The Heights

Aperture, 2019

Matthew Porter(マシュー・ポーター)


マシュー・ポーター(1975 -)は、70年代のカーチェイス映画に触発されて、ヴィンテージ・マッスルカーでの作品に取り組みます。2004年にTVドラマ「刑事スタスキー&ハッチ」のリメイクとして映画化された「スタスキー&ハッチ」の、レンズフレアが車のボンネットにふりかかり空中で動かない最後の方のシーンを見てアイデアが浮かんだそうです。それはストーリーを語ることがないものの、アイコニックな瞬間を代表しています。どんな映画でも、皆あまり内容を覚えていません。しかし繰り返し紹介されるカーチェイスのスティール写真は、記憶に残り、それは想像力を直接的に掻き立てます。ポーターは、自身の飛んでいるクルマの写真作品が、見る側にそのように機能することを意図しているのです。彼の作品では実車を撮影していません。すべてがオンラインで購入された1/18スケールのダイキャスト・ミニカーです。ミニカーは彼のブルックリンのスタジオで、機械式アームから操り人形のようにぶら下げられ、慎重にライティングが行われて撮影されます。そして、ポーターが大判カメラで撮影したストリート・シーンと融合されるのです。このように6070年代のテレビや映画のようなクラシックなシーン、しかし危険なほど高く飛んでいる鋼鉄の塊の写真作品が考案されるのです。

本作は、フランスの画家イヴ・クラインによる、彼自身が塀の上から道路の上空に向けて跳躍している「空虚への飛翔(Saut dans le vide)」(1960年作)というパフォーマンスの写真に類似しているといわれています。同作も、2枚のネガの合成で制作され、空中を飛ぶという夢を写真化して、自由奔放の印象を作り上げています。

ペーパーバック: 55ページ、サイズ 27.9 x 0.8 x 30.7 cm
25点のカラー図版を収録

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(マッスルカーの意味)
高出力のエンジンを搭載した、60から70年代のアメリカ製の2ドア・スポーツカー