「Pictures of Hope」展
9月18日より予約制で開催!

ブリッツ・ギャラリーは、国内外の複数写真家による、Hope(希望)が感じられる、想像できる写真作品をコレクションしたグループ展「Pictures of Hope」を9月18日から開催する。
ギャラリーは美術館などと違い展示スペースが狭い。多くの集客を目指すような写真展は来廊者のソーシャル・ディスタンスがとりにくく、新型コロナウイルス感染が終息するまでは開催が困難だ。本展はウイルス感染防止対策を行った上で、事前の完全予約制での開催となる。

2000年代に話題になった山田昌弘の「希望格差社会」(2004年、筑摩書房刊)では、社会心理学者ランドルフ・ネッセによる「希望とは努力が報われると思うときに生じる、絶望は努力してもしなくても同じだと思うときに生じる」という定義を紹介している。同書では、ポスト工業社会への移行がさらに進み、経済格差拡大が希望格差につながり、社会の活力を大きく損なう時代の到来を予言していた。2010年代以降、それは現実となり格差社会はさらに進行。そのような状況の中、今年春に新型コロナウイルスが世界的猛威を振るい、いまだに感染が続いている。いま私たちはコロナウイルスと共に生きるという、新しい生活様式への対応を求められている状況だ。また追い打ちをかけるように、地球温暖化による猛暑や豪雨などの気候変動も多発している。
厚生労働省と警察庁の集計によると、8月の自殺者数が1849人(速報値)となり、前年同月比で246人増加したという。いま多くの人が急激な環境変化に対応できず、心が折れてしまい、希望までもなくしてしまうような状況なのではないだろうか。

左から”Norman Parkinson”,”Robert Doisneau”,”Elliott Erwitt”の作品

このような時代だからこそ、あえてベタな「Hope(希望)」を思い起こさせる写真をギャラリー・コレクションからセレクトしてみた。それらは、人間愛、愛情、協力、ハーモニー、ポジティブさを感じさせる、未来志向でダイナミックな写真。本展は、ネガティブに陥りがちな私たちの気持ちを、ひと時でも新たな視点から見直すきっかけを提供してくれるかも知れないと期待したい。

すでに亡くなった20世紀の有名写真家から、現在活躍中の写真家までのモノクロ、カラーによる珠玉の約30点を展示する。

“Rehearsal at the Hudson River, 1983” ⓒ Nobuo Nakamura

(特集) 中村ノブオ「ハーレムの瞳」

いまアフリカ系アメリカ人に対する警察の残虐行為に抗議して、非暴力的な市民的不服従を唱えるブラック・ライヴズ・マター (BLM)運動が世界中で注目されている。80年代にハーレムで暮らす人たちの日常を、社会の内側から、デアドルフ8X10”大型カメラでドキュメントした中村ノブオ「ハーレムの瞳」シリーズは、アフリカ系アメリカ人たちへの高いリスペクトが感じられる作品としていま再注目されている。作品が永久保存されているブルックリン国立博物館が最近発行した、ブラックコミュニティーと権利を主張する為に、「みなで選挙に行きましょう!」と呼び掛けるニュースレターにも、中村の作品が紹介されている。80年代、彼はいち早くアフリカ系アメリカ人の「Hope(希望)」を意識して作品制作を行っていたのだ。
「Pictures of Hope」展では、中村ノブオ「ハーレムの瞳」を特集する。代表作と貴重な当時にプリントされたヴィンテージ・プリントを展示する。80年代のハーレムのファッションも必見だ。

予約はフォームにて承ります。

(参加アーティスト)

ロベール・ドアノー (Robert Doisneau, 1912-1994)
マイケル・デウィック (Michael Dweck)
エリオット・アーウイット (Elliott Erwitt)
ケイト・マクドネル (Kate MacDonnell)
マーカス・クリンコ (Markus Klinko)
カート・マーカス (Kurt Markus)
テリー・オニール (Terry O’Neill, 1938-2019)
ノーマン・パーキンソン (Norman Parkinson, 1913-1990) 
ハーブ・リッツ (Herb Ritts, 1952-2002)
ウィリー・ロニス (Willy Ronis, 1910-2009)
ジャンル―・シーフ (Jeanloup Sieff, 1933-2000)
デボラ・ターバヴィル (Deborah Turbeville, 1932-2013)
テリ・ワイフェンバック (Terri Weifenbach)
鋤田 正義 (Masayoshi Sukita)
中村 ノブオ (Nobuo Nakamura)
ハービー・山口 (Herbie Yamaguchi)
など

「Pictures of Hope」-ギャラリー・コレクション展 –

2020年9月18日(金)~ 12月20日(日)
1:00PM~6:00PM/休廊 月・火曜日/入場無料
*予約制

ブリッツ・ギャラリー
〒153-0064  東京都目黒区下目黒6-20-29  TEL 03-3714-0552 http://www.blitz-gallery.com

2020年前半のアート写真市場
コロナ禍でもオンライン・オークションが機能する

通常は3月下旬から4月上旬にかけてニューヨークで行われる大手業者による定例公開アート写真オークション。今シーズンはコロナウイルスの影響で、メインの複数委託者による“Photographs”オークションへの対応が、開催時期の変更、オンライン開催などと各社で分かれた。また通常は夏休みに入る7月まで、単独コレクション、企画もののオンライン・オンリーのセールが複数開催される事態となった。

ちなみにメインの“Photographs”を含めて、ササビーズ4件、クリティーズ4件、フィリップスが2件を開催。3社合計で1079点が出品され、799点が落札。不落札率は約25.6%だった。最終的な出品点数は2019年春の739点(不落札率24.8%)、2018年春の761点(不落札率26.5%)から大幅に増加。不落札率はほぼ同様な水準で推移している。
一方で総売り上げは、約1381万ドル(約約15億円)。2019年春の2146万ドル、2018年春の1535万ドルからは減少。しかしほぼ2019年秋と同じレベルを確保している。従って落札作品1点の平均落札額は、2020年春は約17,000ドル(約187万円)だった。2019年春の約38,000ドル、2018年春の約27,000ドルから大きく減少している。

New York アート写真オークション3社売り上げ Spring/Autumn

今シーズンの写真作品の最高額は、既報のように7月10日にクリスティーズが実施した企画オークション「ONE, a global 20th-cantury art auction」に出品されたリチャード・アヴェドンの代表作「Dovima with Elephants, Evening Dress by Dior, Cirque d’Hiver, Paris, 1955/1979」。落札予想価格は80~120万ドルのところ、なんと181.5万ドル(約1.99億万円)で落札されている。ファインアート写真中心のオークションでの最高額は、ササビーズの“Photographs”に出品されたラズロ・モホリ=ナギの「Photogram cover for the magazine Broom, 1922」。落札予想価格40~50万ドルのところ52.4万ドル(約5764万円)で落札された。続いては、ササビーズの“Photographs from the Ginny Williams Collection”の、ティナ・モドッティ“Interior of Church Tower at Tepotzotlán, 1924”。落札予想価格20~30万ドルのところ50万ドル(約5500万円)で落札された。

Sotheby’s, Tina Modotti “Interior of Church Tower at Tepotzotlán, 1924”

