小鹿総一 "Flowers in neutral moment"シリーズ
ポラロイド・イメージトランスファーについて


技法について

この技法は、剥離タイプのポラロイドフィルムを露光後、暗室内で現像途中に剥離をし、フィルムを任意の支持体(和紙や水彩紙など)に圧着して画像を転写させプリントを得る技法です。
通常の写真とは異なり転写処理後はネガやポジが存在しないため、複製を作ることが出来ません。
また、処理中の気温、処理液の温度、初期の現像時間、転写処理に使用する薬剤による化学変化、圧着時の方法などの複合した要素により現れるさまざまな変化を利用するため、同じ被写体を撮影し同じ処理を行ったとしても全く異なる表現を持った作品となります。
従って、作品は絵画と同様1点もので、エディションはありません。


表現方法としてのイメージトランスファー

広告写真の世界に入る以前、油彩での絵画を表現の手法として学んでいた私は、写真を始めてからも絵画的な表現手法を写真に取り入れることが出来ないものかと様々な方策を試し、模索していました。
約15年程前、コマーシャルの撮影をスタジオでしていた時、全くの偶然でポラロイドの画像が他の紙などに転写することを知り、その当時同じく研究、模索をくり返していた古典印画技法のプラチナプリントの支持体として用意していたアルシュのコットンラグペーパーに転写をしたところ その絵画的表現の可能性に驚き、以来完全に画像を転写し、意図する色を得る独自の方法を確立するため研究を重ねてきました。
初期の方法ではありましたが、1992年には銀座コダックサロンにて、20×24inchのイメージトランスファーの作品を含め、約30点のイメージトランスファーの作品を発表しています。
画像の保存性に関しては当初より情報が全く無かった為、考えられるかぎりのアーカイバル処理を施したことも少しは幸いしたのか、約15年を経過した初期の作品を含め、色相、濃度とも 現在のところ変化は見られません。
只、現在の方法をもってしても、今だ解明出来ない点も有り、作品作りをする度に新たな疑問 や驚きに出会います。そのため、今後のさらなる取り組みが必要ですがその偶発性を含めた 表現は他には無く、写真の新しい表現方法の一つとして大きな可能性と魅力を持ち合わせており、 今後も私の作品制作の主たるテクニックとして使用して行きたいと思っています。

小鹿総一


  

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