“Heliotropism”のメッセージを読み解く
異常豪雨や酷暑もテーマとつながっている!

ギャラリーでは、テリ・ワイフェンバックとケイト・マクドネルの二人展の“Heliotropism”を開催している。
会場でよく聞かれるのは、ケイト・マクドネルの作品タイトル“Lifted and Struck”の意味。そして、作品解説に書かれている、ネイチャー・ライティング系作家のアニー・ディラードの著作「ティンカー・クリークのほとりで」の世界観を写真で表現するの意味だ。これらが難解なのは私どもも承知しているので、色々なところで解釈を書いたり話したりしている。たぶん、それを読んでの質問でもあるだろう。
風景写真では、文脈の中で写真家のメッセージを読み解くことがほとんどないだろう。それは日本だけでもない。ある外国人来場者は海外でもテーマ性を明確に提示する自然風景がモチーフの写真は少ないと言っていた。多少は過去の解説の繰り返しになるが、いま一度ケイト・マクドネル作品の説明をしておこう。

Median, 2009 ⓒ Kate MacDonnell

作品タイトル“Lifted and Struck”は、彼女が本作で表現しようとしているアニー・ディラードの著作「ティンカー・クリークのほとりで」から引用されている。

I had been my whole life a bell, and never knew it until at that moment I was lifted and struck.
(“Pilgrim at Tinker Creek” Annie Dillard(1974年刊))

ここでのbellとは、広がった逆カップ状の鐘、もしくは鈴のようなものだとろう。“Lifted”は“Lift”の過去形・過去分詞で、持ち上げられた。“struck”は“strike”の過去形・過去分詞で鳴らされたという意味になる。

全文を直訳すると、
私のいままでの全人生はベルでした、しかし持ち上げられて鳴らされるまでそれに気づきませんでした、

となる。まるで禅問答のようだ。海外の英文による解説を探してみた。かなり有名な文章なのだろう、英語圏のウェブサイトに、膨大な数の個人的意見や解説が発見できた。解説自体も本文同様にかなり難解なものが多かった。その中で私が反応したのは以下のような解説だった。

“あなたが求めることを止めたとき、世界はあなたが探していたものしか見せてくれない事実に気付いた”というもの。これをさらに意訳してみると“私たちは自分の見たいものしか見ていない”、言い方を変えると“自分のフレームワークを通してしか世界を見ていない”のようなことではないか。

実はこの文章はいきなり登場するのではない。これは、女の子がティンカー・クリークのほとりで「内側から光る木」を発見したことがきっかけで起こった反応なのだ。女の子は作家自身と重なるのだろう。「内側から光る木」は原文では“the tree with the lights in it”となる。調べてみると、雷が木に落ちると、木の幹の中が燃えることがあるそうだ。どちらにしても極めてまれに起こる現象、自分の今まででの人生で出会ったことがないシーンに直面したことで、作者は自らを直感的に客観視できたのではないかと想像できる。以前にも述べたが、立花隆が”宇宙からの帰還”で書いている、宇宙から暗闇の中に浮かぶ地球をみた宇宙飛行士が直感的に神の存在を感じた、のような経験ではないだろうか。
これまでの説明で、マクドネルの、アニー・ディラードの「ティンカー・クリークのほとりで」の世界観を写真で表現するの意味が多少は理解できるようになるのではないか。

以前に、彼女は既存のどんなシーンにもとらわれないヴィジョンを持っており、いまの宇宙や自然界のどこかでで発生しているが、誰も気付かない、見たことがようなシーンを探し求めている、と解説した。それこそが、彼女にとっての、森の中で「内側から光る木」を探す行為なのだ。前回も書いたが、今回の展示作品はそのような一種の求道の旅の中で「はっ、ドキッ」とする瞬間を撮影したものなのだろう。しかしマクドネルは、まだディラードの「内側から光る木」のような強烈なインパクトがあり、意識が瞬間で裏返るようなシーンには出会ってないのだろう。本作は彼女の現在進行形のライフワークで、これからも「内側から光る木」を探し求める旅は続くのだ。彼女にとってその撮影旅行自体が作品であって、それに意味を見出しているのだろう。ぜひ、上記の作品解説を含んだうえで、いまいちど“Lifted and Struck”を見てみてほしい。

