フィリップス、ササビーズのオークションカタログ
2007年秋のニューヨーク・アート写真オークションは優良作品の出品ラッシュで記録的な落札額をあげた。しかし今後、サブプライムローン問題や資源価格急騰が実体経済に影響を与える可能性が高い。また今回から、主要オークションハウスの手数料が、落札価格2万5千ドルまで25%に改定されたことなども市場に徐々に影響してくると思われる。ここ数年続いていた超強気相場もどうもピークをすぎた気配がでてきた。希少なヴィンテージ・プリントはあまり影響を受けないだろうが、中間価格帯のモダンプリントなどについてはコレクターは購入作品を選別し、値段に慎重になるだろう。実際、いままで高値をつけていた戦後作家は出品希望数が急増しているようだ。今回も、強気のエスティメート作品は不落札が増加していたのは変化の兆候だろうか。
クリスティーズは10月17、18日に合計約296作品の入札を行った。
総売上は約978万ドル(約11.2億円)。落札率は73%。
最高値は、ロバート・フランクの"Torolley, New Orleans, 1955"。
カタログには見開きでイメージが紹介され、詳細なプリントの調査結果が記載されている。
写真集"The Americans"制作時の超レアなヴィンテージ・プリントとのことだ。
予想落札価格を大幅に上回る約62.3万ドル(約7160万円)で落札された。これは作家のオークション落札最高価格。
続いたのが、ダイアン・アーバス"A Jewish Giant at home with his parents, 1967"。1970年〜1971年にプリントされ貴重なシルバー・プリントで、予想落札価格下限を上回る約42.1万ドル(約4800万円)で落札された。
アービング・ペンによるイコン的なイメージ、"Cuzco Children, 1948"が3番目の値段をつけている。1978年に制作されたプラチナ・プリントで、予想落札価格上限を上回る約36.1万ドル(約4150万円)で落札。
ササビースは10月15〜16日にナンシー・リチャードソン・コレクションなど約655点のオークションを開催。
総売り上げは約1270万ドル(約14.6億円)。落札率は良好な約86%だった。
最高額落札はエドワード・ウェストンがオウムガイを撮影した代表作"Nautius,1927"の初期プリント。
落札予想を上回り、100万ドルを突破、約110万ドル(約1億2650万円)という作家のオークション最高値で落札された。
ウェストンは良質な作品が数多く出品され、彼の落札上位24作品だけで約370万ドル(約4.25億円)を売り上げている。
ドロシア・ラングの代表作"White Angel Breadline, 1933"の初期プリントは、予想落札価格上限に近い約44.5万ドル(約5117万円)で落札。
イモージン・カニンガムの希少作品"Tower of Jewels, 1925"は、予想落札価格を上回る約36.1万ドル(約4151万円)のオークション落札最高価格で落札されている。
その他、ピーター・ベアードの巨大な写真コラージュ作品、"Hog Ranch front lawn, Night feeder
(2.00AM) with Maureen Gallagher & Mbuno,Feb, 1987"が約27.7万ドル(約3185万円)という、これも作家のオークション最高値で落札された。
フィリップス(Phillips de Pury & Company)は10月17日に244点のオークションを開催。
総売上は約432万ドル(約4.97億円)だった。
高額作品は多くなかったが、評価が難しい現代アート系作家が多かったこともあり落札率は約77%。
注目されていた貴重なF.Holland Day のサイン入り初期作品"Pilate,1906"は不落札。
現代アート系ではシンディー・シャーマンの"Untitled (Comme des Garson), 1994"が予想落札価格を大きく上回る約30万ドル(約3450万円)で落札された。これは、もともとファッションキャンペーン用のものが、後にエディション6で制作されたもの。
杉本博司の、119X149cmの巨大作品"Villa Savoye, Le Corbusier, 1998"も予想落札価格を大きく上回る約33.6万ドル(約3864万円)で落札されている。
*落札価格は手数料込みの価格。円価は1ドル115円で換算し四捨五入。
Art Photo Site 福川芳郎