「ブリッツ・フォトブック・コレクション2026 Part-2」を開催
初心者はギャラリーの現場情報を参考にしよう!

ブリッツ・ギャラリーは国内外の貴重な絶版写真集(レア・フォトブック)と複数アーティスとの珠玉の写真作品を紹介する「ブリッツ・フォトブック・コレクション2026 Part-2」を開催中。7月中旬まで開催して好評だったパート1に引き続き、フォトブックと写真作品を大幅に入れ替えて行っている。
パート2では、国内外の写真専門雑誌を特集。「Aperture」、「American Photo」、「Zoom」、「Photographies Magazine」、「Dune」、「写楽」、「スタジオ・ボイス」、「デジャ=ヴュ」、「シンク」や、各種雑誌の写真特集号などの貴重なバックナンバーを紹介している。

フォトブック・コレクションを始めるに際して、最初に本自体の情報収集が必要になる。市場にどのような種類の本が流通していて、その内容や専門家の評価、写真史の文脈とのつながりなどの情報が購入時の参考になる。初心者の場合、写真集はまず収録されているイメージが自分好みかが入り口だ。カバー写真の好みはかなり重要になる。そして気になる本の内容が自分の既に形成している世界観と重なる部分があれば、その本自体に意味を見出せるかもしれない。つまり買う価値がでてくるかもしれないということ。そして最後に予算と相談して最終判断を下すことになる。

80~90年代には雑誌が写真集の関連情報を提供していた。その中で、今回も展示販売している月刊誌のスタジオボイス(インファス刊)が写真集の啓もう活動に果たした役割は大きかった。同誌は1990年4月号で「特集PHOTO ALIVE、写真集の現在、全120冊」という写真集特集の企画を組んでいる。

それ以降、スタジオ・ボイスは2000年代後半まで定期的に写真集特集を行ってきた。この企画の目玉は、当時の洋書店で購入できる多数の写真集の一覧だった。著作権的にはグレーだったものの、写真集の表紙と複数の中身の見開きページを複写しての紹介、内容も専門家がコンパクトに150文字程度にまとめていた。雑誌ページを開いた時に自分の興味ある本のカバー写真が サムネイル画像のように 次々と目に飛び込んでくるのは一種の快感を伴う感覚があった。いまのように、キーワードを打ち込んでネット上で本を見つけるのと全く違うのだ。このような写真集の最新レファレンス情報を紹介する雑誌の存在がこの時代の写真集のコレクター拡大に大きく貢献していただろう。
同時に雑誌で特集されていたブルース・ウェバー、ハーブ・リッツ、ロバート・メイプルソープなどの写真家の写真展も渋谷パルコや流通系企業の美術館などで開催され、写真集掲載の現物写真作品自体を見られたのも重要な経験だった。いまでは考えられないが、バブル経済の残り香があった時代の日本のコレクターは、欧米アートシーンの注目写真家の写真展と写真集を海外と全く時差なく体験できたのだ。

今回の展示で見直してみたが、当時の写真関連の雑誌には、経済の後押しもありエネルギーが満ち溢れていたのがよくわかる。その後も、「ブルータス」、「ペン」、「ヒュージ」などの雑誌は定期的に写真ジャンル/写真家の特集を組んでいる。ブルータスは写真展の開催に合わせてブルース・ウェバーや杉本博司の特集号を、ペンもアンリ・カルチェ=ブレッソン、アラーキーの特集号を発売している。雑誌が一人の写真家を取り上げるというのは、20世紀後半から2000年代にかけて、写真、アート、写真集などは多くの消費者が関心を集める分野だったということだろう。

現在は、ネット空間に膨大な写真、アート、写真集などの情報が溢れている。ある程度ファインアート写真リテラシーが高い人ならそれらの情報を有効かつ効果的に利用して、コレクションの判断につなげることができるだろう。しかし、興味はあるが経験が少ない初心者にとって、情報は膨大に存在するものの、コレクションの基礎になるものを系統的に文脈と関連付けて入手するのは極めて困難になっている。情報の取り扱い方がわからないのだ。90年代から2000年代後半には、数多くの雑誌メディアが膨大な情報の整理整頓を誌面上で行い、コレクター初心者のリテラシー養成のための先生の役割を果たしていたのだ。今回パート2での写真系雑誌の紹介を行ってみて、改めてその事実に気付かされた。

