2023-1-23
Museum of Modern Art, 2022
Wolfgang Tillmans(ヴォルフガング・ティルマンス)
ヴォルフガング・ティルマンス(1968-)は、現代の欧州で最も高く評価されているドイツ出身のアーティストです。初期の友人のポートレートから、カメラを使わずに暗室で制作された抽象的作品、コピー機で制作された作品、ドキュメント、天文現象、親密なヌード、建築物へのスライド投影まで、様々なの方法で写真表現の限界の拡大に挑戦してきました。彼は、アーティストの役割を社会的、政治的な目的の「増幅器」であると考え、そのアプローチには、つながりや一体感を生み出す可能性が秘められていると考えています。
またティルマンスは、写真表現の一般的な慣習を否定し、写真と展覧会の社会的な空間とのつながりを継続的に発展させてきました。彼のインスタレーションでは、額装されていないプリントは壁にテープで貼り付けられ、あるいはピンで吊るされています。また、壁やテーブルの上には、コピーされたイメージの数々が配置され、作家の考える視覚的民主主義の実践を例証しています。「私のインスタレーションは、私の見方、私が環境を認識する方法、あるいは認識したい方法の反映であると考えています。それらは常に私が生きたいと思う世界でもあるのです。」とティルマンスは述べています。
本書は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で、2023年1月まで開催されているヴォルフガング・ティルマンスの展覧会に際して刊行された、彼の40年にもわたるキャリアを豊富な図版で本格的に紹介するカタログです。ティルマンスは、「鑑賞者は、自分の目、自分の人生を通して私の作品に入るべきだ」と語っています。彼は長年にわたって、鋭い観察眼を持ち、まばゆいばかりの写真を撮影してきました。それらの写真を通して自らが世界と関わることの意味を探求してきたのです。同展ではそのキャリアの幅と深さを余すところなく紹介。本書には、写真、インスタレーション、プリントメディア、ビデオなどを網羅し、ティルマンスの幅広いキャリアを最も包括的に説明。同時に、アーティストが考える「今を生きること」を私たちに体験させてくれるものです。
ハードカバー : 約320ページ、サイズ 24 x 30 cm、約400点の図版を収録。