アート写真・中間価格帯作品の現在
ロンドン・オークション・レビュー

5月の中旬から下旬にかけて中間価格帯のアート写真を主に取り扱うオークションがロンドンで大手3業者により開催された。
以前ニューヨークの中小業者によるに1万ドル(約120万円)以下の低価格帯中心オークションを紹介した。ボンハムス(Bonhams)ヘリテージ・オークション(Heritage Auctions)スワン(Swann Auction Galleries)3社の結果は平均落札率67.7%とやや厳しい状況だった。

今回ロンドンの大手業者で開催されたのは5万ドル以下がメインの(約600万円)の中間価格帯中心のオークション。結果は3社の売り上げ合計は約398万ポンド(約7.56億円)、平均落札率は64.5%だった。 全体的に平均的な結果なのだが、出品数は少ないもののオークション目玉である高額有名作品の不落札が散見された。比較的好調だった高額価格帯に陰りが見えてきたのはやや気になるところだ。昨年秋から、平均した落札率はずっと60%台半ばにとどまっている。いままでリーマン・ショック後の激しい落ち込みから市場は順調に回復してきた。いま落札率の頭打ちが続いているのは、そろそろ今回の回復サイクルもピークに達しているということだろう。金融市場で予想されている米国の金利引き上げの影響も気になるところだ。はたして今の小休止状態の後、今秋の市場はどちらの方向に向かうのだろうか?

フィリップスは5月21日”Photographs”を開催。こちらは約9割が低中価格帯作品。落札率は約77%と好調、総売り上げも約173.65万ポンド(3.29億円)と3社中見事に1位だった。やや気になったのが数は少ないものの、高額価格帯の代表作の不落札が散見されたこと。
リチャード・アヴェドンの”Nastassja Kinski and Serpent,1981″最低落札予想価格が4万ポンド(約760万円)で不落札だった。この作品はエディション数が多く流動性が高いことから近年落札価格が急上昇してきた。 さすがに5万ドルを超えるレベルの最低落札予想価格は過大評価だったといえるだろう。

同じく、アルバート・ワトソンがケイト・モスを背後から撮影した大判サイズの代表作”Kate Moss,1993″やデビット・ラシャペルの大判サイズ”Jesus in my Homeboy,2003″も不落札。これらの最低落札価格も過大評価だったと思われる。
最高額はハーブ・リッツのアイコン的作品”Versace Dress, Back View, El Mirage, 1990″。2014年9月に行われたフォト上海のメイン・ヴィジュアルだったのは記憶に新しい。落札予想価格を大きく上回る15.85万ポンド(約3011万円)で落札された。

クリスティーズは、”20/21 Photographs: Photographs Selected by James Danziger”を5月22日に開催。今回は著名なディーラーであるジェームス・ダンジガーのコレクションからの出品だった。ただし彼はいまだ現役であり、作品リストを見るとコレクションの重要作というよりも在庫を中心に売りに出した印象が強かった。
残念ながら落札率は約59.22%に低迷、総売り上げも約57.7万ポンド(1.09億円)と3社中最下位だった。最高額は、アウグスト・ザンダーのGunther Sanderによるエステート・プリント”Three young farmers on their way to a dance, Westerland, 1914″だった。何と落札予想価格の約10倍にもなる10.45万ポンド(約1985万円)で落札。ギュスターヴ・ル・グレイの鶏卵紙作品 ”Brig on the Water,
1856″は5万ポンド(約950万円)で落札された。

ササビーズは”Photographs”を5月23日に開催。 こちらも約8割が低中価格帯作品となる。特にニュートン、ペン、ホルスト、ブルメンフェルドなどのスタイル系と、ベッヒャー、シュトゥルート、グルスキー、ベアードなどの現代アート系に重点が置かれたセレクションだった。ちなみカタログ表紙はニュートン、裏表紙はベッヒャーだ。
アーティストによりかなりばらついた結果になった。落札率はかなり厳しい約55.4%、総売り上げは166.78万ポンド(3.16億円)。ホルストは14点のうち6点、ベアードは7点のうち3点が落札したのみ。やや気になる高い不落札率だった。ニュートンは8点のうち5点、ペンは6点のうち4点、ブルメンフェルドは6点のうち5点が落札で、比較的好調だった。
最高額はモホイ=ナジのフォトグラム作品”Untitled (FGM78), 1923-1925/c.1929″。予想落札価格内の12.5万ポンド(約2375万円)で落札されている。もう一点のフォトグラム”Untitled (FGM80A), 1923-1925/c.1929″は不落札だった。
ピーター・ベアードの135X204cmサイズの”Loliondo Lion Charge,1964″は11.25万ポンド(約2137万円)で落札された。

(1ポンド/190円で換算)

アート写真市場の現在
高額、低額価格帯の動向は?

