2021年前期の市場を振り返る アート写真のオークション高額落札

2021年前半のアート写真主要オークション・スケジュールは、クリスティーズ・パリで6月29日開催された「Photographies」で終了した。7月のアート界は通常は夏休みシーズンにはいるのだが、今年はササビーズ・パリがファッション写真家パオロ・ロベルシの作品やコレクションを特集した「In the Studio of Paolo Roversi」を7月9日にオンライン開催している。昨年ほどではないにしても、パンデミックによる開催スケジュールへの影響はまだ残っているようだ。
昨年前期と比べると、オークション数は18から21に増加。昨年12もあったオンライン・オークションは6に減少。オークション業界は1年の経験から今回のパンデミック時代に合った業務形態を模索し適応してきたといえるだろう。

昨年の前半はパンデミックの環境下で、開催延期が頻発して、オンライン中心の極めて異例なオークション開催が続いた。今年との比較はあまり意味がないと思うが、出品数はほぼ同数の2611点、落札率は68%から73.6%に改善した。総売り上げは約32億円で、昨年同期比で約59%アップしている。1点の落札単価が約168万円と約49%アップしたことが影響している。これは、4月21日にササビーズ・ニューヨークで開催された、「50 Masterworks to Celebrate 50 Years of Sotheby’s Photographs」で、高額落札されたタルボットとリー・ミラー作品による影響が大きいと思われる。まだ相場はやっと通常モードに戻ってきたような印象だ。
今後の見通しだが、ワクチン接種は進んでいるが、変異株などのよる不透明要素が残る状況が続いている。秋シーズンのオークションに、相場回復期待から高額作品の出品がどれだけ戻ってくるかにかかっているだろう。

私どもは現代アート系と19/20/21世紀写真中心のアート写真とを区別して継続分析を行っている。厳密には、アンドレアス・グルスキー、マン・レイなどは作品評価額によって両方のカテゴリーに出品される。しかし、統計の継続性などを鑑み、ここでは出品されたカテゴリー別の高額落札作品のランキングを制作している。それではアート写真オークションでの高額落札をみてみよう。

◎19/20/21世紀写真部門

1.ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボット
“Henry Fox Talbot’s Gifts to his Sister: Horatia Gaisford’s Collection of Photographs and Ephemera, 1820-1824, 1844, 1845-1846”
(salt Print の写真作品とアルバムのセット)

ササビーズ・ニューヨーク、
50 Masterworks to Celebrate 50 Years of Sotheby’s Photographs 、4月21日、
195万ドル(約2.15億円)

2.リー・ミラー
“Nude, 1930”

ササビーズ・ニューヨーク、
50 Masterworks to Celebrate 50 Years of Sotheby’s Photographs 、4月21日、
50.4万ドル(約5544万円)

3.マン・レイ
“Le Violon d’Ingres, 1924/1950s”

クリスティーズ・ニューヨーク、
Photographs、4月6日、
47.5万ドル(約5225万円)

4.ロバート・フランク
“Trolley-New orleans, 1955”

フィリップス・ニューヨーク、
Photographs、4月8日、
40.3万ドル(約4435万円)

5.マン・レイ
“Erotique voilee, 1933”(9作品)

クリスティーズ・パリ、
Man Ray et les surrealistes. Collection Lucien et Edmonde Treillard、3月2日、
31.25万ユーロ(約4062万円)

◎現代アート系

現代アート系ではリチャード・プリンス作品が200万ドル越えで落札されている。久々に高額評価の作品が市場に戻ってきたのだ。彼の作品は写真でも現代アートと同じカテゴリーでの取り扱いとなる。同じオークションではジャン・ミシェル・バスキアのアクリル製絵画“In This Case, 1983”が9310.5万ドル(約102.4億円)で落札されている。

1.リチャード・プリンス
“Untitled (Cowboy), 2000”

クリスティーズ・ニューヨーク、
21st Century Evening Sale、
5月11日
219万ドル(約2.4億円)

2.ジョン・バルデッサリ
“Dining Scene (Two Greys) with Disruption at Source (Red, Yellow, Blue), 1990”
クリスティー・ロンドン、
Post-War and Contemporary Art Day sale、
3月25日、
31.25万ポンド(約4750万円)

(1ドル/110円、1ポンド・152円、1ユーロ・130円)

ブリッツ・ギャラリー今後の予定
“SUKITA: Rare & Unseen”展
開催!

