
2026-2-16
David Zwirner Books, 2026
Diane Arbus(ダイアン・アーバス)
ダイアン・アーバス(1923~1971)は、現代写真においてポートレート写真の意味を変革したことで知られる伝説の米国人写真家です。
ベレニス・アボット、アレクセイ・ブロドヴィッチ、リゼット・モデルらに写真を学び、1960年にエスクァイア誌で初めて写真を発表。1963年と1966年にジョン・サイモン・グッゲンハイム・フェローシップを受賞、1967 年にニューヨーク近代美術館(MoMA)で開催されたジョン・シャーカフスキーの画期的な展覧会「New Documents」に選出されて注目されます。アーバスは、カップル、子供たち、女性を演じる俳優、ヌーディスト、ニューヨークの通行人、郊外に住む家族、サーカスの芸人、有名人などのポートレートを撮影。それらは戦後アメリカ社会を幅広く網羅した、多様で類を見ないほど魅力的な人間性を提示する作品群です。彼女の写真の特徴はグロテスクな被写体を追求することだと誤解されますが、実は現実を可能な限りそのままに表現しようとする冷徹な姿勢にあります。
1971年7月26日の自殺と、翌年秋にニューヨーク近代美術館で開催された回顧展で彼女は写真史で伝説化されます。 その後世界中の美術館やギャラリーで作品が展示され、写真表現に多大な影響を与えています。 生前には写真集がなかったアーバスですが、 1972年に刊行された“Diane Arbus : An Aperture Mnograph"は25万部以上も販売されました。
本書は、2025年~2026年にかけてロンドン・デイヴィッド・ズヴィルナー(David Zwirner)とサンフランシスコ・フレンケル・ギャラリー(Fraenkel Gallery)で開催される共同展覧会に際して刊行。1961年から1971年にかけてニューヨーク、ニュージャージー、カリフォルニア、ロンドン各地のプライベートな場所で撮影された45点の作品を収録しています。アーバスは、知性、カリスマ性、直感、そして勇気を兼ね備えた特異な存在として、見知らぬ者にはめったに許されない個人の領域へ頻繁に招かれています。本書に収められた被写体には、社交界デビューした女性、ヌーディスト、有名人、有名人志望者、社交界の貴婦人、女装者、乳児、未亡人、サーカスの芸人、恋人同士、女性役者、そして寝室にいる盲目のカップルなどが含まれます。親密な環境での撮影されたにもかかわらず、本書に収められた写真群には不法な侵入の感覚や空気感は微塵もありません。むしろ、写真家と被写体の間に交わされる言葉なき交流や、互いを認め合う瞬間の存在が浮かびあがってきます。それは、信頼が自由に、そして判断なしに生まれる瞬間を認識することだと言えるでしょう。
ハードカバー :92ページ、サイズ 26.67 x 1.78 x 30.48 cm、45点の図版を収録しています。