同セールでは、エドワード・ウェストンの美術館での展示歴のあるヴィンテージ・プリント“DUNES, OCEANO, 1936”も、落札予想価格12~18万ドルのところ37.5万ドル(約4125万円)で落札されている。
モドッティの次は、既報のようにフィリップスの“Photographs”ではアンセル・アダムスによる壁画サイズ99.1 x 160.7 cmの“Winter Sunrise, Sierra Nevada from Lone Pine California, 1944”となる。落札予想価格30~50万ドルのところ41.25万ドル(約4537万円)で落札されている。

世界市場に目を向けると、2020年7月末までにニューヨーク、パリ、ウィーン、ベルリン、ケルンなどで17件の“Photographs”関連オークションが開催されている。合計2462点が出品され、1664点が落札。不落札率は約32.4%。円貨換算の売り上げ合計が約19.9億円。ちなみに2019年前半の結果は、欧米で18件のオークションが行われ、合計2723点が出品され、1838点が落札。不落札率は約32.5%。円貨換算の合計が約43.2億円だった。出品数、落札率はほぼ変化がないものの、売り上げが約54%減少。1点当たりの落札金額が、約234.8万円から約119.5万円へと約49%減少している。これはコロナウイルスの影響でほとんどがオンライン中心のオークションになったことで、貴重で評価の高い作品の委託が減少するとともに、中価格以下の作品の出品が増加したからだと思われる。

また今シーズンは、最低落札価格がない、もしくは極めて低いレベルに設定されていたオンライン・オークションが、ササビーズ“Legends, Landscapes, and Lovelies”、“The Ginny Williams Collection: Part II” の2件、クリスティーズ“Walker Evans: An American Master”、“From Pictorialism into Modernism: 80 Years of Photography”の2件が行われた。以前にも紹介したように、これらのセールは、19世紀/20世紀写真が多かった。全作落札されたものの、一部作品が極端に低い、やや投げ売りのような印象さえある価格で落札されているのだ。これが売り上げ総額を引き下げた一因だと思われる。
市場を取り巻く環境はコロナウイルスの影響で非常に悪いと言えよう。委託者にはオークション出品見合わせで、様子見という選択肢もあったと思う。しかし、あえて厳しい環境下で出品を強行したのは、感染の終息まで待ってもこの分野の写真作品の相場が大きく改善する可能性は高くない、またさらに悪化する可能性すらあるという判断なのかもしれない。

南半球が夏期を迎えたに関わらず、世界的にコロナウイルス感染が収まる気配がない。空気が乾燥する秋以降の第2波に対する懸念も問い沙汰されている。2020年前半、各オークションハウスの努力により、オンライン・オークションが十分に機能することは明確になった。大手各社の危機時の積極的かつ柔軟な対応が非常に印象深かった。全体的には、ニューヨークの大手業者の結果はオンライン・オークションにより昨秋並みを確保しているものの、米国、欧州の中小業者はかなり苦戦したという構図だ。秋冬も同じようなやり方が踏襲しつつも、新たな企画の試行錯誤が行われると予想される。ただし、委託者は引き続き高額評価の作品の出品を先送りすると思われる。

一方で業務の100%オンライン化が難しいギャラリーは、コロナウイルスの先行きが読めない中で、秋冬の展示企画に本当に頭を悩ませていると聞いている。多くの集客なしでも可能なビジネス企画を考えないといけないのだ。わたしどものギャラリーも他人ごとではない。

(1ドル/110円で換算)

(連載)アート系ファッション写真のフォトブック・ガイド(14)
アレクサンダー・リーバーマン関連本の紹介(Part-3)

ロシア出身のアレキサンダー・リーバーマン(1912-1999)は、1940年代初頭にニューヨークでヴォーグ誌を発行するコンデ・ナスト出版での仕事を開始する。1960年から1994年まで同社のエディトリアルディレクターを務めている。
彼は、長い伝統を持つヴォーグ誌を、斬新なヴィジュアルとデザインを取り入れ、大胆で生き生きとした現在の姿に変貌させた功績や、戦後の代表的ファッション写真家のアーヴィング・ペンを見出したことで知られている。彼はまた、写真家、アーティスト、グラフィックデザイナーとしても尊敬されていた。
リーバーマンの連載(Part-3)では、関連フォトブックを紹介する。

・”The Artist in His Studio” (Viking Press NY, 1960)
ハードカバー: 144ページ、サイズ 約24.8 x 2.5 x 33 cm、
多数の図版を収録

リーバーマンは、絵画や彫刻の分野で成功を収める前は、写真家として活躍していた。1948年から1950年代にかけて夏休みを利用して、ポール・セザンヌ、ジョルジュ・ブラック、アンリ・マティス、モーリス・ユトリロ、マーク・シャガール、マルセル・デュシャン、コンスタンティン・ブランクーシ、パブロ・ピカソ、アルベルト・ジャコメッリなど、主にエコール・ド・パリ時代に活躍した32名におよぶ画家、彫刻家たちのアトリエを訪れ、写真を撮影。当時は画家志望が強かった若きリーバーマンが、有名アーティストの創作のプロセスや秘密をアトリエ撮影で発見しようとしたのがプロジェクトのきっかけだった。1959年、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で、リーバーマンが撮影したアーティストとそのスタジオの写真が展示される。これらの写真は、バイキング・プレス社から1960年に出版されたリーバーマン最初の本“The Artist in his Studio”に収録。1988年にはランダム・ハウス社から拡大判が再版されている。

・”The Artist in His Studio” (Random House NY, 1988)
ハードカバー: 292ページ、サイズ 約24.8 x 2.5 x 32.4 cm、
多数の図版を収録

1988年にランダム・ハウス社から再版された拡大判。カラー161点、モノクロ55点を収録している。表紙のカラー図版は、ピカソと共にキュービズムを始めたジョルジュ・ブラック(Georges Braque、1882-1963)のパリのスタジオ写真。カーテン・システムにより、アーティストが太陽光の強さを調節でき、また様々な場所に制作スペースがある様子を撮影している。

・”THEN / Alexander Liberman Photographs 1925-1995″
(Random House, 1995) ハードカバー、サイズ 23.5 x 30cm、約256ページ、約200点以上のモノクロ図版を収録

何気ないスナップなのだが、その中に世界的な各界の著名人のポートレートが何気なく含まれている。リーバーマンと被写体との深い関係性がこのような親しみのある写真撮影を可能にしたのだ。アート作品になりうるポートレート写真のお手本だと言えよう。1925年のフランス・シャモニーで12歳の時の学校の仲間の写真から、1995年にマイアミの自宅周辺で撮影した友人たちの写真まで、コンデナスト時代からのアーティスト、写真家、ファッションデザイナー、ライター、エディター、建築家などとの交流のドキュメント。

“Then” Page 150-151、カルチェ=ブレッソンのスナップ、撮影リーバーマン

それらには、アルベルト・ジャコメッリ、ジャスパー・ジョーンズ、パブロ・ピカソ、マルク・シャガール、リー・ミラー、ロバート・ヒューズ、ウラディミール・ホロヴィッツ、ココ・シャネル、イヴ・サンローラン、トルーマン・カポーティ、ル・コルビジェ、アナ・ウィンター、ティナ・ブラウンなど。写真好きな人には、アーヴィング・ペン、デヴィッド・ベイリー、ヘルムート・ニュートン、ブラッサイ、セシル・ビートン、写真を撮らせないことで有名なカルチェ=ブレッソンのスナップ、そしてリーバーマンの被写体とのエピソードが綴られたコメントが興味深いだろう。ペンのことを「彼は私たちの生活にモダニティをもたらした、写真と私たち人間のヴィジョンに革命を起こした」と記している。

