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価格の決まり方


コレクターにとって一番関心があると思われるオリジナルプリント価格の決まり方についてご説明します。

1998年秋のオークションでマン・レイの作品が当時のオークション史上最高額記録を樹立しました。どうしてこの写真が高額になったのかというと、作品の希少性と、撮影時とほぼ同時期にプリントされたヴィンテージ・プリントであることによります。 市場に出てくる作品で、特に19世紀後半から20世紀初頭の作品は数が少なく希少性があります。歴史的価値もあり、知名度のある作家の作品はオークションで競り上げられ非常に高価になることがあります。 美術館などが購入すると再び市場にでてくることは少なく、供給量が慢性的に少ないのです。良質作品の市場価格が下落し難いので、 裕福なコレクターもこの分野に力をいれています。不況時で価格が下落しないのもこの分野です。

写真が撮影された時期と、そのイメージがプリントされた時期がほとんど同じ写真はヴィンテージプリントと呼ばれ珍重されています。 プリントイメージに対する解釈が撮影時期に近いほど作家のそのプリントへのオリジナルな感性がより色強く反映されている、と理解されているのです。 撮影後に年月が経った後にプリントされたものはモダンプリントと呼ばれています。
オークションの高値落札の例などを見ても、希少性とヴィンテージ・プリントかどうかがオリジナル・プリントの価格形成の重要な要素となることが分かります。 しかし、ヴィンテージ・プリント信仰はアート写真市場が確立される1980年以前制作の作品に当てはまるケースが多いのです。

最近ではリミテッド・エディションと呼ばれる版画同様の限定販売が米国中心に行われています。 市場に提供する数を限定して、作品の市場価値を安定させることが目的です。 最初に一つのイメージの総販売枚数を10〜30枚ぐらいに設定しています。 安い値段から販売価格が始り、売れていくほど値段が上昇していく価格設定になっています。 従来のヴィンテージ・プリントのようにエディションが若い方が作品の撮影時期に近いから、 価値があることはありません。 逆に作品が売れてエディション番号が上がってくると、将来市場に供給される作品数が少なくなるので 高価になっていくのです。その反対が限定数を設けないのがオープン・エディションです。 欧州、特にフランスではこちらが一般的です。

その他にシルバープリント、プラチナプリント、フレッソンプリントなど、 写真のプリント方法、誰がプリントしたか、保存状態などが価格形成の要素となり、オリジナル・プリントの市場評価は非常に複雑なのです。

出来るだけ簡潔にオリジナル・プリントの評価方法をまとめてみました。

◆オリジナル・プリントの評価はだいたい以下の要素で決まり、市場の需要と供給で価値が決定されます。

  • 作家の名前
  • 題材と人気度
  • オークションでの評価
  • 写真集、ポスター、ポストカード、カタログなどへの複製頻度
  • プリント自体の質感
  • 希少価値
  • 大きさ
  • 歴史上の価値
  • プリントが製作された時期
  • プリントの状態
  • プリント製作者
  • 作品のタイプ(シルバー・プラチナ等)
  • エディションの有無
  • サインの有無
◆ 参考資料<1>
著名な写真ディーラーであるHarry H. Lunn,Jr. 氏によると20世紀の有名作品については、以上の要素の中で “プリントが制作された時期”と“プリントの製作者” がその価値に与える影響度に明確な基準があるそうです。 以下の基準をご参考ください。残念ながらHarry H. Lunn,Jr. 氏は1998年にパリにおいて65歳で亡くなりました。
(Harry H.Lunn氏による100点満点評価、"Photographs : A Collection Guide" 1979 Richard Blodgett著 より)

100点
ヴィンテージ・プリント
作家の撮影後1年程度に本人によりプリントされサインされたもの
80点
モダン・プリント
作家の撮影後年月が経った後に本人によりプリントされサインがあるもの
40点
 
作家の撮影後年月が経った後に本人の選定したアシスタント、プリンターにより作家の指示のもとプリントされサインのあるもの
20点
エステート・プリント
作家の死後作家のアシスタント、プリンターにより生前の作家の指示通りプリントされたもの
5点
 
作家の死後生前の作家と関係のないプリンターによるもの

この基準は既に死亡したり、評価の定まった作家の場合のケースです。現存するコンテンポラリー作家のケースはリミテッド・ エディションが一般的な習慣になったことも加味し、以下の様に評価すべきでしょう。

◆参考<2>
“プリントが制作された時期”、“プリントの製作者”、“エディション”がコンテンポラリー作品の価値に与える基準。

100点
作家によりプリントされ、サインされたリミテッド・エディションのもの。現在は作家自身がプリントする写真はほとんどリミテッド・エディション。
80点
作家の指定のプリンター、アシスタントが作家の管理化でプリントし、作家がサインしたリミテッド・エディションのもの。
70点
作家の指定のプリンター、アシスタントが作家の管理化でプリントし、作家がサインしたオープン・エディションのもの。
40点
作家と関係のないプリンターによりプリントされ、作家がサインしたオープンのもの。
30点
作家のサインがあるがプリントがエディション外のもの。これはプレスプリントもしくは作家によりプレゼントされたもの。但し、その作品が市場で販売されるより前の作品なら価値は高い。
0点
作家のサイン、エディションがないプリント。これはプレスプリントが市場に出た可能性大。

市場価値は上記の価値基準が参考になって決まりますが、 上の点数評価と作品の市場価値とはまったく同じではありません、ご注意ください。


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