2023-3-31

  

Chris Killip

Thames & Hudson, 2023

Chris Killip(クリス・キリップ)

クリス・キリップ(1946- 2020)は、マン島出身の写真家です。 1970年代から1980年代にかけて行ったイングランド北東部の労働者階級のコミュニティと人々の生活のドキュメントで知られています。 彼は、鉱山労働者、造船労働者、漁師など、産業空洞化による伝統産業の終焉により疎外された人々の生活を無意識のうちに撮影。 モノクロの、切迫した、率直で、共感できる写真で定評があります。
代表作は1988年に出版された「In Flagrante」(Martin Secker & Warburg刊)、社会派ドキュメンタリーの金字塔として、 何世代にもわたって若い写真家たちに影響を与えています。 写真家マーティン・パーは、同書を「戦後に刊行されたイギリスに関する最高の本」と評しています。 その後は1991年にアメリカに渡り、ハーバード大学で25年以上にわたって写真を教えています。
キリップは、歴史が描き出せない生きた経験の記録が自分の使命であり、そのためには、撮影したコミュニティの一員として生きることが必要だと考えていました。 彼は 「私が実践している写真は、特定の時間や場所で、人々の生活の中の本当の瞬間を描き出している。ある意味、私は自分のことを歴史家だと思っているが、 その言葉にはこだわらない。 歴史はほとんど距離が置かれて書かれており、それに耐えた人々の視点から書かれることはない」と語っています。

本書は、ロンドンのフォトグラファーズ・ギャラリーで2022年秋から2023年秋開催され、その後巡回予定の本格的な初回顧展に合わせて刊行されました。 キリップの主要シリーズと、あまり知られていない作品を紹介しています。ブックデザインはニール・スウィーニーとナイジェル・トラスウェルが担当。 ブレット・ロジャースの序文、ケン・グラントによるキリップの人生とキャリアをたどる詳細なテキスト、グレゴリー・ハルパーン、アマンダ・マドックス、リンジー・ハンリーによるエッセイも収録されています。

ハードカバー : 253ページ、サイズ 31.5 x 2.79 x 25.4 cm、多数の図版を収録