2023-10-25
国際的にも有名な杉本博司の過去最大規模の写真展がロンドンで開催されます。
杉本は、過去50年にわたり、現代において最も魅力的で謎めいた写真を制作してきました。
しばしば大型の木製カメラを使用し、暗室で薬品を調合し、モノクロプリントを手作業で現像することで、
ジオラマや蝋人形などの被写体を含む19世紀の写真のアイデアと実践を繰り返し探求してきました。
そしてその過程で、彼の作品は、時間、空間、光といった、写真というメディアに不可欠な概念を拡張し、再構築してきました。
それらは、精密に作られ、深く示唆に富み、親しみやすくも、くすぐられるような曖昧さを持つ写真です。
この回顧展では、アーティストの主要な写真シリーズから代表作品を紹介することで、
彼の時間や記憶に対する哲学的でありながら遊び心に満ちた探求を浮き彫りにしています。
また、写真史や数学、光学科学への作家の興味を照らし出す、あまり知られていない作品も展示されます。
杉本博司は「カメラは時間感覚を表現できるタイムマシンである。
カメラは一瞬を捉えるだけでなく、歴史、地質学的な時間、永遠という概念、時間そのものの本質を捉えることができる......。
その時間感覚について考えれば考えるほど、これこそが人間が人間になった重要な要因のひとつだろうと思う」
と語っています。