■ 大和田良写真展「I-D」
(2005.11.8-12/17、13時〜19時、日月休み)

フォトグラファー、デザイナーとして活躍する一方で、写真で作品制作を続けている大和田良の写真展『I-D(アイ・ディー)』です。
若手写真家として注目されている大和田良は本年スイス・ローザンヌのエリゼ写真美術館が開館20周年を記念して主催した“明日の有望写真家50人”にも選出されました。記念写真展「ReGeneration」は同館で10月23日まで開催され、来年4月にはニューヨーク・アパチャーギャラリーに巡回予定です。
本展では“明日の有望写真家50人”の受賞作品の「ラウンド」とともに、自らの子供時代に遊んだおもちゃをモチーフにした「ソース」、日常生活を撮影した多数のスナップ写真の3シリーズで構成されています。
子供時代は自分が世界のすべてで誰しもが万能感を持っています。社会の価値観に自分を合わせるようになり大人になります。しかし社会生活が長くなると、環境に過剰適応して自分自身を見失います。社会人としては立派に見えても個人的に虚無感に潰されそうになります。「ソース」のテーマである子供時代によく遊んだおもちゃを思い出すことは自分自身を再確認する行為なのです。子供の時に自分が好きで楽しかったことはその人の本質が一番現れています。膨大な選択肢がある現代社会でも自分の好きを常に意識できたら自由に押しつぶされることなく前向きに生きていけるというメッセージなのです。
「ラウンド」の重層的イメージは瞑想を思い起こさせます。「ソース」で自らに意識的であることを指し示した大和田は、瞑想でも自分を客観視できるよと語っています。瞑想では色々湧いてくる雑念を頭から消し去ることを目指します。その瞬間には悩みから開放され本来の自分を取り戻せます。枯れていた精神エネルギーが充電できるのです。海外での大和田の評価は瞑想というキーワードを持つ本シリーズがきっかけでした。
ギャラリー内で数多く展示される小振りのスナップ写真は上記の二つのシリーズをつなぐ役割を持っています。これは仕事、家庭、趣味など様々な局面を持った社会での日常生活を表しています。私たちの感覚は状況によって過去、現在、未来を行き来しています。一部作品の中には「ソース」につながる、子供時代に見たデジャブ(既視感)のようなイメージや、瞑想感が漂うイメージも発見できます。同時に私たちが日常生活でこだわる、お金、地位、評価、異性、生存を象徴したイメージがちりばめられています。
大和田は9月14日に27歳になります。現在、社会的に注目されているジェネレーションYとよばれる世代です。本作品には、世の中は不条理で明るい未来は見えないけれども自分らしく生きるしかないという彼らの醒めた感覚が色濃く反映されています。またそのために、個人主義に徹してでも自らの存在意義つまり、I-D(アイ・ディー)を発見することが大事なんだ、という彼の忙しい現代人へのメッセージがこめられています。
今後日本社会の中心となる新世代を代表するアーティストの世界に多くの方に触れていただきたく思います。本展では大小さまざまなサイズで制作された写真作品約60点が展示されます。
○大和田良プロフィール
プロフィール
1978年 仙台市出身
2002年 東京工芸大学美術学部写真学科卒業
2003年 東京工芸大学院芸術学研究科メディアアート専攻修了
写真作家集団 StairAUG.を企画 http://www.stairaug.com/
主な個展
2004年 「World of ROUND」コニカミノルタプラザ 新宿
2005年 「SOURCE」ニコンサロン 新宿、 大阪
2005年 「I-D」アート・フォト・サイト・ギャラリー 目黒
主なグループ展
2003年 TPCC受賞記念展 東京写真文化館
2004年 StairAUG. Photographics コニカミノルタプラザ 新宿
2005年 ReGeneretion. 50 Photographers of Tomorrow
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