私は、いま提供されていないこの部分のファインアート写真関連の情報発信/啓蒙活動こそが、専門的暗黙知を蓄積しているギャラリーの存在意義だと考えている。コレクションに興味ある人は、もし本展で気になる写真作品やフォトブックがあり、心に引っかかる何かが浮かんできたならば、遠慮なくギャラリストに疑問点を投げかけてほしい。情報を入手できたことで、自分が構築してきた世界の見方と作品とが繋がり、そこにコレクションに値するような意味を見出せるかもしれない。展覧会でのギャラリーの役割とは、何で個別の作品を展示しているのか、その説明責任を果たすことなのだ。

ブリッツ・フォトブック・コレクション 2026 パート2
2026年10月18日(日)まで土曜日日曜日に開催
1:00PM~6:00PM
月曜火曜水曜は完全休廊 木曜金曜は予約制

*木曜金曜であっても、すでに予約枠が満杯になっている場合がありますのでお申込みフォームで日にちをご確認ください。

ブリッツ2026年秋の予定
9月「Photobook Collection 2026 Part-2」
11月 鋤田正義「Fashion/Experiment」展を開催!

「ブリッツ・フォトブック・コレクション2026 Part-2」を開催

ブリッツは国内外の貴重な絶版写真集(レア・フォトブック)と複数アーティスとの珠玉の写真作品を紹介する「ブリッツ・フォトブック・コレクション2026 Part-2」を9月12日から開催する。7月中旬まで開催して好評だったパート1に引き続き、フォトブックと写真作品を大幅に入れ替えて行う。

Jeanloup Sieff, Pamela Hanson, Michael Dweckの作品

パート2では、国内外の写真専門雑誌の特集を行う。「Aperture」、「American Photo」、「Zoom」、「Photographies Magazine」、「写楽」、「スタジオ・ボイス」、「デジャ=ヴュ」、「シンク」や各種雑誌の写真特集号などの貴重なバックナンバーを紹介する。また写真展カタログのコーナーも設置し、おもに80~90年代に国内の美術館や商業施設で開催された写真展/展覧会のカタログを限定数紹介する。写真に特化した専門雑誌バックナンバーの展示は非常に珍しく、コレクターにとっては収蔵作品に関する貴重な資料が発見できる絶好の機会だ。またフォトブックと壁面展示の写真作品もパート1から大幅に入れ替える。

Jeanloup Sieff, Ansel Adamsによる砂丘の作品

・パート2で紹介される写真作品/フォトブックの一部

アンセル・アダムス、ブルース・ウェバー、マイケル・ドウィック、テリー・オニール、ジャンルー・シーフ、メルヴィン・ソコルスキー、デボラ・ターバヴィル、カート・マーカス、パメラ・ハンソン、ライアン・マッキンレイ、アレック・ソス、アンドリュー・ベトルス、テリ・ワイフェンバック、ロン・ヴァン・ドンゲン、トミオ・セイケ、横須賀功光、鋤田正義、奈良原一高、ノブオ中村、丸山晋一、ヒロミックスなど、その他多数

ブリッツ・フォトブック・コレクション 2026 パート2
2026年9月12日(土)~ 10月18日(日)
1:00PM~6:00PM/週末の土日は通常営業
休廊 月/火曜、予約制 水/木/金曜

*(ご注意) 水曜/木曜/金曜日は予約制営業。ご予約のお申込み用フォームは追って用意いたします。土、日曜は13時から18時まで通常営業。

鋤田正義「SUKITA : Fashion/Experiment」展

鋤田正義(1938-)の貴重な60~80年代のファッション写真を紹介する「SUKITA:Fashion/Experiment」展を11月中旬から開催する。鋤田はキャリアを回顧する写真集「SUKITA : ETERNITY」(2021年、ACC Art Books / 玄光社)の世界同時刊行以来、過去の膨大な作品アーカイブスの本格的な調査を行ってきた。本展はその成果を披露する写真展企画で、2025年秋にファッション写真を初めて本格的に紹介した「SUKITA:Photographs from Early Fashion to Rock Icons」展の続編になる。本展では、60~80年代前半ごろに制作された実験的なファッション写真約25点を展示する。鋤田のファッション写真は、日本人写真家で唯一ファインアート系だと市場で認知されている。本展ではその全貌が明らかになるだろう。多くは貴重な未発表作品となる。写真展の詳細はプレスリリースにて近日中に発表予定。