本展は、二人の写真で重層的なテーマを見る側に提供している。マクドネルは、人生で出会ったことがないシーンを探し求める。これは宇宙を集中して観察する行為に他ならない。これこそは西洋社会の自然観を象徴しているといえるだろう。
一方で、ワイフェンバックの”The May Sun”は俳句のような写真作品。伊豆の山河で自然に神々しさを感じるという、古来の日本の自然観が反映されている。
西洋と古来の日本の自然観を対比させているのは、神が創造した自然を人間が自由にコントロールできるという考えの背景にある西洋の自然観、つまりその延長上の化石燃料を燃やして経済成長を続けることが、いまや地球の温暖化などの顕在化で持続できないという問題提起がある。最近の異常豪雨や酷暑は温暖化と関係があるといわれている。
しかしワイフェンバックは、単純に世界の人々は古の日本の自然観を見習うべきだとは考えていない。私たち日本人も、明治以降は自然と人間が一体という優美の美意識を忘れて、西洋の考え方を取り入れて経済成長を果たてきたのだ。彼女には、近代社会では生物と自然との関係のバランスが崩れて、一方へ傾きすぎていると認識があるのだと思う。西洋の自然観一辺倒になったので、そろそろ東洋の自然観の方への揺り戻しが必要ということだろう。
私は専門家でないので詳しくは触れないが、その背景には地球と生物は相互に関係しあいながら環境を作り上げている、という思想があると想像している。

「Heliotropism」
テリ・ワイフェンバック / ケイト・マクドネル
2018年 6月1日(金)~ 8月5日(日)
1:00PM~6:00PM/ 休廊 月・火曜日(本展では日曜も営業) / 入場無料
ブリッツ・ギャラリー
http://www.blitz-gallery.com

 

 

“BOWIE:FACES”展が名古屋に巡回決定
鋤田正義スペシャルトーク開催!

 

2017年春に東京の3会場で行い好評だった”BOWIE:FACES”展。9月に名古屋に巡回することが決定した。会場は納屋橋 高山額縁店。会期は9月8日(土)~16日(日)までとなる。

本展では、テリー・オニール、ブライアン・ダフィー、鋤田正義など7名の有名写真家による、1967年~2002年までに制作されたデヴィッド・ボウイの珠玉のポートレート、写真家とのコラボレート作品約30点を紹介する。ボウイによる9枚のアルバムのオリジナル写真、および関連するアート作品が含まれる。

参加写真家は、ブライアン・ダフィー(Brian Duffy)、テリー・オニール(Terry O’Neill)、鋤田正義(Masayoshi Sukita)、ジュスタン・デ・ヴィルヌーヴ(Justin de Villeneuve)、ギスバート・ハイネコート(Gijsbert Hanekroot)、マーカス・クリンコ (Markus Klinko)、ジェラルド・ファーンリー (Gerald Fearnley)。なお彼ら全員が、昨年春に東京展が行われたヴィクトリア&アルバート美術館の”DAVID BOWIE is”に協力している。

会場では幅広い価格帯のオリジナル・プリントを展示販売する。中心価格帯は、10~30万円。しかし憧れの鋤田正義作品も、一部の小さいサイズの作品だと、額・マット込みで約3万円から、ブライアン・ダフィーのあの有名作“アラジン・セイン”も、LPジャケットのマットサイズのエステート・プリントならで約2万円購入可能。

東京展では、初めてアート写真を購入したという人が多数いた。実際に買うかどうかは別にして、買おうと思って会場に行くと展示作品への興味が一段と増す。コレクション初心者は、提示されている写真の価格が適正なのかが判断できないだろう。まずは買うつもりになって、作品を色々と見比べて、情報を集めていくと、自分なりの相場観ができてくるのだ。販売価格が、割安、割高、適正かがなんとなくわかってくる。高額作品は、現存するエディション数、イメージの人気度、サイズなどの高くなった理由がある。まず最初は安い作品からコレクションを始めて経験を積めばよい。そのきっかけになる作品が見つかる写真展だと思う。また、経験豊富なコレクターにも、真剣に探せば、名古屋で好まれる“お値打ち感”のある作品がかなり見つかるだろう。私は週末にはだいたい会場にいる予定だ。興味ある人はぜひ声をかけてほしい。ディープな情報を提供するつもりだ。

