2023-7-15
東京都写真美術館の収蔵作品を紹介するコレクション展です。
今回のテーマは「覗き見る」。「覗き見る」ことを可能にした装置と、それによって
作り出されたイメージ、そして「覗き見る」ことからイマジネーションを広げた作家
たちの多様な表現が紹介されます。
ファインアート写真のコレクターに注目してもらいたいのが、第2章の「観察する
眼」に、何気なく展示されているウィリアム・ベンジャミン・カーペンターのダゲレ
オタイプ作品「ウニのとげの断面(The Cross Section of a Spine of a Sea Urchin), 1948-1949」です。実は同館の90年6月1日の第1次オープンに際して収蔵さ
れた作品。90年4月11日の朝日新聞の報道によると、”海外作品で最高額だったのは
カーペンター博士の「ウニの突起の断面」で1380万円”と紹介されています。本作は
写真技術発明初期の極めて貴重な作品。たぶん今や市場で新たに入手するのは困難で
しょう。サイズは、111X111mmと極めて小さいので見落とさないようにしてくださ
い。このような写真史上の逸品が鑑賞できるのがTOPコレクション展の醍醐味といえ
るでしょう。
(画像 カタログ45ページ)