「ファインアート写真の見方」(玄光社)に紹介されている写真家/アーティストの作品やフォトブックを展示するグループ展「Fine Art Photography Now(ファインアート写真の現在)」展は、緊急事態宣言により延長してきたが7月4日(日)まで。東京はまん延防止等重点措置地域なので、引き続き予約制での営業となる。

次回展は、鋤田正義写真展「SUKITA: Rare & Unseen」を開催する。同展は鋤田の英国ACC Art Booksの企画/編集で刊行される初の本格的回顧写真集「SUKITA : ETERNITY」の刊行記念展となる。日本版は玄光社から刊行、原文は英国版原書と同じく英語表記で欧州の工場において印刷、日本語訳の小冊子が付いてくる。

特設サイト

このたび、日本版の発売日が7月28日に正式決定。プリント付き特装版も専用サイトで7月1日から予約開始となった。写真集の発売に合わせて、写真展の開始日もやっと7月28日に決定した。
特装版は、布張りケース入りの豪華写真集とともにプリント作品が付いてくる。3種類あり、3枚セットAが80点、2枚セットBが80点、2枚セットCが40セットとなる。写真展会場では、実際のプリントを見ることができる。
こちらは、ファインアート写真の市場規模が極めて小さな日本国内向けの限定販売となる点に注目して欲しい。サイズが小さめの20X25cm、エディション数合計200と比較的多いものの、鋤田正義のオリジナル・プリントの国際価格と比べて非常に割安に価格設定されている。写真が売れない日本で、ファインアート写真コレクションの定着を願う、鋤田本人の強い意向で実現したのだ。もちろん全てのプリント作品は鋤田の直筆サイン入り。もし絵柄が好きならば、初めてファインアート写真を買う人には最適の選択ではないだろう。

(C)SUKITA 、3種類のプリントの1枚、Aセット、Bセットの収録作品

今回の写真展の大きな見どころは、鋤田とボウイとのセッションにおける未発表作や代表作のアザー・カットの展示となる。鋤田は2021年5月に83歳になった。いまやデヴィッド・ボウイなどの親しかった多くの被写体たち、また親交があった同世代の写真家テリー・オニールなども亡くなっている。
ここ数年、彼は新たな視点から過去の作品群の総合的な見直し作業が必要だと意識するようになる。今回のキャリアを回顧する写真集刊行に際して、膨大な作品アーカイブスの本格的な調査が行われたのだ。数多くの未発表作が発見され、一部作品は今回の写真集にも収録されている。本展は、鋤田アーカイブスの調査結果を紹介する最初の写真展となる。新発見された、撮影当時に鋤田本人がプリントした貴重なヴィンテージ作品を中心に、新刊写真集収録のエディション付き代表作品があわせて展示される

(C)SUKITA、展示されるヴィンテージ作品
(C)SUKITA、展示されるヴィンテージ作品

本展の開催期間となる7月下旬から8月は、アート業界は夏休み期間で休廊が一般的。極めて異例の時期の写真展となるので、開催期間については検討中だ。またまん延防止等重点措置の延長も取りざたされている。イベント等の開催については状況を見て判断するつもりだ。
なお銀座 蔦屋書店でも「SUKITA : ETERNITY」刊行記念の写真作品展示が予定されている。こちらでも、カヴァー作品「Just for one day, 1977」などの代表作を見ることができる。
写真展の正式な会期や、イベント開催の詳細が決まったらギャラリー公式サイトで発表します。

