DOMANI・明日2020
傷ついた風景の向こうに

日本博スペシャル展—文化庁新進芸術家海外研修制度の成果

国立新美術館 企画展示室2E(六本木)

文化庁は、将来の日本の芸術界を支える人材の育成のため、若手芸術家が海外の関係機関等で行う研修を支援する「新進芸術家海外研修制度(在研)」を1967年度から実施しています。「DOMANI・明日展」は美術分野におけるこの研修の成果発表の場として1998年から開催されている展覧会です。今回は、東京オリンピック・パラリンピック年の冒頭にあたり国が展開する「日本博2020」のプログラムに参画する特別版として開催。「傷ついた風景の向こうに/ Landscapes in Our Age: Scarred and Reborn」をテーマに、多世代から精選した、国際的に知名度の高い作家から新進作家まで11名による作品が展示されます。
同展企画者である林 洋子氏は、制作意図を「平成とは、自然災害の多さで記録される年月でもあった。昭和後半のような安定的な自然観にリアリティーを持ちえない作家たちの近年の制作に気付いていたので、あらためてそうした視点でアート・シーンを切り取ってみようと考えた」と、カタログ掲載のエッセーに語っています。(傷ついた風景の向こうに-2020年代「以降」のアート・シーンへ、カタログ006ページ)

写真作品では、最初の「プロローグ――身体と風景」で、石内 都(1947-)の「傷跡」シリーズからモノクロの巨大作品4点、「Mother's」、「ひろしま」から各1点を展示。また、米田 知子(1965-)による、20世紀の歴史を刻印した場所の時を経た姿を撮影したカラー作品「Scene」5点、モノクロ作品「コレスポンデンスー友への手紙」シリーズから6点が展示されています。
続く「1.傷ついた風景-75年目を迎える広島都長崎」では、広島出身の藤岡 亜弥(1972-)による、爆心地の周りを川からとらえたカラー作品「川はゆく」20点を展示。
「3.風景に生きる小さきもの」では、世界的な昆虫写真家として知られる栗林 慧(1939-)と、現代芸術作家の栗林 隆(1968-)によるコラボレーション作品を展示。息子の栗林 隆が栗林 慧の作品をプロデュースしています。
最後のパート「エピローグ――再生に向かう風景」では、畠山 直哉(1958-)が、震災の津波の刻印が残る樹木などの風景を造形的にとらえた新シリーズをはじめてまとめて展示。会期中には、テーマ対談、ダンス・パフォーマンス、各作家とゲストによるアーティストトークなどの様々なイベントが予定されています。

展示構成と展示作家
 プロローグ――身体と風景
  石内 都(写真作品)
  米田 知子(写真作品)
 1. 傷ついた風景――75年目を迎える広島と長崎
  藤岡 亜弥(写真作品)
  森 淳一(彫刻作品)
 2.「庭」という風景――作家の死を超えて
  若林 奮(彫刻作品)
 3. 風景に生きる小さきもの
  栗林 慧(写真作品)
  栗林 隆(現代美術作品)
 4. 傷ついた風景をまなざす、傷ついた身体
  佐藤 雅晴(現代美術作品)
 5. 自然の摂理、時間の蓄積
  日高 理恵子(絵画作品)
  宮永 愛子(現代美術作品)
 エピローグ――再生に向かう風景
  畠山 直哉(写真作品)

開催情報
1月11日(土)~2月16日(日)
10:00~18:00、金曜土曜は20:00まで
入場は閉館の30分前まで
休館日
毎週火曜日(2月11日(火・祝)は開館、12日(水)は休館)
入場料
一般1,000円、大学生500円、
初日の1月11日は無料





石内 都《Scars#26 illness 1961》1999
京国立近代美術館蔵 
🄫Ishiuchi Miyako