2023-1-22

  

アダム・フス

FUSS, Adam (1961-)

最近の現代アート作家は写真の古典的プリント手法を使用して作品制作の新たな可能性をを探求することがあります。
アダム・フスも カメラとレンズの手法以外の写真イメージ制作手法の 探求に取り組んでいます。最初はピンホールカメラで作品を制作していましたがその後、マン・レイ、モホリ・ナギらの作品で有名な、カメラなしで イメージを作るフォトグラムという手法を利用して作品を発表しています。彼はカラー作品に取り組んだり、生きている蛇、水の複数の波、赤ん坊、ウサギの体や内臓など 多種多様なオブジェに挑戦してこの古典的技法の可能性を大きく広げています。

アダム・フスは 1961年生まれ、1982年に英国からニューヨークに移り住んでいます。1990年代になってから注目されるようになり、 1997年に刊行された写真集『Adam Fuss』の成功で広く知られるようになりました。1点もののフォトグラム作品は現代アートのオークションで 高値で取引されることで知られています。
彼はこの数年、過去に制作したフォトグラム作品を再度写真撮影して、19世紀のプリント方法ダゲレオタイプによる制作に取り組んでいます。 特にこの手法の特徴である青の発色に魅せられたとのことです。生死、誕生、愛、喪失をテーマに二つの古典的手法の統合に挑戦した新作は『My Ghost』シリーズとして1999年から発表しています。

*フォトグラム* オブジェをフィルムや印画紙の上において露光して行うカメラを使用しない写真制作方法。マン・レイはこの技法を自らはレイヨグラフと呼んでいました。

*ダゲレオタイプ* フランスのダゲールが1839年に発表し、主に肖像撮影に1850年代まで使われていた手法。 カメラで露光した銀を塗った銅板を水銀蒸気で現像し、 食塩水で定着する。1点もので、鏡面のような仕上がりが特徴。