オンライントークイベントを
銀座 蔦屋書店主催で開催!
『ファインアート写真の見方』
刊行記念連続トーク

本年4月に「ファインアート写真の見方」が玄光社より刊行された。ブリッツ・ギャラリーでは刊行記念展「Fine Art Photography Now」を6月20日まで開催中。(会期は7月4日まで再延期の予定)本展では、作品解説や無料ポートフォリオ・レビューなどの開催を企画していたが、残念ながら東京都の緊急事態宣言延長のため開催延期となった。

この度、銀座 蔦屋書店様の主催で、オンライントークイベント開催が決定した。

16日の第1回は、同書の内容の中から、写真コレクションに興味ある人を対象に「アート写真コレクションをはじめよう」を行う。コレクションの基本的考え方、海外市場の現在、作品評価ルールの変遷と最新トレンド、ファインアート写真投資の可能性、いま何を買うべきか/ギャラリストの特選情報なども話す予定だ。特典として、書籍には写真画像のようなブリッツの過去の写真展の大判カードが複数枚付いてくる。
今回、トークイベントの目玉として、近日発売予定の鋤田正義写真集や、今秋発売予定のテリ・ワイフェンバック写真集の最新情報をいち早く参加者に提供する予定だ。もちろん、人気の高いコレクター注目のプリント付き特装版情報も含まれる。また後日、第1回参加者に対する、ファインアート写真コレクションの個別アドバイスを東京目黒のブリッツ・ギャラリーで行う予定。こちらは写真展の開催期間に、予約制(無料)での実施となる。希望者は、ギャラリー公式サイトからお問い合わせください。

24日の第2回は、写真でのファインアート表現を目指す人を対象として、「アートとしてコレクションされる写真作品×公開ミニポートフォリオレビュー」を開催予定。講義では、ファインアート写真のポートフォリオ作品への取り組み方を解説。内容は、写真の機能別分類、市場での写真評価の実際、ギャラリーの仕事/役割、作品テーマの見つけ方、フォトブックの可能性、成功の方程式はあるのか、ポートフォリオ・レビューへの取り組み姿勢など。講義の後には、2名に対面式公開ミニポートフォリオレビューを行う予定。

なお第2回の参加者(講義受講のみを含む)には、以下の様な対面式レビューの特典も用意した。

〇対面式ポートフォリオ・レビュー
オンライントークイベント参加者が、講義内容を踏まえて制作を行い、作品が完成した場合、後日に対面式ポートフォリオ・レビューを東京目黒のブリッツ・ギャラリーで行う。(予約制/有料)個別に評価やアドバイスを受けることが可能。

〇ポートフォリオ・コンサルテーション
講義内容を参考にして制作に取り組んでみたものの、どうしても作品テーマの方向性が見つからない人に対しては、後日に対面式ポートフォリオ・コンサルテーションを上記ギャラリーで行う。(予約制/有料) 個別に作品制作のためのアドバイスを受けることが可能。

(ご注意)
ポートフォリオ・レビュー/ポートフォリオ・コンサルテーションの希望者は直接にギャラリー公式サイトからお問い合わせください。

詳しくは以下の銀座 蔦屋書店イベントページからどうぞ。興味ある人はぜひご参加ください!

第1回のイベントページ
お申込み先のPeatix のページ

第2回のイベントページ
お申込み先のPeatix のページ

リチャード・プリンス作品が高額落札 NY現代アート系オークション

春のニューヨーク現代アート系オークションで、リチャード・プリンス作品が写真関連では久しぶりに200万ドル越えで落札された。
クリスティーズ・ニューヨークでは、新しい3カテゴリー分けのオークションが5月11日から13日にかけて開催された。
“21st Century Evening sale” は1980年から現代までの作品、“20th Century Evening sale”は、1880年から1980年の作品、“Post-War and Contemporary Art Day sale” は主に低価格帯作品が出品された。ちなみに、“21st Century Evening sale” では、ジャン・ミシェル・バスキアのアクリル製絵画“In This Case、1983”が、9310.5万ドル(約102.4億円)で落札されている。

