2023-1-22

  

トーマス・ルフ

RUFF, Thomas (1958-)

ドイツ人アーティストのトーマス・ルフは1958年生まれ。1977から1985年までアンセルム・キーファーやゲハルト・リヒターなどを輩出したことで有名な名門デュッセルドルフ美術アカデミーでベッヒャー夫妻に写真を学んでいます。
これまでに大判カラーによるの友人のポートレート、典型的なドイツ人家庭の室内風景、夜空の星、建築物、新聞写真、ヌードなど、トーマス・シュトゥルートやアンドレアス・グルスキー同様にコンセプチュアルな写真作品を制作しています。初期の室内風景やポートレートのシリーズは、精緻で客観的なストレート写真でベッヒャー夫妻の強い影響を感じさせます。その後、ルフは精緻な客観像から更に一歩踏み出します。
写真の情報としての面に興味を持ち、デジタルイメージを画像処理した抽象作品や、新聞、古い広告、インターネットなど他者が撮影した写真を素材にしてイメージを再構築したアナログとデジタルの要素を併せ持つ作品を制作しています。
ヌード・シリーズでは、インターネットのポルノサイトから多くの画像を収集し、デジタル技術を駆使して、着色、ぼやかし、拡大など様々な加工作業を行ない自らの作品へと再構築しています。

1982年以来、世界中の美術館やギャラリーで85回以上の個展を開催するとともに、作品もコレクションされています。また、ベッヒャー夫妻が退官した母校デュッセルドルフ美術アカデミーの写真学科の教授を2000年から2006年まで務めました。2016年に東京国立近代美術館で日本初の回顧展を開催。