鋤田正義(1938-)の貴重な60~80年代のファッション写真を紹介する「SUKITA:Fashion/Experiment」展を11月中旬から開催する。鋤田はキャリアを回顧する写真集「SUKITA : ETERNITY」(2021年、ACC Art Books / 玄光社)の世界同時刊行以来、過去の膨大な作品アーカイブスの本格的な調査を行ってきた。本展はその成果を披露する写真展企画で、2025年秋にファッション写真を初めて本格的に紹介した「SUKITA:Photographs from Early Fashion to Rock Icons」展の続編になる。本展では、60~80年代前半ごろに制作された実験的なファッション写真約25点を展示する。鋤田のファッション写真は、日本人写真家で唯一ファインアート系だと市場で認知されている。本展ではその全貌が明らかになるだろう。多くは貴重な未発表作品となる。写真展の詳細はプレスリリースにて近日中に発表予定。
コレクター拡大きっかけは、1999年以降に歴史的な写真集を紹介するガイドブックの相次いでの発売も影響している。それまでは、写真集の出版歴、流通の情報がなく、評価基準となるフォトブック史が存在しなかった。 “The Book of 101 Books: Andrew Roth, PPP Editions, 2001”と“The Photobook: A History –Volume 1-3 by Martin Parr, Gerry Badger, 2004、2006、2014”がフォトブックのガイド本の代表になる。これらのガイド本自体がいま絶版になりレアブック化している。
ブリッツ・ギャラリーでは、鋤田正義の初期ファッション作品と有名ミュージシャンのポートレートを紹介する「SUKITA : Photographs from Early Fashion to Rock Icons」展を開催中。本展で展示されているのは、ファインアートに成りうるファッション写真。現在主流の洋服の情報を提供する目的で制作される、美しいだけのイメージとは異なる。写真家が自らの身体で感じ取った撮影時の世の中の無意識、つまり当時の時代の気分や雰囲気、都市の空気などが反映された写真なのだ。それらには写真家がその時、その場所で受けた感動が詰まっており、そのメッセージを通して見る側とのコミュニケーションが発生する可能性がある。その先に、もし写真からストーリーが立ち上がってくれば、見る側にとって意味ある写真作品となる。ファインアート写真としてのコレクションの対象に成りうるのだ。
1973年リリースのデヴィッド・ボウイの「アラジン・セイン」のアルバム・ジャケット写真は「ポップのモナリザ」として知られる、英国人写真家ブライアン・ダフィー(1933–2010)撮影の超有名作品です。11月5日にロンドンのボナムズ(Bonhams)で開催された「Mona Lisa of Pop Property From The Duffy Archive」オンライン・オークションで、本作のヴィンテージ・ダイ・トランスファーによるオリジナル作品が381,400ポンド(497,088ドル)で落札されました。1ポンド201円で換算すると約7666万円です。
本作のボウイのメイクはピエール・ラ・ロシェ(Pierre La Roche)が担当、ダフィーがHasselblad 500C
6X6 カメラで撮影したオリジナルのカラースライド(color transparency)に、フィリップ・キャッスル(Philip Castle)がエアブラシで加工したもの。キャッスルはボウイの肩に「Water
mark」を描き、さらにダフィーの指示のもと、ボウイの胴体の上の白い部分を強調し、まつげを長くしています。作品サイズは32X40cm、ダフィーのサインと日付が書かれています。
1974年、シャピロはロサンゼルスでデヴィッド・ボウイと濃厚なフォトセッションを敢行。二人のコラボレーションの成果は、アルバム「Station to Station(1976年)」、「Low(1977年)」、「Nothing
has changed(2014年)」のジャケットや、雑誌「People」、「Rolling Stone」のカバーに生かされています。有名人ポートレートや映画関連の写真でも知られおり、特にフランシス・フォード・コッポラ監督の「The Godfather(1972年)」や、マーティン・スコセッシ監督の「Taxi Driver(1976年)」のスチール写真が有名です。シャピロの写真は、パーソナルな視点でアメリカ現代史の重要な瞬間をドキュメントしていると高く評価されています。
また本展では、鋤田が個人的に所有している写真プリント・コレクションを初展示している。お互いにリスペクトし合う関係性を持つ海外の写真家同志は、自らの写真を交換し合うという習慣がある。実は鋤田も多くの海外写真家と交流があり、エディションが付かないアーティスト・プルーフ(A/P)の写真を交換している。展示されているのは鋤田の海外の有名写真家との華麗な交流を垣間見ることができる作品群となる。ボウイやエルトン・ジョン、フェイ・ダナウェイなどのハリウッドスターの撮影で有名なテリー・オニール作品、初期ビートルズの写真で知られるアストリッド・キルヒャー作品、またリンダ・マッカートニーから贈られた作品などが鑑賞できる。ヒプノシスのジョン・ブレイクがデザインした「Pink Floyd, Atom Heart Mother(原子心母), 1970」は、東京経堂の事務所玄関に展示してあり、長年にわたり来訪者を出迎えてくれた作品だ。個人的には、若くして亡くなったマーク・ボランが直接サインした「Get it on, London, 1972」の小振りサイズのヴィンテージ・プリントに目が釘付けになった。
(ブリッツ・ギャラリー 写真展情報 / 鋤田正義 写真展 “SUKITA : Photographs from Early Fashion to Rock Icons”開催!) ブリッツ・ギャラリーでは10月下旬から鋤田正義の初期ファッションを中心にした写真展を開催する予定です。60~80年代の未発表ファッション作品約22点とロック系・ポートレートの新作を展示します。ボウイを魅了したことで知られる鋤田のシュールな雰囲気のファッション写真は一見の価値ありです。近日中にプレスリリースを公式サイトに公開予定。会期はまだ先になりますが、ぜひお立ち寄りください!