また、デヴィッド・ボウイの“Heros”のジャケット写真で知られる鋤田正義氏を招いてスペシャルトークを開催する。鋤田氏の名古屋でのトークは今回が初めてとのことだ。“BOWIE:FACES”展・展示作品を含む、鋤田正義氏の数々の作品画像やミニ・ドキュメンタリー動画をプロジェクターにて紹介。鋤田正義の写真家キャリアの変遷 と将来の計画、デヴィッド・ボウイ撮影にまつわるエピソード、撮影と作品制作の流儀、国内外での最近の活動などについて語ってもらう予定だ。ただし、サインは会場内で販売する限定カタログのみとなる。ご本人が高齢であることと、会場の混乱を避けるためなのでどうかご理解いただきたい。販売方法は、会期前に実行委員会から発表になると思う。

・鋤田正義スペシャルトーク概要
日 時:9月8日(土)14:00~15:30(開場13:30)
会 場:電気文化会館イベントホール
定 員:200名 ※予約制、全て自由席
参加費:2,500円

詳しくは以下をご覧ください

http://www.artphoto-site.com/inf_press_bowiefaces_nagoya_talk.pdf

・写真展について

開催時期: 2018年9月8日(土)-16日(日)
9:00-19:00(日曜/12:00-19:00)

開催場所: 納屋橋 髙山額縁店2F
〒450-0003 愛知県名古屋市中村区名駅南一丁目1-17

オフィシャルサイト
http://bowiefaces.com/

2018年前期の市場を振り返る
アート写真のオークション高額落札

アート写真市場は前半のオークション・スケジュールをほぼ消化した。昨年前期と比べると、出品数は約15%減少して3488点、落札率は若干改善して69%。総売り上げは、1点の落札単価が約14%上昇したことでほぼ同じ約36億円だった。6月末までにオンライン・オークションが6回開催されているのが今年の特徴。とりあえず前半は予想通りの結果で、波乱なく無事に終了したといえるだろう。

私どもは現代アート系と20世紀写真中心のアート写真とを区別して分析している。厳密には、アンドレアス・グルスキー、ロバート・メイプルソープなどは評価額によって両方のカテゴリーに出品される。しかし、ここでは便宜上、出品されたカテゴリー別の高額落札作品のランキングを制作している。
それではアート写真オークションでの高額落札をみてみよう。

  1. ヘルムート・ニュートン
    “Panoramic Nude with Gun, Villa d’Este, Como, 1989”
    フィリップス・ロンドン、5月18日
    72.9万ポンド(1.09億円)
  2. ピーター・ベアード
    “Heart Attack City, 1972”
    フィリップス・ニューヨーク、4月9日
    60.3万ドル(約6633万円)
  3. ラースロー・モホリ=ナジ
    “Untitled, Weimar, 1923/1925”
    ヴィラ・グリーゼバッハ、5月20日
    48.75万ユーロ(約6240万円)
  4. リチャード・アヴェドン
    “Dovima with Elephants, Paris, 1955”

    クリスティーズ・ニューヨーク、4月6日
    45.65万ドル(約5021万円)
  5. ロバート・メイプルソープ
    “Double Tiger Lily, 1977”
    フィリップス・ロンドン、5月18日
    29.7万ポンド(4455円)

アート写真の上位の1位、2位、3位と5位は、すべて1点ものだとオークションハウスが判断している作品。現代アート系や絵画同様に希少性がある作品が高額になる傾向が一段と強まっている。それを考えると、4位のリチャード・アヴェドン作品は約124X101cm、エディション50点。極めて人気が高いのがわかる。90年代前半のアヴェドン存命時の価格は2,7万ドル(@130/約351万円)だった。ちなみに2010年11月のクリスティーズでは、美術館展用に特別制作された約216X166cmサイズの同作品が約84.1万ユーロ(@112/約9419万円)で落札されている。
なおダイアン・アーバス“A box of ten photographs, 1970”が、4月6日のクリスティーズ・ニューヨークにおいて79.25万ドル(約8717万円)で落札されている。しかしこれは10点のポートフォリオ・セットとなる。

