国内外の珠玉の作品を展示している「Pictures of Hope」展は12月20日まで予約制で開催中。どうぞお見逃しないように!
2021年は、2019年11月16日に81歳で亡くなった、英国人写真家テリー・オニール(1938 – 2019)の追悼写真展 「Terry O’Neill : Every Picture Tells a Story 」を開催する。なお、本展はいまだに収束の兆しが見えない新型コロナウイルス感染防止対策を行った上で、完全予約制での開催となる。東京での感染状況の悪化によっては中止や延期になる可能性もある。
テリー・オニールは、ブリッツで過去に何度も写真展を開催している思い出深い写真家だ。ギャラリーが広尾にあった1993年に「TERRY O’NEILL : Superstars of 70s」、目黒に移ってからは 「50 Years in the Frontline of Fame」(2015年)、「All About Bond」(2016年)、「Rare and Unseen」(2019年)を行っている。2015年には待望の初来日を果たしている。
写真展のタイトルは、2015年にテリー・オニールと共に来日したアイコニック・イメージ代表のロビン・モーガン氏が行った講演のタイトルから取らしてもらった。「Every Picture Tells a Story」は、「1枚1枚の写真が物語を語る」といった意味。彼によると、コレクターが好むのは、作品を壁に飾った時に、ゲストに対して撮影時の様々な背景や裏話が語れる写真。テリー・オニールの写真の人気が高い一因は、様々なエピソードが語れる写真だからだという。そして、彼の代表作が生まれたエピソードを本人との対話の中で披露してくれた。
撮影秘話があるのは、写真家と被写体とのコミュニケーションが濃密だった事実の裏返しだ。ただ有名人を仕事で撮影したり、スナップしただけだと何もエピソードは生まれないだろう。その後、同名の写真集「Terry O’Neill: Every Picture Tells a Story」(ACC、2016年刊)が」刊行されている。
かつて有名人を撮影したオリジナルプリントは、有名人のブロマイド写真と同じでアート性が低いと考えられていた。しかし世の中の価値観が大きく変化し、写真家と被写体との間に強いコミュニケーションがあった上で撮影されたポートレート系作品のオリジナリティーが認識されるようになった。いまそれらは有名人が生きた時代と、写真家の作家性が反映されたアート表現だと考えられ、大手のアート写真オークションでも頻繁に取引されている。
テリー・オニールは、この分野における先駆者だったのだ。2019年に本人が亡くなったことで、オニールの作品相場は上昇傾向、特にバルドー、シナトラなどの代表作の大判サイズに人気が集まっている。
ササビーズ・ロンドンの2020年10月14日に開催された「Photographs」オークションでは、約146X121cmサイズ、エディション50の「Brigitte Bardot, Spain, 1971」が、27,720ポンド(@145/約401万円)で落札されている。
本展ではテリー・オニールの約60年にわたる長いキャリアの中から、ブリジッド・バルドー、オードリー・ヘップバーン、フェイ・ダナウェイ、エリザベス・テイラー、ポール・ニューマン、ショーン・コネリー、ロジャー・ムーア、ケイト・モス、ナオミ・キャンベル、ザ・ビートルズ、ザ・ローリング・ストーンズ、ザ・フー、デヴィット・ボウイなどを撮影したベスト作品約30点(モノクロ/カラー)を展示する予定。すべて生前に制作され、本人のサインが入った貴重な作品(ライフタイム・プリント)の展示となる。
本展をきっかけに、多くの人がセレブリティーたちの数多くの代表イメージは、実はオニール撮影だったという事実を発見できると思う。
テリー・オニール 写真展
「Terry O’Neill: Every Picture Tells a Story」
(エヴリ・ピクチャー・テルズ・ア・ストーリー)
ブリッツ・ギャラリー
2021年 1月15日(土)~3月28日(日)
1:00PM~6:00PM/ 休廊 月・火曜日
完全予約制 / 入場無料