・”It’s Modern.: The Eye and Visual Influence of Alexander Liberman” Charles Churchward (Rizzoli, 2013)
ハードカバー、サイズ 25.3 x 3.3 x 31.4 cm、約240ページ、
多数の図版を収録

リーバーマンは、世界で最もパワフルなエディトリアル・アートディレクターの一人であっただけでなく、写真家、アーティスト、グラフィックデザイナーとしても尊敬されていた。本書では、著者のファッション誌のアートディレクターとして名高いチャーチワードが、リーバーマンのヴォーグなどの商業的な仕事の実績と、アート作品を大胆にも並列に紹介。彼の両分野にまたがる創造的視点とインスピレーションを称賛。彼が、アート、写真、デザイン、雑誌の仕事、社会生活を通して、私たちの視覚文化に影響を与え、変化をもたらした事実を紹介している。本書には、個人的なアーカイブ写真、テキスト、アート作品と、重要な友人や協力者による写真を収録。パーソナルライフやインスピレーションが作品同様に魅力的であった天才リーバーマンの完全なる全体像が提示されている。マティス、ベアトン、リーボヴィッツ、ニュートン、リッツ、ブラッサイ、パークス、ホルスト、ピカソ、アヴェドン、ペンなどによる作品も収録。

つづく

海外最新オークション情報 (Part-2)
現代アート化する20世紀写真

前回は、大判サイズのアイコン的ファッション写真が市場で現代アート作品として高額で取り扱われる事例を紹介した。同様の事例は、モノクロの抽象美とファインプリントの美しさを愛でる20世紀写真でも散見される。

7月13日にフリップス・ニューヨークで「Photographs」オークションが開催された。これは春のオークションがコロナウイルスの影響で延期されたもの。最注目作品だったのが20世紀写真の代表的写真家アンセル・アダムスの壁画サイズ99.1 x 160.7 cmの「Winter Sunrise, Sierra Nevada from Lone Pine California、1944/1967」。落札予想価格は30~50万ドルのところ、41.2万ドル(約4532万円)の同オークションでの最高額で落札された。

Phillips New York “Photographs”, Ansel Adams, 「Winter Sunrise, Sierra Nevada from Lone Pine California 1944/1967」

アンセル・アダムスの壁画サイズの巨大作品は1930年代に主にパブリック・アートとして考案され制作されている。フリップスの資料によると、最初にこのサイズの写真作品が展示されたのは1932年ニューヨーク近代美術館で開催された「Murals by American Painters and Photographers」。同展カタログでアート・ディーラーのジュリアンレヴィ(Julian Levy)は、「良い壁画は、単に小さな写真を機械的に拡大したものではありません。拡大された壁画は新しい独立した作品であり、写真の最終的なスケールを事前に視覚化していない写真家は、たいていの場合、その結果に驚きと落胆を覚えるでしょう」と書いている。その後、1935年にアンセル・アダムスは、ヨセミテパーク&カレーカンパニーの依頼でヨセミテ国立公園の壁画サイズ作品を初めて製作している。主にアメリカン・トラスト・カンパニー(後のウェールス・ファーゴ銀行)やポラロイドなどの企業の依頼でこのサイズの作品を限定数制作している。本出品作品は、Schwabacher Brokerage Companyの依頼で1967年に制作依頼された作品。その後、弁護士Roger Poynerに購入され、彼の法律事務所に展示されていた。大きな特徴は保険目的で依頼された、アンセル・アダムスのサイン入り作品証明書が付いていること。通常、このサイズ作品は、当初は展示目的であり、裏打ちされることからサインは入らない。興味深いのは、この手紙には同作の1969年の価値が600ドルで、保険つまり再制作費用は、その60%の360ドルだと記していること。
本作は、約53年で約686倍、年複利で計算すると約13.1%程度で運用できた計算になる。

Christie’s, The Range of Light : Photographs by Ansel Adams”

アンセル・アダムスの同じ壁画サイズの“Winter Sunrise, Sierra Nevada from Lone Pine, California,1941”作品は、2014年4月3日にクリスティーズで行われた、アンセル・アダムス単独オークション“The Range of Light : Photographs by Ansel Adams”に出品されている。2014年の米国は穏やかな景気回復が続いており株価も堅調だった時期だ。同作はカタログ表紙を飾り、サイズはやや小さい約92X139cm。落札予想価格は30万~50万ドル(約3000~5000万円)のところ、54.5万ドル(当時は1ドル100円/約5450万円)で落札されている。
今回のウィズ・コロナ時代においてのオークション高額落札は、2014年の落札が決して偶然の競り合いによる結果でなかったことを証明しているだろう。

ちなみに、アンセル・アダムスの最高額は巨大な壁画サイズ作品ではない。ササビース・ニューヨークで2006年10月17日に開催されたオークションに出品された小さい14X19″サイズの代表作“Moonrise, Hernandez, New Mexico, 1941”。彼のアシスタントを勤め、生涯の友人だった写真家パークル・ジョーンズのコレクションからの出品。プリントが極めて困難だったネガを再処理する以前の1948年にプリントされた初期作品。1000枚以上プリントされたといわれる作品だが、その中でも抜群の来歴と希少性を兼ね備えていた。落札予想価格は15~25万ドルのところ、約60.96万ドル(1ドル115円/約7000万円)で落札されている。

Sotheby’s New York, Ansel Adams “Moonrise, Hernandez, New Mexico, 1941”

2000年代になり、アンセル・アダムスの木製パネルなどに貼られていた巨大作品の高額落札が定着してきた。1990年代には、それらはサインがないし、作品むき出しによるコンディションの問題もあり、ポスター的な作品と考えられており、市場の評価も決して高くなかった。近年の傾向は、アダムスはアナログ銀塩写真のサイズの限界に挑戦していたアーティストだったことが現代アート的視点から再評価されている証拠。いま主流の現代アート系写真の元祖的な存在で、巨大作品はその象徴だと認識されているのだ。もし状態の良い、優れた来歴の作品が市場に出てくれば今後も高値による落札が続くのではないか。

一方で、最近は現代アートの視点で作家性が再評価されない20世紀写真も顕在化している。それらは、知名度のある作家の代表作にコレクターの興味が集中する傾向がある。いま市場では、ファッション系を含む一部の20世紀写真と現代アートとの融合が着実に進行中なのだ。

(為替レートは1ドル110円で換算)

