2018年アート写真市場 ジャンル横断のアート・オークションが開催!

今年のアート写真オークションはいよいよ今週からスタートする。

215日に、米国の中堅業者スワン(Swann Auction Galleries)“Icons & Images:Photographs & Photobooks”が例年通り開催される。アート写真、ヴァナキュラー写真、フォトブックなど、ほとんどが1万ドル以下の低価格帯作品332点が出品される。今回はフォトジャーナリズムが特集されており、ルイス・ハイン (1874-1940) の作品が数多く出品されている。
高額落札が予想されるのは、カタログの表紙を飾るハインの代表作“Mechanic at Steam Pump in Electric Power House, Circa 1921”。落札予想価格は7万~10万ドル(770~1100万円)。ややブームが去った感があるレア・フォトブックはわずか19点の出品にとどまっている。

Swann Auction Galleries NY Catalogue

春前のアート市場は閑散期となる。オークション・ハウスは新しいコレクターを獲得するために新たな切口でアート作品やコレクタブルの紹介を試みる。今年はササビーズが積極的で、ロンドンとパリでユニークな取り組みを行う。

ササビーズ・ロンドンでは、216日までのオンライン・オークションでエロティック・アートに特化した“Erotic Art Online”を開催。

Sotheby’s London

絵画、彫刻、ドローイング、ヌード系写真など78点が出品。ハーブ・リッツ、パトリック・デマルシェリエ、ミッシェル・コンテ、ヘルムート・ニュートン、ボブ・カルロス・クラーク、ベッティナ・ランス、荒木経惟などが含まれる。

215日には、“Erotic: Passion & Desire”オークションを開催。こちらにはやや高めの評価の、リチャード・アヴェドン、ロバート・メイプルソープ、ヘルムート・ニュートン、マン・レイ、トーマス・ルフなどのヌード写真が他分野の作品とともに出品される。

ササビーズ・パリは、お求めやすい価格帯の現代アート、家具などのデザイン、アート写真をまとめ販売する“NOW!”228日に開催する。

Sotheby’s Paris NOW!

続いてササビーズ・ロンドンでは、英国にゆかりのある低価格帯の、絵画、版画、アート写真、陶器などを取り扱う“Made in Britain”320日に開催。

一方、フィリップス・ニューヨークは、高額セクターを含む幅広い価格帯の写真表現を含む現代アート系作品のオークション“NEW NOW”228日に開催する。このシーズンに行われる新機軸のオークションは徐々に定着しつつあるようだ。

定例のニューヨークの大手業者のアート写真オークションは、世界最大のフォト・フェア“The Photography Show”45日から8日に開催されるのに合わせて開催される。クリスティーズが46日、フィリップスが49日、ササビーズが410日を予定している。

実は今年になってからクリスティーズでは昨年来から続いているMoMAコレクションのオンラインセールが行われている。
1月には“MoMA: Bill Brandt”“MoMA: Garry Winogrand”が開催。こちらの分析は近日中にお届けする予定だ。

(為替レート 1ドル/110円で換算)