現代アート系の高額売り上げ上位には、お馴染みの顔ぶれが並んでいる。

  1. リチャード・プリンス
    “Untitled (Cowboy), 1999”
    ササビーズ・ロンドン、3月7-8日
    102.9万ポンド(1.54億円)
  2. シンディー・シャーマン
    “Untitled Film Still #21A, 1978”
    ササビーズ・ロンドン、6月26-27日
    94.6万ポンド(約1.41億円)
  3. アンドレアス・グルスキー
    “James Bond Island I, II, & III, 2007”
    ササビーズ・ロンドン、6月26-27日
    67万ポンド(約1億円)
  4. アンドレアス・グルスキー
    “Avenue of the Americas, 2001”
    ササビーズ・ニューヨーク、5月16-17日
    75.9万ドル(約8349万円)
  5. デイヴィッド・ヴォイナロヴィッチ
    “Science Lesson, 1982-1983”

    クリスティーズ・ニューヨーク、5月17-18日
    70.8万ドル(約7793万円)

現代アート系ではアンドレアス・グルスキーの人気が高く、高額ベスト10に4点が入っている。これは2018年1月~4月にロンドンのヘイワード・ギャラリーで開催された英国初の回顧展による影響だと思われる。5位のデイヴィッド・ヴォイナロヴィッチ(David Wojnarowicz)は、落札予想価格上限を超える高額落札。彼は、70年~80年代のニューヨーク・アート・シーンで活躍した話題の多いアーティスト、映画製作者。写真を含むマルチジャンルの表現で知られている。写真家ピーター・ヒュージャー(1934-1987)と個人的に親しく、本人もエイズで1987年に亡くなっている。7月13日からホイットニー美術館で“David Wojnarowicz: History Keeps Me Awake at Night”が開催されることから注目されたのだろう。主要美術館での展覧会開催は、現代アート系オークションの高額セクターには確実に影響を与えているようだ。

昨年の最高額落札は、クリスティーズ・パリで11月9日に開催された“Stripped Bare: Photographs from the Collection of Thomas Koerfer”に出品されたマン・レイのヴィンテージ作品“Noire et Blanche, 1926”。約268万ユーロ(約3.63億円)。2位はアンドレアス・グルスキー。フィリップス・ロンドンで10月に開催された“20th Century & Contemporary Art”に出品された“Los Angeles, 1998-1999”の、約168万ポンド(約2.53億円)だった。

ちなみに、これらは年後半の出品作。いまのところ米国の景気は堅調だが、景気循環サイクルの最終局面との見方も根強くある。中期的には米国と中国の貿易摩擦やその影響も懸念されている。貿易戦争が激化して長期化すれば消費者心理が悪化すると思われる。2018年後半期の、高額で貴重なアート作品の出品にも影響がでてくる可能性もあるだろう。不安要素を抱えつつも、とりあえずアート写真市場は夏休み入りだ。

(1ドル/110円、1ポンド・150円、1ユーロ・128円)

2018年欧州アート写真オークション・レビュー
低価格帯分野で進行する人気・不人気の二極化

アート写真の定例オークションは、4月のニューヨーク、5月のロンドンが終わり、6月にかけて欧州で開催。欧州の経済状況は、昨年よりは弱くなったものの景気拡大傾向が続いている。しかし通商面では、EUと米国の対立が表面化しており、貿易戦争への懸念から企業業績の先行きには慎重な見方が増えている。またイタリアの政局が混迷してきており、将来的な財政悪化への懸念から国債の利回りが上昇しているのも懸念材料だろう。

Villa Grisebach lot 2062, László Moholy-Nagy, “Untitled, Weimar, 1923/1925”