海外最新オークション情報(Part-1)
現代アート化する巨大ファッション写真

Christie’s「ONE, a global 20th-cantury art auction」

平常時の5月から6月にかけては、ニューヨーク、ロンドンで印象派、モダン、戦後アート、現代アート作品などの主要作品のライブ・オークションが開催される。しかし今シーズンは、コロナウイルスの影響で状況が一変した。大手のサザビーズ、クリスティーズ、フィリップスは、開催者、参加者の健康を考慮した、ライブ・ストリーミングなどを利用した新しい仕組み構築を短期間に求められた。多くは手探り状態で開催されたが特に大きな混乱はなかったようだ。結果をみるに、買い手の興味は、パンデミックがきっかけの景気悪化懸念の中でも大きく減速していないようだった。しかし、売り手は高額落札の可能性が薄い市場環境だとの判断から、貴重な良品を消極的に提供しようとしなかったようだ。

その中でも注目されたのが、7月10日にクリスティーズが実施した、「ONE, a global 20th-cantury art auction」。これは複数パートからなるライブ・セールが、アート界の主要ハブの、香港、パリ、ロンドン、ニューヨークを連続して移動しながら、時差を超えてリアルタイムで開催するもの。クリスティーズによると、「各地展示室のオークショナーが中心となって、イブニング・セールの興奮とドラマを、世界中の対面式とオンラインの両方の観客に向けて新たなセール体験を提供する試み。今回のグローバルセールでは、カテゴリーを超えた、国境を越えたアートが一つの究極のビジョンの中に集結し、この特別な時代とその先のための前代未聞のイベントとなります」とのこと。

Christie’s 「ONE」auction, Richard Avedon 「Dovima with Elephants, Evening Dress by Dior, Cirque d’Hiver, Paris, 1955/1979」

本セールに出品された写真作品はリチャード・アヴェドンの代表作「Dovima with Elephants, Evening Dress by Dior, Cirque d’Hiver, Paris, 1955/1979」の1点のみだった。203.2 x 161.2 cmの巨大サイズで、エディションは9/10、落札予想価格は80~120万ドルのところ、なんと181.5万ドル(約1.99億万円)で落札。これはアヴェドン作品のオークション最高価格となる。これまでの記録は、2010年11月20日に、クリスティーズ・パリで行われたアヴェドン作品の単独オークション「Photographies Provent de la Foundation Richard Avedon」で落札された同じイメージ作品の84.1万ユーロ(約115.3万ドル)だった。同作のサイズは、216.8 X 166.7cm、1978年のメトロポリタン美術館の展覧会で展示され、その後アヴェドン事務所の入り口に展示されていた極めて価値ある作品だった。モデルのドヴィマ着用のイーブニング・ドレスをデザインしたメゾン・クリスチャン・ディオールが落札している。

Christie’s Paris「Photographies Provent de la Foundation Richard Avedon」

今回の落札価格は、20世紀ファッション写真としては高額だが、数億円での落札が当たり前の現代アート作品の相場からみれば魅力的な価格といえるだろう。特にこの「ONE, a global 20th-cantury art auction」は、高額アート作品が数多く出品されたオークションだった。参加者の作品価格を判断する参照点が高くなっていたのかもしれない。ちなみに同オークションの総売上高は4.21億ドル(約463億円)、落札率は94%、最高額はロイ・リキテンスタイン「Nude with Joyous Painting (1994)」の4620万ドル(約50.8億円)だった。アヴェドンの落札価格は、同オークションの他の高額作品と比較すると心理的にとても安く感じてしまう。
ちなみに、ここ数年はファッション写真の壁画サイズ作品の高額落札が続いている。2019年の現代アート系以外の写真オークションの最高額落札は、フィリップス・ニューヨークで4月4日に行われた「Photographs」に出品されたヘルムート・ニュートンの2点組み写真「Sie Kommen, Paris (Dressed and Naked), 1981」だった。同作は、戦後社会の新しい女性像を表現したニュートンの代表作であり、197.5 X198.8cmと196.9 X 183.5cmの巨大サイズだった。落札予想価格60~80万ドルのところ182万ドル(約2億円)のニュートンのオークション最高額で落札されている。

Phillips NY, Helmut Newton 「Sie Kommen, Paris (Dressed and Naked), 1981」

2018年の最高額もヘルムート・ニュートン。フィリップス・ロンドンで5月18日に行われた「ULTIMATE Evening and Photographs Day Sales」オークションに出品された1点ものの可能性が高いという151.5 x 49.5 cmサイズの巨大作品「Panoramic Nude with Gun, Villa d’Este, Como, 1989」。落札予想価格25~35万ポンドのところ、72.9万ポンド(1ポンド150円/約1.09億円)での落札だった。

これらの作品は、従来のアート系ファッション写真の範疇というよりも、作家性と巨大サイズ作品とが現代アート的な価値基準で評価されたと考えるべきだろう。どちらにしても、いま市場では巨大サイズのファッション写真と現代アートとの融合が着実に進行中なのだ。

次回(Part-2)では、市場における20世紀写真と現代アートとの関係を分析してみたい。

(為替レートは1ドル110円で換算)

(連載)アート系ファッション写真のフォトブック・ガイド(13)
アレクサンダー・リーバーマン関連本の紹介(Part-2)

リーバーマンもファッション雑誌作りの制限の中で、できる限りの自由な表現の可能性を探求した。その姿勢はライバル誌ハ―パース・バザーのブロドビッチと全く同じだ。両者には、第2次世界大戦が終わり、社会における女性の存在が大きく変化したという確固たる認識があり、それを誌面で提示しようと考えた。大判カメラとスタジオで撮影されたセシル・ビートンやホルストのイメージは時代遅れと考え、新しい時代の女性に合致したファッション写真を世に送りたいという意思がともにあったのだ。

Irving Penn, Vogue cover, October 1, 1943 , Conde Nast

リーバーマンは自分が理想と考えるファッション写真を作り出すために、画家志望だった若きアーヴィング・ペンを写真家に転向させ、ジュニア世代のファッションが理解できる若い女性写真家のフランシス・マクラフリンを起用している。ちなみに、ペンの最初のヴォーグ誌のカヴァー写真は1943年October 1号となる。巧みにファッション小物を配置して構成されたスティル・ライフ写真は画家の視点が生かされている。また将来の可能性を感じさせる作品だ。リーバーマンは、ファッション写真の経験のないフォトジャーナリズム系写真家もファッション雑誌の撮影に起用している。なんと畑違いに感じるエルンスト・ハースやウィージ―にも撮影を依頼しているのだ。

Ernst Haas, Vogue, December 1951 / From “Appearances” by Martin Harrison, page 41

その中には、後にアフリカ系アメリカ人の最初のライフ誌のスタッフ・フォトグラファーになったことで知られるゴードン・パークス(1912-2006)も含まれる。1940年代後半、パークスはハーレムに移り住み、リーバーマンの下でヴォーグ誌の最初のアフリカ系アメリカ人フリーランスのファッション写真家となる。当時の社会には、いまとは比べ物にならない程の人種差別的な考えが蔓延していた。それにもかかわらず、リーバーマンは彼にハイ・ファッションのイブニングドレスのコレクション撮影を依頼している。パークスのファッション写真は主にストリートで撮影された。構図が非常に革新的で、モデルに動きが感じられ、またカラー作品は映画的な美しい色彩で表現されている。それらは、写真集「I AM YOU : Selected Works, 1942-1978」(Steidl、2016年刊)の「Fashion 1956-1978」セクションで紹介されている。
彼のファッション写真は財団管理下でエステート・プリントとしてエディション付きで販売されている。2020年の6月18日~25日にかけてフィリップスがオンラインで開催した「Tailor-Made: Fashion Photographs from the Collection of Peter Fetterman」オークションではパークスのエステート・プリント2点が出品、落札予想価格は5000~7000ドル(約55~77万円)。「James Galanos Fashion, Hollywood, California、1961」が7500ドル(約82.5万円)、「Untitled, New York, N.Y., 1956」が6250ドル(約68,7万ドル)で落札されている。ノーマン・パーキンソンなどと同様に、写真家死後の作品でも財団管理下で制作されたのリミテッド・エディションの相場は極めて安定している。
いまアート界ではアフリカ系アメリカ人や女性アーティストに注目が集まっている。パークスのファッションやポートレート作品も間違いなく市場で再評価されるだろう。