写真の最高額も同じオークションに出品されたリチャード・プリンス(1949-)の“Untitled (Cowboy), 2000”だった。落札予想価格100万~150万ドルのところ219万ドル(約2.4億円)で落札。132 x 184.1cmサイズ、エディション2/AP1のエクタカラー・プリント、ブランド・ギャラリーのガゴシアンが取り扱ったという来歴の作品だ。

Christie`s NY, Richard Prince “Untitled (Cowboy), 2000”

リチャード・プリンスは、70年代後半から80年代前半にかけて、シンディ・シャーマン、バーバラ・クルーガー、シェリー・レヴィンなど、「ピクチャーズ・ジェネレーション」と呼ばれる若手アーティストたちとともに登場してきた。既存の広告や写真を再度撮影することで、イメージを「流用(appropriation)」し、新たな文脈の作品として提示した。これは作品のオリジナリティや神聖さを疑うポストモダン的なアプローチだと言われている。プリンスは約40年にわたって「Untitled (Cowboy)」シリーズで、アメリカの象徴であるカウボーイにこだわり続けてきた。カウボーイは、アメリカの最初の開拓者たちを鼓舞したワイルド・ウェストの憧れを呼び起こすとともに、西部開拓者たちの勤勉さ、決意、独立精神を象徴している。オリジナルの「カウボーイ」シリーズは1980~84年年に制作。それらは70年代後半から80年代前半にかけてのマルボロのタバコ広告を10×14インチサイズで表現したものだった。本作は、プリンスが2000年頃に制作を開始した「カウボーイ」シリーズの第2弾。デジタルスキャナーを使って加工し、現代アート的な巨大サイズに拡大。しかし、プリンスは意図的に作品にオリジナルの粒状性を残している。これによりオリジナル画像が雑誌広告であることが強調されているのだ。

シンディー・シャーマン(1954)の“Untitled #150,1985”は、落札予想価格60万~80万ドルのところ52.5万ドル(約5775万円)で落札された。125.7 x 168.5 cmサイズ、エディション6/AP1のタイプCプリント。こちらもブランド・ギャラリーで、2021年末に閉廊するメトロ・ピクチャーズが取り扱ったという来歴の作品だ。本作は、1985年のメトロ・ピクチャーズで個展で展示された「Fairy Tales」シリーズの重要作品。彼女は、子供向けのおとぎ話に隠された深い闇からインスピレーションを得て創作。グロテスクさと魅惑的な雰囲気が象徴的に表現された作品で、アーティストにとって重要なコンセプトの出発点と言われている。同作は、その後の彼女の作品の多くに影響を与えており、作家に関する文献/資料にも広く引用されている。

Christie’s NY, Cindy Sherman, “Untitled #150,1985”

一方でサザビーズ・ニューヨークでは、5月12日から13日にかけ“Contemporary Art”の2回のオークションを開催。こちらも最高額はリチャード・プリンスの「Untitled (Cowboy)、1993」だった。落札予想価格20万~30万ドルのところ40.32万ドル(約4435万円)で落札された。50.8x 61 cmの小さめサイズ、エディション2/AP1のエクタカラー・プリント。

シンディー・シャーマンの「Cover Girl (Vogue),1976-2011」は、落札予想価格6万~8万ドルのところ16.38万ドル(約1801万円)で落札。小ぶりの26.7 x 20.3 cmサイズの3点組作品、エディション3/AP1のゼラチン・シルバー・プリント。
サザビーズに出品されたのは、有名現代アート系アーティストによる、“Photographs”で取り扱われるような小さいサイズの作品。彼らの代表的作品はサイズが小さくても高額で取引されるようになってきたようだ。

