2025-11-15

  

Edward Burtynsky: The Great Acceleration

Steidl, 2025

Edward Burtynsky(エドワード・バーティンスキー)

エドワード・バーティンスキー (1955-)は、産業風景の大判カラー写真で知られるカナダ人写真家兼アーティストです。
彼は、手付かずの生態系から、人間のニーズによって形成された人工地形までを連続体だととらえており、工業化の進展とそれが自然と人間の存在に与える影響を表すシーンを世界中で撮影しています。いままでに、鉱山の尾鉱(びこう/廃棄物)、採石場、スクラップの山、中国の巨大工場、バングラデシュの船舶解体、世界の石油産業の企み、有毒物質の流出、塩田、水資源、森林伐採されたジャングル、死にゆくサンゴ礁、カナダの氷河の後退、などを作品化しています。彼は、従来の成長と過剰消費を特徴とする新自由主義的経済から定常経済への移行を目指す環境保護主義の提唱者で、「大判カラー写真は、人類の足跡の拡大の影響と、私たちが地球の表面を再形成している実質的な方法の探求」だと述べています。

本書は2025年の6月から9月にかけてニューヨークの国際写真センター(The International Center of Photography)で開催された、バーティンスキーの過去40年にわたるキャリアを回顧する「The Great Acceleration」展に際して刊行。タイトルの意味は、人口増加、水使用量、輸送、温室効果ガス排出、資源採掘、食糧生産など、人類が地球に与える影響の急激な拡大を表す定説となった用語です。彼は長年にわたり、北米の露天掘り鉱山、アゼルバイジャンの石油掘削装置、中国の棚田、ナイジェリアの石油貯蔵施設まで、これらの兆候を詳細に写真撮影してきました。そして世界中の自然景観を人間が改変する過程を深く探求し、その脆弱性と不変の美しさを等しく映し出しています。本書には、これらの彼の代表作品や未公開作品が多数収録されています。私たちは自然に残された崇高さを鑑賞できるとともに、現代が直面する課題と責任への理解を深めることができます。同時に彼の一連の作品は人類に緊急の行動を促す呼びかけでもあります。

ハードカバー : 136ページ、サイズ 30.99 x 1.78 x 23.88 cm、約80点の図版を収録。



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