アート写真セールは、春のニューヨークが終了すると、次はロンドンのオークションとなる。その間に一部写真作品が含まれる現代アート・オークションと中小ハウスによる写真オークションが開催される。ちょうど前者は高額セクター、後者は低額セクターが中心となる。中間価格帯が中心の春季ニューヨーク・オークションでは全体の落札率が70%台前半。やや弱めな印象だったのが気になるところだが、まあ標準的な落札結果だったといえるだろう。今回は市場全体の勢いを俯瞰する意味で、上と下のセクターの動きを簡単に見ておこう。

まず低価格帯の写真市場。私はこの分野の動きが市場全体の健康度を指し示していると考える。アート写真市場は中間層が主要顧客だ。いくら富裕層相手の高額セクターが活況でも、 ここの部分が元気にならないと、より大きな規模のプライマリー市場で若手や新人が売れてこないのだ。
4月28日にニューヨークのボンハムス(Bonhams)で「Photographs」オークションが開催された。107点の出品作の9割近くが落札予想価格1万ドル以下の低価格帯が占める。結果は芳しくなく、落札率は59.8%、総売り上げは約66.8万ドル(約8025万円)だった。 昨年12月のオークションより、落札率は改善するものの、売り上げは減少した。最高額は、アンセル・アダムスの”Winter Sunrise,Sierra Nevada from Lone Pine, California,1944″。これは最近人気が高い約56X77cmの大判作品。落札予想価格15~25万ドルのところ、17.9万ドル(約2148万円)で落札された。
5月3日には、ニューヨークのヘリテージ・オークション(Heritage
Auctions)で、”Photographs Signature Auction”が行われた。こちらも217点の出品作品の約9割が落札予想価格1万ドル以下の低価格帯が占める。結果は落札率は74.6%だったものの、総売り上げは約59万ドル(約7085万円)にとどまった。こちらも昨年10月のオークションより、落札率は改善するものの、出品数が少ないことから総売り上げ額は減少した。最高額は、アンセル・アダムスのポートフォリオ”Portfolio Two: The National Parks and Monuments”。落札予想価格4~6万ドルのところ、下限以下の3.75万ドル(約450万円)で落札されている。

以上の結果を見るに、低価格帯は相変わらず動きが鈍いという印象が強い。

次に高額価格帯のアート写真の動きを簡単に見てみよう。
5月中旬にかけては、ニューヨークで大手による現代アートのオークションが開催された。クリスティーズでは、11~14日にかけて”Looking Forward to the Past”と”Post-War and Contemporary Art”が開催された。新聞報道にあったように、ピカソの”Les Femme d’Algers, 1955(アルジェの女たち)”が絵画史上最高額の1億7940万ドル(約215億円)で落札されたオークションだ。やや意外な感じだが、ここではダイアン・アーバス作品が出品されていた。彼女のヴィンテージ・プリントはもはや値段的に現代アートの範疇になっている。子供が手榴弾を持っている有名作”Child
with a toy hand grenade in Central Park, N.Y.C., 1962″が、作家最高額の78.5万ドル(約9420万円)で落札された。
最高額はシンディー・シャーマンの”Untitled Film Still #48, 1979″。落札予想価格範囲内の296.5万ドル(約3.55億円)で落札されている。インスタグラムから写真を引用した「ニュー・ポートレーツ」シリーズの一部が、引用元から再引用されて低価格で販売されるなど、アート界で大きなゴシップになっているリチャード・プリンス。彼のエディション2の、149.2 x 101.6 cmの巨大作品”Untitled
(Girlfriend)、1993″は、83.3万ドル(約9996万円)で落札された。

ササビーズは、5月12~13日に”Contemporary Art”を開催。こちらではシンディー・シャーマンの落札予想価格は200~300万ドル(約2.4~3.6億円)だった”Untitled #153, 1985″が不落札。最高額は、トーマス・シュトゥルートの”Pantheon, Rome, 1990″で181万ドル(約2.17億円)だった。

