2023-2-18
Steidl, 2016
Ernst Haas(エルンスト・ハース)
エルンスト・ハース(1921-1986)は、オーストリア出身。カラーを得意とするフォトジャーナリスト・写真家として、約40年以上のキャリアを持っています。第2次大戦後に地元ウィーンで独学で写真撮影を開始。その後ライフなどの影響力のある雑誌で数多くの写真作品を発表しています。またロバート・キャパに誘われてマグナム・フォトスに参加、創立者以外の最初のメンバーとなります。1950年に仕事でニューヨークへ行き、それ以来アメリカに在住。1961年、ニューヨーク近代美術館は、彼の10年間の写真作品の回顧展を開催。同館で行われた初のカラー写真による展覧会として知られています。
ハースのカラー作品は国際的に高く称賛されてきました。しかしここ数十年は、写真がアート表現の一部とみなされるようになったことで、"商業的すぎる"、"十分にシリアスでない"という批判も受けるようになります。実際のところ、いままでは若い世代の、ウィリアム・エグルストン、スティーブン・ショアー、ジョエル・マイロウィッツよりも低い評価でした。しかし彼の作品には今まで一般には全く知られていなかった面もあったのです。ハースは依頼された仕事と並行して、代表作よりも、研ぎ澄まされて自由で、また合成的、複雑な要素を持つ斬新な作品を制作していたのです。彼はキャリアを通して、それらの作品の発表やプリント制作を行いませんでした。想像するに、彼はそれらの写真は決して理解、評価されないと信じていたのでしょう。
本書では、やや過小評価され気味だったハースのカラー写真の理解を正すために、これらの非常に複雑な作品群を紹介しています。2011年のオリジナル版が極めて好評だったことから刊行された待望の新版です。
ハードカバー: 186ページ、サイズ 25.1 x 2.3 x 26.9 cm、約163点の図版を収録。