コレクターズガイド

FAQ

オリジナル・プリントに関する皆様の疑問にお答えします

.ネガがあるから何枚でもプリントされるのではありませんか。
A.オリジナル・プリント制作は時間と根気強さが求められる行為です。 ネガさえあればすぐに何枚でもプリントできるものではありません。納得のいく完成品ができるまで何度も試行錯誤を繰り返し、 膨大なデータを蓄積していくのです。またいくらデータがあっても制作する環境は一定ではなく、簡単に量産できるものでもありません。 だいだい作家はどちらかといえば撮影を好み、写真のプリントに時間をかけたがらないのが現実です。

最近はプリンターという専門家がプリント作業を行うケースが増えてきました。 プリンターの技術も千差万別です。一流作家のプリントはアーティストとプリンターの共同作業となります。 物理的にはプリンターがオリジナル・プリントを無限に制作する ことは可能です。しかし、金儲け目的で自分の作品を軽く扱う作家に芸術性やオリジナリティーが 備わっているケースはなく、需要がない大量生産は経済行為として成立しません。
なお、欧米では作家は作品制作を、プリンターがプリント制作を 行うように仕事が完全に分業化されています。

1枚のネガから制作されるオリジナルプリントの数は案外少ないものです。 アンセル・アダムスの"Moonrize Hernandez 1941"などは例外で、エドワード・ウェストンの有名な"Pepper No.30、1930"でさえ僅か12枚しか売られてないのです。
1980年以降は、現存するプリント数と将来のプリント予定枚数をコレクターに明らかになるように、 リミテッド・エディションが導入されました。しかし、まだ標準ルールが確立された訳ではなく、 盲信は禁物です。
作家によってはエディション外でプリントする人もいるし、 サイズを変えて同じイメージにエディションを付けて売る人もいます。コレクションのビギナーは専門家の意見を聞くのが得策でしょう。

Q.オリジナル作品からの複製が心配です。

A.物故作家の場合、モダンプリントをヴィンテージものと偽って高価で売ろうとすることはたまにあるようです。 最近、米国でルイス・ハインの作品が大きな問題になりました。
複製の制作、販売は、今のところ大きな問題にはなっていませんが、市場価格の上昇に連れて将来的に発生する可能性は否定できません。 複製はネガの複製と、プリント自体からの複製と二つ考えられます。実際、正式に物故作家のオリジナルネガからプリントして、廉価に販売されているケースもあります。これはエステート・プリントと呼ばれています。
もし大型カメラで本物を複写して、サインまで真似されると、熟練したコレクターや専門家以外は判別不可能です。 雑誌などに掲載される場合はオリジナルや写真集から複写して利用するケースが多くあります、 それらが本物と偽って売られることもないとは断言できません。
ニセモノをつかまない為には信用のあるギャラリー、オークションで購入することです。 個人ベースでの売り物の真贋はあなたの目利きにかかっています。特にネット・オークションや 外人からの商談の持ち込みには注意が必要です。

Q.エディションのシステムについて教えてください。

A.オリジナル・プリントには将来販売する作品数を限定しない“オープン・エディション”と 版画のように限定する “リミテッド・エディション”があります。後者の場合、作品が売れるごとに販売価格が上昇するシステムになっています。 人気の高いイメージは市場の 需給関係によっては値段が上昇する可能性があります。詳しくは、価格の決まり方をご覧下さい。

