2023-10-3

  

デボラ・ターバビル

TURBEVILLE, Deborah (1938-2013)

デボラ・ターバビル(1938-2013)は、米国マサチューセッツ州ストーンハム出身の女性ファッション写真家。もともとはモデルやデザイナーのアシスタントを行っており、1963年にハ―パース・バザー誌に加入し、ファッション・エディターのマーヴィン・イズラエルと仕事を行います。1966年に初めて写真を撮影。仕事仲間のリチャード・アべドンが彼女のブレた写真を気に入り、彼から撮影テクニックを学びます。そして1972年に写真家のキャリアに転じ、サックス・フィフス・アヴェニューのスタイリッシュなポートフォリオがファッション写真界で注目されました。
彼女を有名にしたのは、1975年ヴォーグ・アメリカ版掲載の、Bathhouseシリーズです。
同作は、アウシュビッツ、性倒錯、ドラッグなどを彷彿させると論争が巻き起こしたことで知られています。またパーソナルな感覚を重視してファッション写真に取り組んだ最初の写真家の一人でもあります。従来のかわいい女性ではなく、孤立した女性像を持つモデルを好んで起用し、彼女たちが自分のファンタジーの世界に入り込むのを求めたことで知られています。「私はあなたが行くことができない、女性のプライベートな世界に入り込みます」と自作を語っています。
また、フィルムやプリントをオブジェのように取り扱い、傷、皺、折れなどの様々な手を加えクラシックで退廃的な雰囲気のファッション・イメージを作り上げた先駆者です。
ギィ・ブルダン、ヘルムート・ニュートンとともに70年代のファッション写真に「憂鬱・アンニュイ」や「暗さ」といった要素を取り入れ、「ファッション写真を前衛芸術に変えた」と評価されることもあります。

Bathhouseシリーズは、その他作品と共に編集され写真集"Wallflower"(1978年、Congreve刊)として発表されます。その後に刊行されたヴェルサイユ宮殿を撮影した"Unssen Versailles"(1981年、Doubleday刊)はいまでもコレクター人気の高い絶版本です。日本では、パルコの広告キャンペーンを手掛けており、1985年には"過去を恋する女たち"(Parco出版)が刊行されています。