Signal Noise

Radius Boks, 2018

Aaron Rothman(アーロン・ロスマン)


アーロン・ロスマン(1974-)は、型破りなデジタル処理が行われて制作された、現代アート的な風景作品で知られる米国人アーティスト。現在はアリゾナのフェニックスに在住しています。

本書は、ロスマンによるアメリカ西部での約10年の仕事の集大成。人間の自然世界と繋がっていたいという願望と、その能力の限界を果てしなく考えさせてくれます。彼が興味を持ったのは記憶が次第に遠のいて消えていく効果。実際の経験と呼ぶ起こされる記憶とのギャップです。デジタル的にイメージを階層化することで、各々の元イメージからのデータがどのようにお互いに作用して、ヴィジュアルが干渉し増幅する領域を作り上げるかの探求を行っています。それには、懐かしい感じと、不気味な不自然さが共存しています。

光の強いアリゾナの夏では、光が輪郭と詳細をはぎ取り、表面をフラットにします。この光の感じを表現するために、彼はデジタル的に写真から影を取り除き、それらの中に不自然な明るい色を塗り、 太陽の輝きに対応する人工的な強さを作り上げています。
"Wildflower"では、自生の植物が荒野でより完璧に栽培されている場所を撮影。影の部分を、パターンに分解しないように、かわいい装飾的な壁紙のような色と入れ替えています。現実の自然に存在する構造上の障害は、デジタル的干渉を徐々に浸食していきます。
また"Rock"では、自然保護区の石の構成部分から、影を同様に取り除いています。より基本的な物性が表れ、かつイメージの装飾性は損なわれていません。

多くの人は、デジタル加工はファッション写真などで見られる非常に意識的なプロセスだと認識しています。しかしロスマンのアート表現では、コントロールの喪失を意図的に創作しようとしています。いくつかのパラメーターは設定するものの、多くの創作活動は偶然にゆだねています。結果として生まれる作品は、視覚的にあいまいで、概念的に様々な解釈を可能としています。それらは、抹消と忘却の行為であるとともに、また、拡大、逆転と蓄積をも含みます。彼は、これまでより乱雑で不確かな自然界との人間との関係を提示しようとしているのです。

ハードカバー: 124ページ、サイズ 35.6 x 1.9 x 28.6 cm
64点の図版を収録。