Gordon Parks “Untitled, NY 1956” / Phillips, Tailor-Made: Fashion Photographs from the Collection of Peter Fetterman Online Auction 18 – 25 June 2020

戦後ファッション写真史の資料を調べていると、写真家、デザイナーたちが雑誌ページ内での写真の取り扱いに不満を持っていた事実がよく記されている。洋服を中心に目立って見せて欲しいデザイナー/服飾メーカーや編集者と、それらをヴィジュアルの一部と考え、より自由な表現を目指すクリエーターとの軋轢には長い歴史がある。その後、ファッションが巨大ビジネスとなるに従い、表現の自主規制もさらに厳しくなる。お膳立てがすべて整っているファッションの撮影では、自分の感性を生かしてリスクを冒すことなどできないのだ。多くの写真家はファッション写真の先に自由なアート表現の可能性はないと失望して業界を去る。そして仕事での自己表現の限界を理解すると、自らの欲求を満たす行為を他のアート表現に求めるのだ。

リーバーマンも、ヴォーグ誌を初めとし、グラマー、バニティ・フェア、マドモアゼル、アリュールなどのコンデナスト出版の雑誌全般を率いるとともに、写真家、彫刻家、画家としてのキャリアも追求している。彼の多様なアーティストのキャリアと、特に長年にわたるコンデナスト出版での活躍を見るに、彼は仕事と自己表現のバランスがとれた類まれの人だった事実がわかる。彼は表現者にありがちな、エゴが追求するロマンチストではなく、極めてリアリスト的な生き方を追求したのだと理解したい。前回パート1で触れたように、彼は自分のフレームワークに囚われずに、変幻自在に時代の流れに聞き耳を立て、多くの才能を起用して雑誌作りを行っていた。回りくどい言い方だが、確固たるスタイルにあえて固執しないのも、一つのスタイルだといえるだろう。

ジャンルは違うが、ミュージシャンのデヴィッド・ボウイはキャリアを通して多彩な自身のヴィジュアル作りを行っている。各時代の最先端をゆく写真家を積極的に起用して、カメレオンのように自らのイメージを変化させている。
リーバーマンの創作スタンスはかなりボウイに近いと直感した。彼のファッション雑誌作り自体は一種の自己表現であり、彼はそれにある程度満足していたのではないだろうか。もちろん、彼の立場により、ほかの人と比べて格段に仕事上の自由裁量を持っていたのは明らかだろう。当時、コマーシャルと深く関わるファッション写真や雑誌作りはアート表現だとは考えられていなかった。彼は時代に横たわる気分や雰囲気を感じ取って、写真を通して社会に提示した。ファッション写真の持つアート性をいち早く見出した最初の一人だったのだ。時代が彼に追いつくのは90年代になってからだ。

“Alexander Lieberman” by Barbara Rose, Abbeville Press (1981/11/1)

以上から、リーバーマンのアーティトとしての創作は、自分のやりたいこと追及を求め、それがかなわないと去っていく他の多くの表現者とはかなり違っていたと考える。彼の巨大な彫刻作品は世界中の約40都市の公共スペースに展示されている。しかし実際のところ、彼はアーティストとしては美術評論家から高い評価は受けられなかった。アート・オークションへの出品も限定的だ。

彼が手掛けるヴォーグ誌は、ジャコメッティ、ユトリロ、マティス、ブラックなどのアート特集を掲載するとともに、デュシャンなどの重要な美術評論家によるエッセイをほぼ毎号掲載していた。執筆の仕事の依頼者がアーティストだったという極めてまれな状況だった。アートの専門家は、アートメディアを牛耳るリーバーマンによるアート作品は、利益相反から客観的評価は難しいと考えていたのだ。

わたしは、リーバーマンはその点は十分理解していて、アーティスト活動の評価については気にしていなかったと想像している。たぶん彼は雑誌作りである程度の自己実現ができて満足しており、アーティスト活動は自らの精神をバランスさせるための行為だったのだと思う。方法論の追求は趣味だと言われるが、たぶん彼にとってアートの創作はそのような位置づけだったのではないだろうか。

次回のパート3では、リーバーマン関連のフォトブックを紹介する。

(連載)アート系ファッション写真のフォトブック・ガイド(12) アレクサンダー・リーバーマン関連本の紹介(Part-1)

前回まではロシア出身のアート・ディレクター、グラフィック・デザイナー、写真家、教育者で、20世紀グラフィック・デザインの元祖として伝説化されているアレキセイ・ブロドビッチ(1898-1971)を紹介した。

ブロドビッチは1934年から1958年まで米国ハーパース・バザー誌のアート・ディレクターとして活躍している。ほぼ同時期にライバルのヴォーグ誌のエディター、アート・ディレクターなどとして活躍していたのが、同じくロシア出身のアレキサンダー・リーバーマン(1912-1999)だ。
彼は、ロシア革命後に国外に亡命した白系ロシア人で、ロシア、英国、フランスで教育を受けている。ブロドビッチと同様に、1924年にパリに移り住んで、同地でキュービズム画家のアンドレ・ロート(André Lhote、1885-1962)に絵画を、オーギュスト・ペレ(Auguste Perret、1874-1954)に建築を学んでいる。
彼は、1933年~1936年にかけて、1928年創刊の初期ヴィジュアル雑誌「Vu」で出版キャリアをアート・ディレクターとして開始する。1941年にドイツのパリ占領によりニューヨークへ移住。その後、ヴォーグ誌を発行するコンデ・ナスト出版での仕事に携わる。1944年から1962年まで約21年間アート・ディレクターを務め、1994年までの32年間はコンデ・ナスト出版のエディトリアル・ディレクターとして長年にわたり活躍を続ける。

Vogue November 1. 1944, Cover photograph by Erwin Blumenfeld

ファッション雑誌業界では、エディター、アート・ディレクター、写真家はまるで消耗品のような存在だ。時代の変化の先を走り続けるのは極めて困難なので、常に人材の新陳代謝が必要だともいえる。その中で、リーバーマンの長年にわたるコンデ・ナスト出版での存在は極めて異例だといえるだろう。あのブロドビッチでさえハーパース・バザー誌で活躍したのは約24年間だった。

