが4月10日を予定している。
実は今年になってからクリスティーズでは昨年来から続いているMoMAコレクションのオンラインセールが行われている。
1月には“MoMA: Bill Brandt”、“MoMA: Garry Winogrand”が開催。こちらの分析は近日中にお届けする予定だ。
(為替レート 1ドル/110円で換算)