フィリップスは、5月14~15日にかけて”Contemporary Art”オークションを開催。ここでは、アンドレアス・グルスキ―の284.5 x 200.7 cmサイズの”James Bond Island II, 2007″72.5万ドル(約8700万円)で落札されている。

今回の一連のオークションで少し気になったのが、杉本博司の人気の高い海景シリーズの動向。クリスティーズでは、119.3 x 149.2 cmサイズの”Marmara Sea, Silivli,1991″が38.9万ドル(約4668万円)で落札されている。しかしササビーズでは大判サイズの”Redsea,1992″や、16X20″~20X24″サイズ作品数点が不落札だった。フィリップスでもエディション25の2点が落札予想価格下限での落札だった。いままではコンスタントに落札予想価格内かそれ以上で落札されていたことを考えるに、 もしかしたらこの人気シリーズも、いまの価格レベルが今回の上昇サイクルでの相場のピークかもしれないと感じた。杉本博司の入札状況は相場全体の動向とも写し絵のように重なってくる。高額セクターも、弱くはないものの全般的にやや勢いが衰えてきたようだ。

近日中には、ロンドンで大手ハウスが開催したアート写真オークションのレビューをお届けする予定。
今度は中価格帯のアート写真市場の動向を分析したい。

(円貨は1ドル120円で換算)

2015年春のNYアート写真シーズン到来!
最新オークション・レビュー

いよいよ2015年春のニューヨーク・アート写真シーズンが始まった。3月31~4月2日にかけて大手のクリスティーズ、ササビーズ、フィリップスがオークションを開催した。
3社の総売り上げは約1772万ドル(約21.2億円)と、昨秋より約3.7%減、昨春より約20%減だった。過去2年間は秋と比べて春の売り上げが勝る状態が続いていた。残念ながら今春の売り上げは伸びず、3シーズン連続の減少となった。
過去5年の平均売り上げを比較すると、2013年春から2014年春にリーマンショック後の売り上げ減少傾向からプラスに転じている。しかし昨年秋から回復の勢いが弱くなって来た感じだ。今回は1年ぶりに50万ドル(約6000万円)超えの作品が2点でたものの、全体の落札率は70%をやや欠ける水準と大きな改善はなかった。
総合的に評価するにやや弱めだが標準的な落札結果だったといえるだろう。

クリスティーズは、3月31日に「20/21 PHOTOGRAPHS」と銘打って、William T. Hillmanコレクション単独セールと複数委託者のセールを行った。前者の結果はかなり厳しく、落札率が48.7%、総売り上げも約127万ドル(約1.52億円)にとどまった。同コレクションの半分はカーネギー美術館に寄贈され、残りがオークションに出品されている。この事情からコレクションの方向性が同セールでは明確に打ち出せず、まるで複数委託者のオークションのようだった。これがセール人気が盛り上がらなかった理由の一因ではないか。ダイアン・アーバス、ヘンリ・カルチェ=ブレッソン、ウィリアム・エグルストン、ジュリア・マーガレット・キャメロンなどの高額落札予想価格の20世紀写真が軒並み不落札だった。
最高額はベッヒャー夫妻の”Blast Furnacesm Frontal View,
1979-1986″の9点もの作品で、11万2500ドルで落札された。

複数委託者オークションはやや改善して、落札率が57.2%、総売り上げは約419万ドル(約5億280万円)だった。最高額落札は、アルフレッド・スティーグリッツの4点しか存在が確認されていないヴィンテージ・プラチナ・プリント”From the Black-Window,- 291″,1915″。落札予想価格上限を超える47.3万ドル(約5676万円)で落札。続くのは、同じくスティーグリッツのプラチナ・プリント”Georgia O’Keeffe, 1918″ で41.3万ドル(4956万円)だった。リチャード・アヴェドンのアイコン的作”Dovima with Elephants,
1955″の130X106cmサイズの巨大作品は34.1万ドル(4092万円)で落札された。

ササビーズは4月1日に複数委託者による「PHOTOGRAPHS」を開催。落札率76.6%、総売り上げも約516万ドル(約6億2000万円)だった。最高額はカタログ・カヴァー作品のリー・フリードランダーの”The Little Screens Series, 1961-70″。38点のポートフォリオで、落札予想価格上限の2倍を超える85万ドル(約1億200万円)で落札された。2位にもポートフォリオ作品が続き、ニコラス・ニクソンの40点からなる”The Brown Sisters Series,1975-2014″が37万ドル(約4440万円)だった。

