2023-1-22
Mack, 2020
Stephen Shore(スティーブン・ショア)
スティーヴン・ショア(1947-)は、カラー写真でシリアス作品に取り組んだニューカラーの代表的写真家の一人です。1970年代から米国中を旅行して、アメリカ地方都市の原風景を撮影。35ミリカメラで撮影した、写真によるロードムービー的な作品の「American Surfaces」、大型8X10 ビューカメラによる「Uncommon Places」を発表しています。何気ない風景を客観的な視点で撮影したカラー作品は、アメリカ原風景の残り香を感じられることから幅広い層に支持されます。彼の一連の作品は、カラーによる巨大風景作品を制作するアンドレアス・グルスキーやトーマス・シュトゥルートなどの現代アート系作家にも多大な影響を与えています。
ショアは「Uncommon Places」制作時に、大型8X10ビューカメラとともに小型の35mmライカ・カメラを携帯していました。彼は、カラー・スライド・フィルムで、パーソナルで、自然発生的で、親しみのある写真を撮影。その一方で、それらの作品はショアの周到に計算された繊細なフォルムのスタイルを持っています。これらの完全な未発表作品は、彼のアイコン的作品がまるで新しい調子で音楽が演奏されたかのように、平行して繰り返し登場してきます。被写体になっているのは、彼の作品で見慣れた、ハイウェイ、ストリート・シーン、ショップ、家屋、インテリア、電話ボックス、ファーストフード、光あふれる駐車場などです。しかしショアは、本作の新たなフォーマットで、構図、アプローチ、色彩などの明らかな実験をおこない、見慣れた被写体の新たな視覚化に挑戦しています。
あとがきの「Ordinary Speech: The Vernacular in Stephen Shore’s Early 35mm Photography」は、ロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)のキュレーター、ブリット・サルヴェセン(Britt Salvesen)が担当しています。
ハードカバー、サイズ 31.4 x 30.4 x 2.5 cm、多数の図版を収録。