「Alex: The Life of Alexander Liberman」By Dodie Kazanjian

彼の伝記「Alex: The Life of Alexander Liberman」(Dodie Kazanjian/Knopf 1993年刊)では、この点を以下のように分析している。「ひとつ考えられる説明は、リーバーマンには明確に定義するようなスタイルがなかったことだろう。彼がディレクションした雑誌に特徴的な視点がなかったこと、そして時代遅れだと決めつけられるものが何もなかったことが挙げられる。リーバーマンのスタイルは変幻自在であり、無限に継続可能だった。彼は常に、アート・ディレクターが追求する「グッドデザイン」を犠牲にしてでも、ジャーナリスティックな多様性を追求してきたのだ。彼はあらゆる種類の変化(社会的態度の変化だけでなく、写真やアート、ビジュアル・コミュニケーションの変化)に直観的かつ敏感に反応した。彼は自分の分野では、いつも誰よりも一歩も二歩も先を行っているようだった、そのせいで 彼がディレクションした雑誌は、常に新鮮で革新的で生き生きとしていた」

同書の分析は見事で、極めて的確だったといえるだろう。写真家の起用にもこの特徴が現れている。彼は1940年代に天才のアーヴィング・ペンを見出している。しかし、その後も定期的にアーウィン・ブルーメンフェルド、セシル・ビートン、ウィリアム・クライン、リチャード・アヴェドン、ヘルムート・ニュートン、デビッド・ベイリー、デボラ・ターバヴィル、シーラ・メッツナー、アニー・リーボヴィッツなどを起用している。自分のいったん成功したフレームワークに固執することなく、常に変化を求め続けた姿勢こそが彼が活躍し続けられた秘訣だと思う。これはすべてのクリエイティブな仕事において、最も重要な資質だと私は考えている。でも一般的には自分の直感を信じてそれを追求することが重要だと勘違いされている。それは各分野の超ベテランと天才のみに当てはまるのだ。

1940年代のころ、リーバーマンは当時のファッション雑誌を以下のように批判している。「私はファッション誌でアートとして言われている言葉に憤りを感じていた。アート・ディレクターという言葉でさえ気取って使われている。エリクソンやウィヨメズのようなイラストレーターを相手に仕事をするのが、アートのディレクションではない。それらはカタログ的なファッションだ。私は何気ない感じに興味があった。この作り物(ファッション誌)の世界に生命力を吹き込みたかったのだ」また以前の(連載3)でも紹介しているが、リーバーマンが理想のファッション写真だとしているのは「最高のセンスをもったアマチュアで、カメラマンの存在を全く感じさせない(写真)」だった。新人編集者に、それに当てはまるアーティストの自己表現とファッション情報の提供がバランスしている2枚の写真を紹介しているのはあまりにも有名だ。

Phillips NY, 2017 April 3, “THE ODYSSEY OF COLLECTING” Edward Steichen “Chéruit Gown (Marion Morehouse) (Mrs. E.E. Cummings), 1927”

何度も紹介しているのでここでは簡単に触れておく。1枚目がエドワード・スタイケン(1879-1973)によるヴォーグ誌1927年5月号に掲載された初期のセレブ・スーパーモデルだったマリオン・モアハウス(Marion Morehouse/1903-1969)をモデルとした写真。流行りのシェルイ(Cheruit)のドレスが写されているものの、女性に敬意を表し彼女の最高の魅力的な瞬間を表現している、としている。1920年代に欧米で流行した革新的なフラッパーの要素を従来の婦人像と融合させている写真といえるだろう。2013年に世田谷美術館で開催された「エドワード・スタイケン/モダン・エイジの光と影 1923-1937」にも展示されていたので、見覚えがある人も多いと思う。ちなみに同作“Cheruit Gown (Marion Morehouse) (Mrs. E.E. Cummings), 1927”は、フリップス・ニューヨークで2017年4月3日に行われた“THE ODYSSEY OF COLLECTING”オークションで、5万ドル(@110円/約550万円)で落札されている。スタイケンのファッション写真は「Edward Steichen In High Fashion: The Conde Nast Years, 1923-1937」(W W Norton、2008年刊)と上記展覧会のカタログで見ることができる。

Bonhams NY 2019 October 2, “Photographs” Walker Evans “Citizen in Downtown Havana,1932”

もう1枚はファッションとは縁遠いと思われがちなウィーカー・エバンス(1903-1975)の作品。彼がキューバのストリートで1923年に撮影した白いスーツを着た男性のドキュメント写真をあげ、「これは明らかにファッション写真ではないが、私はこれこそが根源的なスタイルのステーツメントだ」と語っている。同作“Citizen in Downtown Havana,1932”の大判サイズのエステート・プリントは、2019年10月2日にボナムス・ニューヨークで開催された“Photographs”オークションで17,575ドル(@110円/約193万円)で落札されている。同作品を含むキューバで撮影された一連の作品は写真集「WALKER EVANS: HAVANA 1933」(Pantheon、1989年刊)、「Walker Evans: Cuba」(J Paul Getty Museum、2001年刊)で見ることができる。

(Part-2)に続く

・「WALKER EVANS: HAVANA 1933」(Pantheon、1989年刊)
絶版、相場は8000円~

・「Walker Evans: Cuba」(J Paul Getty Museum、2001年刊)
  絶版、相場は4000円~、ペーパー版の新品は購入可能

・「Edward Steichen In High Fashion: The Conde Nast Years, 1923-1937」(W W Norton、2008年刊) 
絶版、相場は12,000円~

ニューヨーク春のアート写真市場(4)
スワン・オークション・ギャラリーが“Fine Photographs”オークションを実施!

スワン・オークション・ギャラリーは、コロナウイルスの影響で延期されていた“Fine Photographs”オークションを6月11日に開催した。他社と違うところは、オンライン・オンリーではなく、ライブのオンライン・オークションだったこと。会場に人がいて競り合う公開ライブ・オークションではなく、オンライン、電話、書面など様々な方法の入札をオークショナーな仕切る方法のようだ。セカンダリー市場の場合、コンディションレポートが信頼できれば特に現物を見なくても作品購入する人は少なくない。このような開催方法と相性が良いだろう。「withコロナ」の時代には、ライブ・オンライン・オークションは、より一般化する可能性が高いと考える。

出品作数は324点、217点が落札、不落札率は約33%。総売り上げは約85.2万ドル(約9379万円)だった。昨年の春と比べると、1万~5万ドルの中間価格帯の落札率が低迷。結果的に総売り上げも約122万ドルから約30%も減少した。全般的に、市場状況を鑑みて落札予想価格の範囲をかなり広めに設定している印象を持った。結果に対する評価は分かれると思うが、少なくともコロナウイルスの影響下でもアート写真の市場は十分に機能していることを示したといえるだろう。

Swann Auction Galleries NY, Michael Halsband, “Andy Warhol and Jean-Michel Basquiat, 1985”

最高額はマイケル・ハルスバンド (MICHAEL HALSBAND /1956- )の“Andy Warhol and Jean-Michel Basquiat with Boxing Gloves, NY , 1985”。80年代アート界のスーパースターのアンディ・ウォーホルとジャン・ミッシェル・バスキアを撮影したアイコン的作品。本作はシートサイズが 30×24 inches (76.2×61 cm)と大きめなのが特徴。落札予想価格2~3万ドルのところ、2.75万ドル(約302万円)で落札されている。時代が反映された広義のアート系ファッション写真という評価だと考える。
コレクターの積極的入札が期待された、ロバート・メイプルソープの“Lisa Lyon, 1980”、落札予想価格.3~4.5万ドル、リー・フリードランダーの“The American Monument, Volumes I and II, 1976”落札予想価格.2.5~3.5万ドルなどは不落札だった。