高額落札が期待された、20~30万ドルのエスティメートだった、ポール・ストランドのプラチナ・プリント”Rebecca, 1921″は不落札だった。フィリップスは、4月1日に貴重な高額作品による「PHOTOGRAPHS」イーブニング・セールを、4月2日に中低価格帯の「PHOTOGRAPHS」デイ・セールを行った。オークションを昼夜2回に分けるのは現代アートなどでは一般的。私の記憶する限りでは、アート写真オークションでは初めての試みだと思う。
全体の落札率は79%、総売り上げは約708万ドル(約8億4996万円)、これでフィリップスは、二季連続のNYオークションでの売上高トップとなった。
最高額は、イーブニング・セールでのメイン作品だったヘルムート・ニュートンの”Walking Women, Paris, 1981″ 。これは、171.5 x 149.5 cmサイズの銀塩写真の3枚セット。落札予想価格の上限に近い、90.5万ドル(約1億860万円)で落札された。今シーズンの最高額でもあった。続いたのが現代アート系のジョン・バルデッサリの”Green Sunset (with Trouble), 1987″  で、36.5万ドル(約4380万円)で落札されている。
ファッション、現代アートの次が、20世紀のクラシックといえるマン・レイの作品。”Reclining Nude with Satin Sheet, 1935″が
32.9万ドル(約3948万円)だった。
上位の3作品が象徴しているように、高額中心のイーブニング・セールの出品作は、写真史の巨匠の希少なクラシック作品、 アイコン的ファッション写真、そして現代アート系に大きく分類される。これらが、いま富裕層コレクターが反応する写真分野ということだろう。

今シーズンで気になったのはアーヴィング・ペンの相場だ。全オークションで44点が出品されて27点が落札。落札率は全体平均よりも低めの約61.3%にとどまっている。
注目のフィリップスのイーブニングセールでは、高額の3点が完売。”Picasso (B), Cannes, 1957″が10万ドル。”Black and White Fashion with Handbag (Jean Patchett)NY,1950″と
“Frozen Foods, New York, 1977” がともに10.6万ドルだった。
しかし、中低価格帯の作品は、不落札や落札予想価格の下限付近での落札が多かった。いままでのファッション写真ブームでペンの落札予想価格はかなり上昇してきた。今シーズンの結果から判断するに、どうもこのあたりのレベルが短期的には相場のピークのような予感がする。

いま、世界的には数多くの不安要素が存在している。米国の金利引き上げによる新興国での流動性縮小懸念、ギリシャなどの欧州債務問題、中東やロシアでの紛争、中国の景気悪化懸念などだ。しかし、ニューヨークのダウ平均株価は17,000ドル台でのレンジ内取引が続いている。 何かのショック的な出来事が発生して株価が急落しない限り、今年のアート写真相場の大崩れはないと思われる。ただし、決して将来が楽観できない状況の中で、昨年来続いているコレクターの精緻な作品評価の傾向は続くだろう。アート写真の主要購買者である中間層の経済状況の改善があまり込めないことから低価格帯作品の苦戦は続くと予想する。
日本のコレクターは約120円程度のドル高では、なかなか海外オークションへの参加に積極的になれないだろう。しかしこの頃は、特に低価格帯分野で意外に割安に買える作品が見つかることもある。また写真作品の出品数は多くないが、国内のオークションでも時に掘り出し物との出会いがある。ただし値段の割安感だけを見るのではなく、自分のコレクションの方向性を明確にしたうえで、欲しい作品に特化して相場動向をフォローするべきだ。悩んだときはぜひ専門家に相談してほしい。

(為替レートは1ドル120円で換算)

2014年現代アート系写真の高額落札
アイコン系作品の人気が継続する予感

今年の現代アート系写真市場の動きはどうようになっているのだろうか?
まず2014年の高額取引を振り返っておこう。以下に2014年の現代アート系写真のオークション高額落札ベスト10リストを掲載しておく。
1位はシンディー・シャーマンの代表作”Untitled Film Stills”21点のポートフォリオで$6,773,000(約7.45億円)。1点ものだとリチャード・プリンスの$3,973,000(約4.37億円)が最高額となった。
昨年のプリンス人気はすさまじいものだった。特に1980~1992年までに制作されたマルボロの広告写真から引用されて制作されたカウボーイス・シリーズが多数ランクインしている。アメリカの男らしさの理想像と、メディアにより作られているカウボーイの実像をテーマにした同シリーズは、プリンスの代表的なアイコン作品になったといえるだろう。現代アート市場の活況からの希少作品への需要の高まりが影響しているとも考えられる。