ここ数年、現代アート系を含めて写真関連作品の高額落札はあまり多くなく、2017年からは、200万ドル超えの落札はなかった。リチャード・プリンス作品でも、2018年秋のサザビーズ・ニューヨーク“Contemporary Art”において169.5万ドルで落札された「Untitled (Cowboy), 2013」以来となる。新型コロナウイルスの経済対策として世界中の政府が行っている積極財政策と中央銀行による超金融緩和の影響だと思われる。米国の中銀に当たるFRBが出口戦略の模索を開始したとの報道も見られる。有名アーティスト/写真家の代表シリーズへの人気集中は続くのだろうか?今後の動向を注視していきたい。

(為替レート 1ドル/110円で換算)

“Fine Art Photography Now”展スタート!
ファインアート写真の見方を作品で紹介

ブリッツでは、「ファインアート写真の見方」(玄光社)の刊行を記念して、同書で紹介されている写真家/アーティストの作品やフォトブックを展示するグループ展「Fine Art Photography Now(ファインアート写真の現在)」展がスタートした。


同展は東京の緊急事態宣言解除を念頭に置いて開始日を決めていた。しかし、残念ながら緊急事態宣言が5月末まで継続されることになり、不要不急の外出自粛が求められるようになってしまった。東京のほとんどの美術館はいま休館中だ。本当に残念だが、多くのお客様に来廊をすすめることが困難な状況となってしまった。本展では、各種イベントを通して書籍購読者による同書に関する各種の疑問や質問に個別に答える予定だった。しかし当初予定していた、トークイベントやポートフォリオレビューは延期となった。

始まったばかりなのだが、5月末の緊急事態宣言解除を期待して、当初の6月6日までの会期を20日くらいまで延長することを検討している。会期が延びるので、来廊を予定していた人はどうか無理をしないでほしい。

本展では、「ファインアート写真の見方」で紹介されている写真家/アーティストの以下の作品やフォトブックを展示している。設営してみると思いのほか見ごたえのある内容の展示になった。以下が展示作品、フォトブックとなる。

・オリジナルプリント
ヘルムート・ニュートン、リチャード・アヴェドン、ルイス・フォア、ジャンルー・シーフ、ウジェーヌ・アジェ、テリ・ワイフェンバック、マイケル・デウィック、鋤田正義、マーカース・クリンコ、ジャスティン・ヴィルヌーブ、ダフィー、ウィリアム・ワイリー、戦前フランスのファウンドフォトなど約28点。

・フォトブック
リチャード・アヴェドン、アーヴィング・ペン、ロバート・フランク、アンドレ・ケルテス、ピーター・ビアード、ライアン・マッッギンレー、マイケル・デウィック、テリ・ワイフェンバック、アレック・ソスなど。

(ご注意)
本展は新型コロナウイルス感染防止のため、完全アポイントメント制での実施となります。会場では厳重な感染対策を行い開催いたします。なお東京の感染状況が緩和した場合は、営業方法を変更する場合があります。詳しくはギャラリー公式サイトで発表します。

鋤田正義のキャリアを回顧する SUKITA : ETERNITY
6月下旬に発売!!

鋤田正義のキャリアを本格的に回顧する「SUKITA : ETERNITY」が 6月中旬に英国のACC Art Booksから刊行される。(6月14日発売予定)日本版も6月下旬に玄光社から発売される。この写真集刊行の意義は「ファインアート写真の見方」で詳しく分析しているのでここでは触れないことにする。鋤田ファンの人にはぜひ読んでいただきたい。