Q.投資としての将来性はどうでしょうか。
A.オリジナル・プリントの投資基準として“フォトグラフ・コレクター”という米国のニュースレターが発表しているオークション・インデックスが一つの目安になります。 これはオークションに頻繁に出展される25の分野の写真家、写真家グループの作品を1975年をベースにインデックス化したものです。美術作品の価値は株価の動きにほぼ連動していると言われていますが、写真作品も同じです。このインデックスによると1975年から2001年秋のオークションまでに株価は1147%、一方写真作品は2236%も上昇しています。 一時ネットバブル崩壊による株価の下落でアート写真のインデックスも低下しましたが、その後回復しています。
このインデックスには1940年以降の現代作家がアンセル・アダムス、ウィジー、アービング・ペンユーサフ・カーシュ、ミルトン・グリーン、ジュディー・データーしか含まれていないので注意が必要です。
オークションに出ない現代作家については現時点でまだ評価が定まっていないと理解しておけば良いでしょう。しかし、インデックスに採用されている作家の作品も最初から人気があったわけではありません。将来性があるのに、現時点ではオークションにたまにしか出なく、価格が安い作家の作品は数多くあります。 そういう作家の中から自分の気に入ったオリジナル・プリントを購入しておけば、長期投資としては非常に魅力的ではないでしょうか。
Q.最近増えているカラー写真、デジタル写真の耐久性について教えてください。

A.
カラー写真
“100年プリント”という製品が宣伝されてたように、カラー写真は昔とは違い耐久性が格段に上がっています。中でもイルフォクローム・プリントは耐久性に優れ、メーカーによると約200年の耐久性があるとのことです。
現在、多くのアーティストがカラーで作品を発表しています。 専門家により正しく処理されたプリントであれば耐久性も安心です。 しかし他の美術品同様、直射日光や極度の湿気などの劣悪な条件での作品展示は 避けてください。

デジタル写真
最近は多くのアーティストがデジタル作品を発表しています。 アイリス・プリントもデジタルインクジェット写真の一種です。顔料系のインク、耐久性の高い無酸専用用紙などを厳選し、 専門家による厳しい管理下で制作されていればデジタルプリントでも銀塩写真なみの耐久性があると言われています。 しかし他の美術品同様、直射日光や極度の湿気などの劣悪な条件での作品展示は避けてください。

Q.オリジナルプリントの保存、展示方法は?

A.普通の美術作品と同じ注意が必要です。特に日光は写真作品の大敵です。日にあたることでプリントが化学変化をおこし、 変色するリスクがあります。直射日光の当たる場所に写真を飾るのは避けてください。 間接光も長時間当て続けるのは得策とは言えません。 定期的に額の位置を変更することをお勧めします。
普通のガラスの代りにUVカット加工された製品を使用するのも良いでしょう。 過度の湿気も日本では大敵です。出来るだけ空気の循環に心がけて湿気を減らすようにようにしてください。
参考までに理想的な保存温度は摂氏18度、湿度40%と言われています。しかし実際的にこの状態を維持することは非現実的です。 個人コレクターはまず写真がエアコン、ストーブ、加湿器、電気製品のそばなど熱や湿気が極端な環境に飾らないことを最低限心がけるべきです。
しかし極端に神経質になる必要はないと思います。問題意識として日光、温度、湿気に注意する心がけを忘れないようにすれば良いでしょう。

Q.オリジナルプリントの状態について
A.日本人の中には潔癖症の人が多く、プリント状態に極端にうるさい、と米国の関係者が話していたことがありました。 確かに日本では市場が新しいのでプリント自体は完璧であるべきと思われている部分があるようです。 しかし、人間の手作業で制作されるオリジナル・プリントです。 欠点が何もないことは有り得ないという解釈もできないことはありません。 要は程度の問題なのではないでしょうか。印画紙を手で持つと、両手で注意していてもクリースと呼ばれる軽い皺がつくことがあります。 また表面に軽い擦り傷がつくこともあります。スポッティングという、ネガ自体のごみから発生した プリントの一部分を作家またはプリンターが修正することもあります。 欧米市場ではこれらの点は作品の価値には影響はないというのが一般的のようです。
オークションでは、かなり状態の悪いモダンプリントでも平然と入札されています。 どうも折れ目、深い傷、極端な変色などがなければ写真の価値にあまり影響がないようです。 プリントの状態に関しては極端に神経質になる必要はないと思います。 

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