ブリッツの次回展
テリ・ワイフェンバック写真展 「Cloud Physics」を開催!

ブリッツの次回展は、米国人写真家テリ・ワイフェンバック(Terri Weifenbach)の写真展「Cloud Physics」となる。会期は11月10日~1月30日まで。本展は約1年半ぶりの来廊予約なしでの開催となる。

ⓒ Terri Weifenbach 禁無断転載

タイトル「Cloud Physics」は気象学・気候学と密接な関係があり、気候変動の研究と切り離すことができない大気物理学のこと。
ワイフェンバック作品は、撮影場所や時期が違っても、一貫して自然風景や植物が主要な撮影対象。彼女はそれらに、自然を愛し崇拝する感覚を持って接している。私たちが普段は見過ごしてしまうような何気ないシーンが、彼女の手にかかると特別なヴィジュアル世界へと高められる。忙しく生きる現代人にとって、身の回の自然や動植物は完全に無意識化した存在だろう。彼女の作品は、人間が自然やさらに大きい宇宙の中で生かされてい事実に気付かせてくれる。

本作でワイフェンバックは自らの自然をテーマにした作品スタイルを、大気の中で起こる様々な気象現象と関連付けて探求している。彼女は、雲と植物・生物との複雑な関係を表現するために、世界のさまざまな場所で、あらゆる季節と時間帯に撮影を敢行。その後、何千枚もの写真と、ウォレス・スティーブンスの詩を参考にした編集作業が行われる。最終的に約7年の歳月をかけて、2020-21年の都市のロックダウン中に作品は完成している。
彼女は「パンデミックが起こり、自然は我々よりも強いということが明らかになりました」とコメントしている。

本作では、天候と科学をキーワードに、地球上の雲と生物などとの複雑な関係性を、ヴィジュアルの形態や質感の探求を通して表現。フォトブック巻末には全作品の、撮影場所、撮影日、降水量、気温、湿度、風速、海面気圧の詳細なデータが記載されている。
彼女はフォトブック刊行に寄せて「私が言葉ではなく、写真で表現したいのは、気候変動によって失われるものは美しさだということです」と記している。本作では、いま世界規模で起きている様々な気候変動問題が意識されているのだ。地球温暖化による環境破壊の最前線を撮影する写真家は多くいるが、彼女はあえて美しい理想化された自然を意識的に切り取って作品化している。私たちは彼女のヴィジュアルを見るに、こんな美しい地球の風景や、精一杯生きている鳥や植物たちを大切にしないといけないと、心で直感的に理解できるのではないか。

ⓒ Terri Weifenbach 禁無断転載

本作の非常に複雑な作品制作の過程を、彼女は「Ephemerality(はかなさ)」というエッセーで語っている。本文はギャラリー内で掲示する予定だ。制作アイデアがどのように生まれ、それが作品として展開し、完成するかを丁寧にまた詩的に記している。ファンは必読だろう。

本展では、フォトブック「Cloud Physics」収録作から、デジタル・アーカイヴァル・プリント作品による約23点が展示される。
ギャラリーの展示レイアウトも彼女がディレクションしている。また同時に、iPhoneにより撮影された小サイズの新作約16点も紹介する。フランス郊外のブルゴーニュ地方で撮影された美しい風景のスナップ作品となる。

なお同名のフォトブックは、フランスAtelier EXBと米国The Ice Plantから刊行。テキストでは、写真史家のリュス・ルバール (Luce Lebart)が、ワイフェンバック作品をビジュアル・アートと環境科学の歴史的文脈の中で検証している。

本展会場ではフォトブック「Cloud Physics」の販売を予定。重いフォトブックはどうしても包装が過多になる。ブリッツでは環境を意識した本作品のテーマ趣旨を尊重して、リサイクルコットン製のエコバックに入れて販売する予定。(一部の洋書専門店でもエコバック入りで販売予定)

プレスリリース

プレス用プリント

・展示予定作品の画像の一部は、当ギャラリーホームページに掲載予定

(開催情報)

「Cloud Physics」テリ・ワイフェンバック写真展

ブリッツ・ギャラリー
東京都目黒区下目黒6-20-29
JR目黒駅からバス、目黒消防署下車徒歩3分 /
東急東横線学芸大学下車徒歩15分

会期:2021年 11月10日(水)~2022年1月30日(日)
1:00PM~6:00PM/ 休廊 月・火曜日 / 入場無料