Christie’s , Ansel Adams, “Winter Sunrise, Sierra Nevada, from Lone Pine, California, 1944”

クリスティーズは、6月4日に“Ansel Adams and the American West Photographs from the Center for Creative Photography”オンライン・オークションを開催。アリゾナ大学のCCP(Center for Creative Photography)コレクションという一流の来歴を持った、1970年代に制作された、アンセル・アダムス作品のセールとなる。海外ではよく見られる、公共機関による新規コレクション購入のための重複コレクションの売却だろう。出品作数は34点、33点が落札、不落札は1点。総売り上げは約32.7万ドル(約3603万円)だった。
最高額は“Winter Sunrise, Sierra Nevada, from Lone Pine, California, 1944”落札予想価格4~6万ドルのところ、9.375万ドル(約1031万円)で落札されている。

クリスティーズは4月末から5月にかけて、取扱い分野を19~20世紀のモノクロ写真に絞った“Walker Evans: An American Master”と“From Pictorialism into Modernism: 80 Years of Photography”のオークションをオンラインで開催している。両方ともほとんどがニューヨーク近代美術館収蔵という最高の来歴の作品だった。しかし、すでにリポートしたように、落札予想価格下限を極端に下回る落札が相次いで市場関係者を驚かした。それに比べて、アンセル・アダムスのセール結果は、知名度の低い作品が多かった中で極めて順調だったと言えるだろう。落札予想価格上限以上の落札が14件、範囲内が1件、下限以下は18件、極端な低価格での落札は見られなかった。

アンセル・アダムスは、様々な技術的制約があったアナログ時代に、作品サイズ、プリント・クオリティーなどにおいて表現の境界線を広げる努力を行った。彼が開発した、フィルム露出と現像の技法であるゾーンシステムは、アナログのフォトショップ的だ、などと指摘する人もいる。いまではアンセル・アダムス作品は、現代のカラーによる大判の現代アート系風景写真の元祖だと再解釈されている。今回の結果をみても市場の評価は極めて正直なのが分かる。もしコレクターが写真家のアート性を正しく見極めることができれば、このような市場環境下には、価値ある作品を普段より安く購入するチャンスが訪れるのだと思う。

(1ドル/110円で換算)

ニューヨーク春のアート写真市場(3)
クリスティーズが春の定例オークションをオンラインで実施!

通常は3月下旬から4月上旬にかけて行われる大手業者によるニューヨークの公開アート写真オークション。今シーズンはコロナウイルスの影響で、各社とも開催時期の変更、オンライン・オークション開催で対応している。

クリスティーズは、メインの“Photographs”をオンラインに変更して、5月19日~6月3日にかけて行った。
出品作数は238点、130点が落札、不落札率は約45.3%。総売り上げは約242.2万ドル(約2.66億円)だった。全体的に、落札予想価格がやや高いなという印象を持った。今回の出品は、コロナウイルスの影響が顕在化する以前に委託者との最低落札価格を決めていると思われる。複数委託者のオークションの場合、急激な環境変化により数多い委託者との条件再交渉は困難を極めると思われる。多くの出品作は、たぶんほぼ同じ条件でオークションを実施したのだろう。高額落札が難しいとの判断で出品を取りやめた委託者もいたようだ。以上の複合的な理由から非常に厳しい落札結果になったといえるだろう。

ダイアン・アーバス“Family on their lawn one Sunday in Westchester, N.Y.,1968”、写真集から

今回の注目作で、高額落札が期待されていたのがダイアン・アーバスの“Family on their lawn one Sunday in Westchester, N.Y.,1968”。1968年のロンドンのサンデー・タイムズ・マガジンに掲載された、彼女の有名なポートフォリオ“A box of ten photographs”にも含まれる代表作。ちなみにドーン・アーバス(Doon Arbus)がサイン、ニール・セルカーク(Neil Selkirk)プリントの、エディション50の同10枚セットの最高額は、2018年4月6日クリスティーズ・ニューヨークで落札された79.2万ドル。アーバス作品のオークション最高額だ。

ダイアン・アーバスがサインした1点ものでは、有名作の手りゅう弾を持った少年“Child with a toy hand grenade in Central Park, N.Y.C., 1962”が、2015年5月11日クリスティーズ・ニューヨークで開催された現代アートやモダンアート中心の“Looking Forward to the Past”オークションで78.5万ドルで落札。
“Family on their lawn one Sunday in Westchester, N.Y.,1968”の、ダイアン・アーバスがサインした1点ものの最高額は、ちょうどリーマンショック前の好況期だった2008年4月8日ササビーズ・ニューヨークで落札された55.3万ドル。

クリスティーズによると、今回の出品作は1968~1971年にプリントされ、作家サインが入ったペーパーサイズ16X20″作品、相場環境を意識した20~30万ドルの落札予想価格だったが、時期が悪く残念ながら不落札だった。この価格帯の貴重作品をコレクションするのは主に美術館。しかし、コロナウイルスの影響でほとんどが休館し、従業員を休職させているところもあった。新たな作品コレクションどころではなかったのだろう。
その他、ロバート・フランク、ピーター・ビアード、リチャード・アヴェドン、ピーター・リンドバーグなど、予想落札価格10万ドル以上の価格帯の注目作が不落札だった。いままでは比較的好調だった高額セクターの人気作も、価格の調整が進行する気配だ。

Christie’s NY, Peter Beard “But past who can recall or done undo (Paradise Lost), 1977”

最高額は今春に亡くなったピーター・ビアードの“But past who can recall or done undo (Paradise Lost), 1977”。 約50.8X220.9cmの巨大横長サイズの1点もの。落札予想価格7~10万ドルのところ、11.875万ドル(約1306万円)で落札されている。

続いたのはアーヴィング・ペンの“Rag and Bone Man, London, 1951”。1961年にプリントされた貴重な初期プラチナ・プリントで、落札予想価格4~6万ドルのところ、10.625万ドル(約1168万円)で落札された。ちなみに本作は、2001年5月10日のササビーズ・ロンドンで2,350ポンド(3,408ドル)で落札されている。単純に計算すると、19年でなんと約31倍、1年複利で計算すると約19.85%で運用できた計算となる。

Christie’s NY, Irving Penn, “Rag and Bone Man, London, 1951”

ペンのパリ、ロンドン、ニューヨークの労働者をヴォーグ誌の依頼で撮影した「Small trades」シリーズは、2001年当時は明らかに過小評価されていた。本格的に認められるのは、2009年9月にJ・ポール・ゲティ美術館で展覧会が開催されて、写真集が刊行されてからなのだ。ちなみにペンは2009年10月に亡くなっている。現役の有名人気作家の過小評価作品を見つけるのはコレクションの醍醐味だといえるだろう。
一方で、同じペンのファッション作品“Black and White Fashion (with Handbag) (Jean Patchett), New York, 1950”は、落札予想価格5~7万ドルのところ、6.25万ドル(約687万円)で落札。同作は2013年4月5日のクリスティーズ・ニューヨークで9.375万ドルで落札された作品。所有期間約7年の単純の利回りはマイナスで-5.62%となってしまう。ペンのファッション系は最も人気の高いカテゴリー。ちなみに2013年の落札予想価格は3~5万ドルだったことを考えるに、当時の落札額は明らかに過大評価だったといえるだろう。こちらは、逆に人気作家の人気作の購入タイミングの難しさを示唆している。