5月30日にベルリンのヴィラ・グリーゼバッハ(Villa  Grisebach)、6月1日~2日にかけてケルンのレンペルツ(Lempertz)でオークションが開催された。2社合計で472点が出品され、落札率は約58%、総売り上げは167万ユーロ(約2.13億円)。低価格帯(約7500ユーロ以下)の出品が約90%だった。
最高額はヴィラ・グリーゼバッハで落札された、ラースロー・モホリ=ナジの“Untitled, Weimar, 1923/1925”。これは1点物の12.5 × 17.6 cmサイズのヴィンテージ・フォトグラム作品。落札予想価格30~50万ユーロのところ、48.75万ユーロ(約6240万円)で落札された。これはドイツのオークションで落札された最高額の写真作品とのことだ。
5月29日には、ササビーズ・パリで”Photographs Online”が開催。
低価格帯中心に57点が出品され、落札率約63%、総売り上げ約18万ユーロ(約2310万円)だった。

全体的に、ロバート・メイプルソープ、ウィリアム・クライン、ヘルムート・ニュートン、エリオット・アーウィット、杉本博司など知名度の高いアーティストの人気作は順調に落札されている。しかし、土地柄だろうか米国人アーティストの現代写真はあまり人気がない。特に知名度の低い20世紀写真の落札率は低くなっている。それらは落札予想価格は低めに設定されているのにかかわらず。コレクターの反応は鈍いのだ。欧州でも米国同様にコレクターのブランド志向の強まりを感じられる。低価格帯のなかでも、作品/アーティストの人気と不人気という、ふたつの二極化が進行しているようだ。

6月なってからニューヨークでも中堅業者の、ヘリテージ(Heritage)、ドイル(Doyle)で中低価格帯中心のオークションが開催されている。ヘリテージでは、423点が出品され、落札率は約76%、総売り上げは約135万ドル(1.48億円)だった。同社のオークションは、まるで90年代の大手のカタログを見ているような気がした。知名度が高いが、エディション数が多く、比較的低価格帯の良作が多数出品されている。ウォーカー・エバンス、エドワード・ウェストン、アンセル・アダムス、ベレニス・アボット、アンリ・カルチェ=ブレッソンなどの20世紀写真から、ホルスト、ヘルムート・ニュートン、アーヴィング・ペン、リチャード・アヴェドン、ハーブ・リッツなどの人気の高いファッション系が多数みられる。大手が積極的に取り扱わない作品がこちらに出品されている印象だ。
最高額は、アーヴィング・ペンの“Cuzco Children, Peru, December, 1948”。落札予想価格10~15万ドルのところ、9.375万ドル(約1031万円)で落札された。本作は“World in the small room”からのペンの代表作。落札予想価格の下限付近の落札と、上値がやや重たい印象だ。
一方で、ドイルは、さらに低価格帯の19~20世紀の写真作品が多く出品されている。184点が出品、落札率約82%、総売り上げ約34.9万ドル(約3839万円)だった。

6月27日には、中堅のボンハムス(Bonhams)ニューヨークによるオンライン・オークション“Photographs Online”が行われた。こちらは低価格帯中心に117点が出品されるが落札率が約29%、総売り上げ約15.1万ドル(約1661万円)にとどまった。

今後、低価格帯のオークションは開催コストが低いオンライン・オンリーに移行していくと思われる。今までは、価格帯により大手と中小業者の棲み分けが行われていた。しかし、今回のボンハムスの結果を見るに、オンライン・オークションでも、高いブランド力とマーケティング力を持つ大手がシェアーを伸ばしていく予感がする。特にクリスティーズは積極的で、オンライン・オークションでの高ブランド低価格帯作品の取り扱いを強化している。5月には“Stephen Shore : Vintage photographs”を開催。結果は、落札率約60%、総売り上げ15.9万ドル(1749万円)だった。7月9日から19日には、クリスティーズ・ニューヨークで、先日に日本で内覧会が行われたオンライン・オークションの“MoMA: Tracing Photography’s History ”の開催が予定されている。中堅のヘリテージ・ダラスは、オンラインとライブを組み合わせた低価格帯中心の101点のオークション“Online Photographs Fine Art”を企画している。7月5日からオンライン・オークションを開始、最終日の7月25日にライブ・オークションを行うという。ここにきて伝統のあるオークション業界でも、デジタル技術を利用した効率化への試行錯誤が行われるようになってきた。

(1ユーロ・128円)(1ドル・110円)