2025-5-15

  

The Way Back: Bruce Davidson

Steidl, 2024

Bruce Davidson(ブルース・デビットソン)

ブルース・デビットソンは、1933年米国シカゴ生まれ。少年時代から写真に興味を持ち、ロチェスター工科大学で写真を学び、エール大学ではアレクセイ・ブロドヴィッチとアーティストのヨゼフ・アルバースに師事しています。彼は、ロバート・フランク、アンリ・カルティエ=ブレッソン、ユージン・スミスから影響を受けています。1958年、有名な写真通信社マグナムに参加、翌年26歳の時に正会員になっています。

本書は、ドキュメンタリー写真の巨匠の60年以上にわたるキャリアを、未発表の写真のみで深く掘り下げた作品集。1957年から1992年の間に撮影された写真が年代順に掲載されています。初期の仕事から、ブルックリンの10代のギャング・メンバーを1年間撮影した「Brooklyn Gang」シリーズ(1959年)、アメリカの公民権運動を幅広く取材した「Time of Change」(1961-65年)、ハーレムの東100番街の1区画の住民を撮影した画期的なポートレート「East 100th Street」(1966-68年)などを紹介。その後の代表的な作品では、デビットソンの卓越した多才ぶりを紹介している「Subway」(1980年)、また彼がニューヨークの真髄を伝える記録者であることを裏付けている「Central Park」(1992年)が含まれています。
キャリアを回顧する本書から一貫して浮かび上がってくるのは、彼のどのようなモチーフに対してでも決して変わらない姿勢です。彼は被写体に対して、あからさまな感性と共感をもって接します。そして時間をかけて被写体を深く記録し、彼らの信念、コミュニティ、サブカルチャーを捉えるために献身的な態度を貫きます。これらの歴史を形作る出来事を撮影した同世代の写真家たちとは異なり、デイヴィッドソンはこれらの歴史の中の人々に焦点を当てたのです。いま長いキャリアの終わりを迎えようとしているデビットソン、本書は彼のいままでに表現してきた軌跡を振り返る別れの書として、そしてレクイエムとして私たちに提供されているのです。

ハードカバー : 144ページ、サイズ 29.21 x 29.21 cm、約128点の図版を収録しています。



Bruce Davidson