2023-1-22
SUGIMOTO, Hiroshi (1948-)
杉本博司は1948年東京生まれ。立教大学経済学部卒業。 世界各地を旅行後、1970年にカリフォルニアに居を構え、ロサンゼルス・デザインアート・センター・デザイン・カレッジで 写真を学びます。当時はミニマルアートとコンセプチュアルアート花盛りで、その後の彼の作風に多大な影響を与えています。1974年にニューヨークに移り、8X10の大判カメラで写真撮影を行い現代美術の作家活動を開始。現在は、東京及びニューヨークを拠点としています。しかしほとんどの時間、進行中のシリーズの新モチーフを捜して世界中を旅しています。
1976年から各地の自然史博物館の3次元展示による剥製動物をまるで生きているかのように撮影する“ジオラマ”シリーズを開始。1978年からは光そのものをテーマにした出世作である“劇場”シリーズに取り組んでいます。これは全米各地の1920年~30年代に建てられた映画館やドライブイン・シアターを訪れて撮影されたものです。映画の上映時間の間シャッターを開き続け、 スクリーンと劇場風景を記録した作品です。
1980年には“シースケープ(海の風景)”シリーズを開始。カリブ海、死海、バルト海、日本海など世界中の海で同一手法により撮影されたイメージは どれも個性的な表情を持った空と海とに二分割されています。太古も現在も、そして未来においても変わらないであろう空気と水の風景を通して時間の感覚を表現しています。 このシリーズはミニマルアートとして高い評価を得ています。
1997年からは世界的に有名な傑作建造物に取り組んだ“建築物”シリーズ、そして1999年から蝋人形のポートレート撮影(写真集"Sugimoto Portraits")を手掛けています。 近年は建築分野との関わりも持ち始めています。1999~2002年には ベネッセコーポレーションが運営する瀬戸内海の直島コンテンポラリーアートミュージアムの 護王神社再建プロジェクトの設計にも携わっています。
その他作品シリーズに、京都服飾文化研究財団が所蔵する服飾作品をマネキンに着せて撮影した「Stylized Sculptures」、数理模型を撮影した「関数模型」、放電現象の像を直接フィルムに感光させた「Lightning Fields」などがあります。
主な作品展として、
2003年、東京銀座のメゾンエルメスで「歴史の歴史」展を開催。杉本自身が選んだ古美術品と、写真作品を組み合わせて一緒に見せることを試みました。
2005年、森美術館を皮切りに世界巡回する回顧展「杉本博司:時間の終わり」開催。
2008年、金沢21世紀美術館で「歴史の歴史 杉本博司」開催。
2016年秋には東京都写真美術館の総合開館20周年記念展として「ロスト・ヒューマン」展を開催。人類と文明の終焉という壮大なテーマを、アーティストがアートを通して、近未来の世界を夢想するという、形式で提示しています。
2022年、姫路市立美術館で「本歌取り-日本文化の伝承と飛翔」を開催。
2009年、伝統芸能の次世代への継承と現代美術の振興発展に努め、世界的視野で日本文化の向上に寄与することを目的とする小田原文化財団を設立。2017年には杉本芸術の集大成として、ギャラリー、茶室、庭園、石舞台を含む総合施設の江之浦測候所を開館。同測候所は、なんと現代文明が滅びた後も古代遺跡として残ることを想定して作られているとのことです。
2001年 ハッセルブラッド国際写真賞受賞
2009年 第21回高松宮殿下記念世界文化賞受賞
2010年 秋の紫綬褒章受章
2013年 フランス芸術文化勲章オフィシエ叙勲
2017年度文化功労者
明確な作品テーマとコンセプトを持った杉本の美しいオリジナルプリントは国内外で非常に評価が高く、 世界中の主要美術館でコレクションされています。 オークションでは現代美術のカテゴリーで扱われており、個人コレクターの人気も高く、値段は非常に高価になっています。