2023-1-20

  

アンドレアス・グルスキー

GURSKY, Andreas (1955-)

アンドレアス・グルスキーは1955年ドイツのライプチヒ生まれです。父親は商業カメラマンで1957年からはデュッセルドルフで写真スタジオを経営しています。
1978~1981年までエッセンのドイツ有数の写真学校フォルクワンクシューレで学びます。一時期ハンブルグでフォトジャーナリストを志しますが、1981年にアンセルム・キーファーやゲルハルト・リヒターなどを 輩出したことで知られる前衛教育で有名なデュッセルドルフ美術アカデミーに入学します。彼はその後7年間に渡ってトーマス・シュトゥルートなどともに勉強しています。彼の指導者はミニマルアートで知られるベッヒャ-夫妻で、 写真家であるとともに表現者としてのキャリア形成の重要性を教え込まれたそうです。彼はベッヒャ-夫妻の冷徹なほど客観的な写真表現法を5X7フォーマットのカラー写真で実践し次第に評価されるようになります。

1980年代後半には、広大な風景に人間が点在する、焦点のない均一な作品の制作を開始します。 プールに点在するスイマー、山登りのハイカーなど、人間を風景の一部とした作品は初期の重要作として評価されています。1987年にはデュッセルドルフ空港において初個展を開催しています。
1990年代からの作品は東京証券取引所での撮影が大きな転機になっています。事前に計算し尽くされて撮影、制作された作品はベッヒャ-夫妻からの影響をうかがわせます。それ以降、社会のグローバル化をモチーフとする表現を開始、 オフィスビル、巨大ホテル、ハイテク工場、港湾施設などを世界中で幅広く撮影するようになります。 彼はポスト産業資本主義のグローバル経済が浸透した社会の代表的シーンを、多数の人が集まる、ロックコンサート、巨大ショッピング・モール、ディスカントショップ、 証券取引所、サッカースタジアムに求めます。個人が巨大消費社会の中の閉じられた空間で意味を与えられている(再魔術化)状況を描き出しています。 現代社会のグローバル化経済に潜む覆い隠された本質を巨大で眩いカラー作品で表現することで一気に高い評価を得るようになります。 90年代を通してデジタル技術を駆使し試行錯誤を繰り返しながら超リアルで巨大な作品制作に 挑戦しています。 日本では2013年7月3日から9月16日まで、東京の国立新美術館で「アンドレアス・グルスキー」展を開催しています。

2001年、ニューヨーク近代美術館で個展が開催されるとともに同年11月のクリスティーズ・ニューヨークのオークションでは"Montparnasse,1993"が予想落札価格のほぼ2倍の $600,000.(@134、\80,400,000.)で落札され話題となります。
さらに、2007年2月7日ササビース・ロンドンでの現代アートオークションで代表作の、 "99-Cent II, Diptych,2001" が170万ポンド(334万ドル)というオークションでの写真作品の最高落札価格で落札されます。 これは当時の為替レート1ポンド約237円で換算すると約4億290万円。
2011年11月にクリスティーズNYで開催されたPost-War Contemporary オークションでは、"Rhein II, 1999"が433万8500ドルで落札、グルスキーのオークション落札最高額記録を更新しただけでなく、当時の写真作品の最高落札価格の記録を更新しました。 現在ではトーマス・シュトゥルートらとともに ドイツ系コンテンポラリー・アーティストの代表アーティストとして非常に高く評価されています。