今回は、日本版のいくつかの特徴をいち早く紹介したい。実は、本書はオリジナルの英語版を再編集した日本語版ではないのだ。国内出版社による日本語版を毛嫌いするフォトブックコレクターは多いと思う。実は私もその一人で、洋書英語版と日本版が存在する場合、いくらテキストが日本語訳で読みやすくても絶対に洋書を購入する。オリジナルの英文を日本語に訳した本だと、どうしてもオリジナル版でのテキストと写真とのデザインの調和が崩れて、全体的にアンバランスな印象が強くなるのだ。違和感を感じるともいえるだろう。しかし、今回の「SUKITA : ETERNITY」は、コレクション志向が強い人の好みを十分に配慮している。日本版といっても、印刷は洋書と同様のベルギーの工場で行っているのだ。つまり日本版でも写真はもちろん中身は英国版と全く同じ、テキストもすべて英語表記なのだ。唯一の違いは出版情報を掲載する奥付け部分の記載のみが日本語になっているだけ。そして、英文テキストの日本語訳が小冊子として付いてくるのだ。クルマ好きの人なら、ホンダの「シビックタイプR」などの日本仕様車が英国工場で生産され輸入されている構図を思い起こしてほしい。

写真集サンプルを持つ鋤田正義。左側がACC版、右側が玄光社版。

ただし、表紙周りの仕様が若干違う。英語版は布張りで写真が貼られている。日本版はダストジャケット付きで帯も追加される。嬉しいことに日本版の販売価格は洋書より若干安くなる予定だ。
表紙の作品はともに鋤田のデヴィッド・ボウイ代表作「Just for one day, 1977」。ただし裏表紙は違う。英語版は鋤田の母親の写真、日本版はこれも鋤田のマーク・ボランの代表作「Get It On, 1972」となる。
ハード版、サイズは約33.1X257cm、約257ページで、”Early Work”, “T Rex”, “David Bowie”, “Iggy Pop”, “YMO”, “East”, “West”, “Theatre & Cinema”, “Journeys”の9章で構成。代表作、未発表作を含む多数のカラー/モノクロ図版が収録されている。アマゾンでは現在洋書の英国ACC社版の予約のみが公開されている。近日中に日本語訳小冊子付の日本版の価格が正式決定される。
アマゾンや玄光社の公式サイトで予約受付が近日中に開始される予定なので、どうか今しばらお待ちいただきたい。写真集の発送開始は6月下旬から7月上旬と思われる。

“David Bowie, Dawn of Hope, 1973” (C)SUKITA

今回、注目して欲しいのが日本版のプリント付きの限定特装版。豪華な布張りの特製ケース付きのコレクターズ・アイテムだ。

“David Bowie, Dawn of Hope, 1973”, “David Bowie, from “Heroes” Session, 1977″、”Tate Modern, 2008″ の3種類の作品が用意されている。

“David Bowie, from “Heroes” Session, 1977″ (C) SUKITA

すべて鋤田正義の直筆サイン入りだ。写真サイズは8X10″(約20.3X25.4cm)を予定している。そして3種類の仕様の限定特装版が販売予定だ。コレクター向けに全作が収録される3枚セットが70点、特にボウイ・ファンのために、”David Bowie, Dawn of Hope, 1973″と”Tate Modern, 2008″の2枚セットが90点、”David Bowie, from “Heroes” Session, 1977″ と”Tate Modern, 2008″の2枚セットが40点の2種類用意される。

“Tate Modern, 2008” (C) SUKITA

海外では、鋤田正義作品はファインアート作品だと考えられている。しかし、日本では写真全般がファインアートだとは考えられていない。したがって市場規模は欧米と比べてはるかに小さい。今回はそのような日本市場の特殊性に配慮して、国内限定販売としてかなり魅力的な価格設定を予定している。
3枚セットは税込み7万円台、2種類ある2枚セットは税込み4万円台になりそうだ。鋤田の40X50cmサイズの、エディション30の作品は約20.6万円(税込み)から、エディション完売が近い人気作品は高額だ。今回のセットはエディション数が多く、サイズが小さいものの、極めてお買い得だといえるだろう。これは、日本でも写真がファインアート作品としてコレクションの対象になってほしいという鋤田の願いが込められている。ぜひ最初の1枚のコレクションとして今回のプリント付き特装版を検討して欲しいということなのだ。

