2023-2-18
Steidl, 2020
Gordon Parks(ゴードン・パークス)
ゴードン・パークス(1912-2006)は、米国カンサス出身の写真家、映画監督、ミュージシャン。主要な映画を監督/制作した最初のアフリカ系アメリカ人として知られています。
1948年、ハーレムのフォト・エッセーが評価され、ライフ誌のスタッフ・カメラマン/ライターに起用されます。1940年代から70年代にかけては、公民権運動、貧困、アフリカ系アメリカ人をテーマにしたドキュメント写真で活躍。特にライフ誌で発表された、心に強く訴える、ヒューマニスト系のフォト・エッセーは有名です。
1957年、パークスはライフ誌の仕事で、知られざるアメリカの犯罪の現状をドキュメントするため、全米のニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、ロスアンゼルスなどの大都市を約6週間かけて旅行します。当時のパークスは最初のアフリカ系アメリカ人のライフ誌のスタッフ・フォトグラファーとして既に約10年間の仕事の実績がありました。彼は、同作でカラー写真を取り入れています。その結果に生まれた、8ページに及ぶフォトエッセイ「犯罪の雰囲気(The Atmosphere of Crime)」は、大胆で洗練された審美眼を持つとともに、また主流メディアで広まっている犯罪性についての固定観念に挑戦した注目すべき仕事でした。彼は、豊かな色彩と映画的な描写で、暴力、警察の仕事、投獄など、一般社会から隠された世界を共感を持って率直に表現しています。パークスは、非行、薬物使用、汚職などの、ありきたりの表現を拒否し、犯罪行為と結びついた社会的・経済的要因が反映された、よりニュアンスのある見方を選択。その当時のアメリカの大衆文化の中で流行していた、ギャング映画のロマンチシズム、犯罪サスペンス、人種的に偏った犯罪性の描写を超え、現実を鮮明に説得力を持って記録するためにカメラを巧みに取り扱います。ライフ誌の読者は、彼の仕事により、これらの慢性的に単純化されていた状況の複雑さを理解できるようになるのです。
本書には、パークスのオリジナル・ルポルタージュで撮影された未発表写真も数多くに収録されています。ゴードン・パークス財団とニューヨーク近代美術館との共同出版です。
ハードカバー: 168ページ、サイズ 26 x 1.3 x 29.8 cm、約90点の図版を収録。