今後は、スワン・オークション・ギャラリーが、6月11日に324点の“Fine Photographs”の公開オークション開催を予定している。フィリップスも、開催時期を変更して“Photographs”236点の公開オークションを7月13日に開催する。ただし、コロナウイルスの影響もあり、入札の中心はオンラインや電話になると予想されている。

(1ドル/110円で換算)

ギャラリー今後の予定 「レアフォトブック・コレクション 2020」予約制で開催

緊急事態宣言が解除になり、都内の美術館やギャラリ―も6月から慎重に営業を再開する見通しだ。

ブリッツは、ノーマン・パーキンソンなど6名の有名アーティストが撮影したオードリー・ヘップバーンの珠玉のポートレート展の「Always Audrey」開催を予定していた。

「Always Audrey」2020年秋に開催予定。写真はNorman Parkinson撮影

デパートではヘップバーンの映画スティールを展示するようなイベントが数多く開催されている。しかし、本展はロンドンのギャラリーで企画されたファインアート作品として認識されているポートレート写真を展示する企画だった。世界巡回展の東京展で、同名洋書写真集の日本版刊行に際しての開催だった。しかし、ロンドンがいまだにロックダウン状態が続いており、現地からの作品発送が困難となり秋への延期となった。

したがって、夏に予定していたフォトブック・コレクター向けの「レアフォトブック・コレクション 2020」を前倒しで完全予約制にて開催することにした。
完全予約制にしたのは、フォトブックのイベントだから。写真展のように来廊者が距離を開けて鑑賞するのではなく、どうしてもコレクターは欲しい本を手に取り中身や状態を確認する。来場者が多くなるとどうしても感染リスクが高くなってしまう。

2000年代の日本は、洋書写真集のコレクションがミニ・ブームだった。当時、ブリッツはレア・フォトブックを積極的に取り扱っていた。2004年から6年間に渡り、毎年5月の連休明けに絶版写真集やレアブック約150~200冊を販売するイベントを渋谷パルコのロゴスギャラリー(現在は閉廊)で企画開催していた。同ギャラリーは洋書販売のロゴス書店の横にあるパルコ主催のイベントスペース。新刊とレアブックの相乗効果を狙った企画だった。2週間の会期で、毎年それなりの売り上げを達成していた。この時期は洋書写真集がブームとなり、同時に絶版写真集も注目されたのだ。

以前のブログで当時の状況を次のように分析している(2016年7月)
「このブームのきっかけはネット普及によりアマゾンで洋書がかなり割安で購入できるようになったからだと分析している。90年代、洋書店で売られていた写真集は高額の高級品だった。よく雑誌のインテリア特集のページ内でお洒落な小物として使用されていた。私は約30年洋書を買っているが、かつてのニューヨーク出張ではスーツケースの持ち手が破損するくらい膨大な数の重い写真集を持ち帰ったものだ。アマゾンの登場は衝撃だった。とにかく重い写真集が送料込みで、ほぼ現地価格で入手可能になったのだ。最初は欧米のアマゾンでの購入だったが、2000年11月に日本語サイト“amazon.co.jp”が登場して日本の一般客も今まで高価だった洋書写真集がほぼ現地価格で購入可能になったのだ。
2008年のリーマン・ショックまで続いたブームは、かつては高価で高級品だった洋書写真集が低価格で買えるようになったから起きたのではないか。一種のバブルだったのだ。今まで高額だったカジュアルウェアをユニクロが高機能かつ低価格で発売してブームになったのと同じような現象だった。時間経過とともに、洋書が安く買えるという驚きがさめ、その価格の認識が一般化し始めたころにリーマン・ショックが起きたのだ。アート系商品は、心は豊かにするが、お腹を満たしてくれない不要不急の際たるものだ。それ以降は、本当にアート写真が趣味の人が興味を持つ写真家の本を購入するという従来のパターンに戻ったのだ。2010年代には、アベノミクスによる円安で輸入価格が上昇して、景気の長期低迷とともに市場規模は縮小均衡してしまった」

その後、レア・フォトブックを専門に取り扱う業務はショップ/オンライン共に非常に厳しい環境に直面する。かつてのブーム時には、写真集コレクターの人が自らの在庫を販売する形でショップ業務を開始することがあった。しかし、在庫がなくなり、新たに仕入れを行うようになってからが厳しいのだ。ネット普及以前は、相場を知らない人からかなり安い仕入れが可能だった。しかし、いまや人気写真集の相場はネット検索で全くの素人でも把握可能になった。ネットのオークションやフリマで自ら売ることも可能だ。もちろん、コレクターもネット検索して相場を確認したうえで、状態と販売価格から総合的に購入先を判断する。人気の高いフォトブックの場合、情報と価格の格差が縮小し、業者として売買ビジネスが完全に成立しなくなったのだ。業者はいまだ未評価の本をいち早く見つけ出す、高い目利き力が求められるようになった。

「レアフォトブック・コレクション 2020」も、このような状況を意識して行う。多くは販売価格の値札をつけないで時価とする予定だ。つまり、その時点でのネットの価格を参考にして、同じ状態の本と同じ値段にする。買いたい人は、その場でスマホを使い相場をチェックするからだ。会場はブリッツ・アネックスを予定している。フォトブックの中には、ブリッツ・コレクションも混在している。おもにファッション系なのだが、それらは参考資料なので、内容の確認は可能だが販売はしない。もし購入希望者がいたら、販売しているネット古書店を紹介してそちらで買ってもらう予定だ。商品はあるが「販売しないイベント」なのだ。

今回は、フォトブック・ガイド本に掲載されているレア・フォトブック、サイン本、プリント付きフォトブックなど多数を紹介する予定。展示内容については、公式インスタグラムなどで順次紹介していく。また完全予約制なので、マニアックなコレクターへの情報提供とコレクションの各種啓蒙活動が可能だと考えている。

「ブリッツ・フォトブック・コレクション 2020」
会期:6月5日(金)~ 8月9日(日)*完全予約制
休廊:月、火曜日、オープン時間 1時~6時

主要出品フォトブック

・サイン入りフォトブック
リチャード・アヴェドン、アーヴィング・ペン、ウィリアム・エグルストン、ブルース・ダビットソン、ピーター・ベアード、ジャック・ピアソン、ライアン・マッキンレイ、テリー・オニール、シンディー・シャーマンなど

・オリジナル・プリント付フォトブック
メルヴィン・ソコルスキー、マイケル・デウィック、テリー・オニール、テリ・ワイフェンバック、アレック・ソスなど

・オリジナル・プリントの展示
ギャラリー・コレクションから珠玉のオリジナル・プリント約15点が会場の壁面に展示されます。

・プレスリリース、画像資料は以下でご覧いただけます。
http://www.artphoto-site.com/inf_press_87.pdf