2013年のランキングを席巻したアンドレス・グルスキーだが、昨年はわずか8位にはいっただけだった。彼の人気はやや鎮静化してきたようだ。
7位は現代アート作家マイク・ケリー(Mike Kelley)の写真作品。中古のぬいぐるみを撮影した8作品からなるチバクローム作品で、ロックバンドのソニック・ユースの1992年発売のアルバムジャケット”Dirty”に採用されているアイコン的作品だ。

 1.シンディー・シャーマン $6,773,000(約7.45億円)
“Untitled Film Stills (21photographs),1977-1980”
クリスティーズNY 11月
 2.リチャード・プリンス  $3,973,000(約4.37億円)
“Spiritual America, 1983” クリスティーズNY 5月
 3.シンディー・シャーマン $3,861,000(約4.24億円)
“Untitled#93, 1981”
ササビーズNY 5月
 4.リチャード・プリンス  $3,749,000(約4.12億円)
“Untitled (Cowboy),1998”
クリスティーズNY 5月
 5.リチャード・プリンス  $3,077,000(約3.38億円)
“Untitled (Cowboy),2000”
ササビーズNY 5月
 6.シンディー・シャーマン $2,225,000(約2.44億円)
“Untitled Film Still #48, 1979”
ササビーズNY 11月
 7.マイク・ケリー $1,925,000(約2.11億円)
“AH…YOUTH,1990”
ササビーズNY 5月
 8.リチャード・プリンス $1,805,000(約1.98億円)
“Untitled(Cowboy),1998-1999”
フィリップスNY 11月
 8. アンドレアス・グルスキー $1,805,000(約1.98億円)
“RHEIN I、1996”
ササビーズNY 11月
 10.リチャード・プリンス $1,745,000(約1.91億円)
“Untitled (Cowboy), 1994”
クリスティーズNY 5月
 (2014年の実績は1ドル110円で換算)

2015年になり、現代アート系作品のオークションが、2月ロンドン、3月ニューヨークで開催された。今回はそこでの高額落札作品をレビューしてみたい。

クリスティーズ・ロンドンは、2月11日~12日に”Post-War
and Contemporary Art”を開催。アンドレアス・グルスキーが香港の証券取引所を撮影した180X280cmの “Hong Kong Borse II,1995,”が302,500ポンド(約5590万円)で落札された。

ササビーズ・ロンドンでは2月10日~11日に”Contemporary
Art”を開催。アンドレアス・グルスキーのゴシック様式の教会を撮影した237X333cmの大作”Kathedrale I,2007″が461,000ポンド(約8500万円)、トーマス・シュトルートの”Museo Del Prado I Madrid 2005″は、158,500ポンド(約2932万円)で落札されている。

ニューヨークでは、3月5日~8日にかけて開催された世界的に有名なアートフェアのザ・アーモリー・ショー(The Armony Show)の会期に合わせて大手がキュレーションに趣向を凝らした現代アート系オークションを行った。

フリップス・ニューヨークでは、3月3日に”Contemporary Art & Design Evening” 、4日に”Under the Influence”を開催。 リチャード・プリンス人気は相変わらず高く、”Richard Prince, Untitled (Cowboy), 1986″が114.5万ドル(約1.37億円)で落札されている。

ササビーズ・ニューヨークでは3月5日に”Contemporary Curated”を開催した。バーバラ・クルーガーの “Untitled (Our Prices Are Insane!), 1987″、250 X 248.3 cmサイズの作品が、50.2万ドル(約6024万円)で落札された。

クリスティーズ・ニューヨークでは、3月6日に”First Open”を開催。トーマス・シュトルートのエディション10、227.3 x 186 cm.の大作”Musee d’Orsay II, Paris, 1990″が19.7万ドル(約2364万円)で落札。

5月にニューヨークで開催される本格的現代アート・オークションへの助走はとりあえず順調のようだ。いままでアート写真市場での特徴だった、アイコン的作品の人気が現代アート系写真にも拡大してきた印象だ。高額の現代アート系写真セクターの中でも2極化が起こる予感がする。さていよいよ、来週から本格的アート写真のオークション・シーズンがニューヨークで始まる。低・中価格帯の写真市場の動向が注目される。

(1ドル120円、1ポンド185円で換算)