2023-1-22

  

シンディ・シャーマン

SHERMAN, Cindy (1954-)

シンディ・シャーマンは1954年ニュージャージー生まれ。 ニューヨーク州立バッファロー校で美術を専攻後、写真に転向しています。 大学卒業後の1976年にバッファローで初個展を、そして1980年にニューヨーク・ソーホーのメトロピクチャーズとザ・キッチンでの個展が成功しアート界で注目されるようになります。

彼女を有名にしたのが1977年から1980年まで室外で制作されたモノクロ写真の“アンタイトルズ・フィルム・スティール"シリーズです。 これは仮想のスティール映画写真で、50年代のハリウッドB級映画のワンシーンに、彼女がマリリン・モンローやソフィア・ローレンなどを演じ、出演女優そっくりに扮装して撮影したシリーズです。その後1980年からはその延長上として大判カラー写真を使用して“アンタイトルズ”シリーズをスタジオで制作しています。 1985年以降は恐怖を表現する作品を制作、扮装もマスクやシリコンを使うなどより大胆にグロテスクになり、映画から離れてジャンキー、フリークス、死体まであらゆるタイプの人物に変身していきます。
彼女の一連の変身写真はウォーホールらのポップ・アーティストの流れをついでいると考えられています。映画、広告、ポルノ、ファッションなどを作品に取り込むことでマス・メディアが作り上げた女性に対する固定観念を自らの肉体で現代アートとして作品化しているのです。

彼女の作品は多くの美術館が収蔵し、コレクターにも高い人気があります。1995年にはニューヨーク近代美術館が"Untitled Film Stills"シリーズのAPを一括購入しており、 近年作品価格が高騰しています。オークションでは主に写真ではなく現代アートのカテゴリーで扱われています。2007年5月のクリスティーズNYでは"Untitled #92, 1989" が$2,112,000.で落札、2011年5月のクリスティーズNYでは"Untitled #96, 1981"が$3,890,500.のシャーマン作品最高額で落札されています。

1987年ホイットニー美術館で回顧展、2012年にはニューヨーク近代美術館がキャリアを回顧する170点の大規模展を開催。2019年にはナショナル・ポートレート・ギャラリー・ロンドンでも回顧展が行われています。日本では、平成8年に東京都現代美術館、滋賀県立近代美術館などで「シンディ・シャーマン展」が開催されています。