
2025-9-15
Skira, 2025
Joel Meyerowitz(ジョエル・マイロウィッツ)
ジョエル・マイロウィッツ(1938-)は、60~70年代アメリカでウィリアム・エグルストンの登場で始まったニュー・カラーの主要写真家。彼は、ロバート・フランクに多大な影響を受け、60年代前半に友人ゲイリー・ウィノグランドなどとともにニューヨーク市で自然発生的なストリート写真を35mmmのカラーやモノクロで開始します。1976年からは、より豊かな色彩と描写を求めて8X10”の大型カメラとカラーネガフィルムを使用。その代表作が東海岸のリゾート地コッド岬で撮影された「Cape Light(1978年刊)」です。
2001年には同時多発テロの舞台になったニューヨークのグラウンド・ゼロを撮影するなど、彼の約50年以上にもおよぶ業績は写真界で高く評価されています。2015年春には、20世紀美術史において最も重視されるイタリア人画家の一人でのジョルジョ・モランディ(1890 - 1964)のオブジェ類をイタリア・ボローニャのアトリエで撮影しています。
本書は、2025年3月25日~8月24日までイタリア・ブレシアのサンタ ジュリア博物館でイタリア写真界の重鎮デニス・クルティ(Denis Curti)のプロデュースーで開催された「A Sense of Wonder: Photographs 1962–2022」展に際して刊行。いまや現代写真界の巨匠の一人だと高く評価されているマイロウィッツのキャリアにおける最も重要な瞬間を約90作品で探求しています。1960年代の初期作品から近年の作品までをテーマ別に紹介することで、各写真シリーズを分析。情感あふれる静物写真から9.11の悲劇まで、ストリート写真の概念を再定義した社会学的な調査/探求、そしてベトナム戦争下におけるアメリカ的個人主義を映し出す概念的に挑発的なイメージまでを網羅しています。
彼は精緻な人間的洞察を重んじており、写真があらゆる側面において現在を的確に認識する手段として機能する事実を提示。彼の現実を冷静かつ系統立てて読み解く撮影手法により、写真が個人と社会の両方の経験の真価を認める道具となり得ることを思い起こさせてくれます。
ハードカバー : 224ページ 、サイズ 24.64 x 2.29 x 28.45 cm、多数のカラー図版を収録。