3種類のセットすべてに、モノクロのパーソナルワークが含まれる、これはボウイのポートレートがきっかけで、優れた写真作品の魅力にも気付いてほしいという思いが反映されている。現在、最終的なコスト計算が行われている。プリント付き特装版の予約受付開始の時期、受付方法、販売価格はいまのところ未定。正式決定後に玄光社、ブリッツの公式サイト、アートフォトサイトなどで発表します。

鋤田正義写真集“SUKITA : ETERNITY”
B4変型判(33.1X257cm)/上製本256ページ/翻訳小冊子付き

鋤田正義の代表的な写真ともいえるデヴィット・ボウイを代表するミュージシャンのポートレートのほか、キャリアを通して撮影してきたストリート、風景、静物などが初めて明らかになる写真集。鋤田が半生を振り返ったとき、「あこがれ」を追い求めてきたと語る作品が収録された集大成とも言えるこの写真集は、鋤田の作家性の再評価が始まると言える 1 冊です。

2021年春
NYファインアート写真市場
最新オークション・レビュー!

通常は4月に集中的に行われる大手3業者によるニューヨーク定例アート写真オークション。2020年は、前例のないコロナウイルスの感染拡大により、開催時期の変更、オンライン開催などと各社がそれぞれの手探りの対応を行った。1年の経験で、オークションはオンラインなどを有効的に活用することで十分に機能することが証明された。

今シーズンは、約1年ぶりに大手3社の複数委託者による“Photographs”オークションが4月に集中して行われた。クリスティーズは、4月6日、ササビーズは、4月7日、フィリップスは、4月8日に開催している。
今春の大手3社のオークションでは、トータル557点が出品された。コロナ禍で昨年の開催時期が変則になり、単純比較はあまり意味がないかもしれないが、昨年秋は709点、昨年春は1074点の出品数だった。平均落札率は73.2%、昨秋の67.7%より改善。ちなみに昨年春は74.4%だった。
今春は総売り上げが約969万ドル(約10.65億円)だった。昨秋は約765万ドル、昨春は約1368万ドル。2期続けて1000万ドル割れは、2003年春/秋シーズン以来となる。今春の結果は、過去5年間10シーズンの売上平均と比べても約33.8%減となる。リーマンショック後は、2009年春に大きく売り上げが減少しているが、2009年秋には急回復していた。今回の結果はコロナウイルス感染拡大が長引いていることが影響していると思われる。しかし1点の落札単価は約2.3万ドルに改善している。昨秋は約1.59万ドル、昨春は1.71万ドルだった。(過去5年間10シーズンの売上平均と比べて約12.9%減) 落札額単価の上昇は高額作品の出品が増えたことを意味する。コレクターの市場先行きの過度な不安感が減少したと解釈したい。

業者別では、売り上げ1位は約541万ドルのフィリップス(落札率80.4%)、2位は約219万ドルでクリスティーズ(落札率63.3%)、3位は209万ドルでサザビース(落札率70.3%)だった。
今シーズンの最高額は、クリスティーズ“Photographs”に出品されたマン・レイの代表作“Le Violon d’Ingres, 1924”。これは50年代に制作された作品で、落札予想価格20万~30万ドルのところ47.5万ドル(約5225万円)で落札された。本作は1995年10月5日のクリスティーズ・ニューヨークのオークション“Photographs, Part 1”で4.83万ドルで落札された作品。ちなみに1年複利で諸経費を無視して単純計算すると約25年で約9.33%で運用できたことになる。

Christie’s NY “Photographs”, Man Ray“Le Violon d’Ingres, 1924”

2番は、フィリップス“Photographs”オークションに出品されたロバート・フランクの代表作で写真集「The American」の表紙作品の、“Trolley-New Orleans, 1955”。落札予想価格15万~25万ドルのところ40.32万ドル(約4435万円)で落札された。“1956”と日付とサインが入った貴重なヴィンテージ作品。

Phillips NY, “Photographs”, Robert Frank “Trolley-New Orleans, 1955”

続いたのは、クリスティーズ“Photographs”に出品されたルイス・W・ハインの代表作“Mechanic and Steam Pump, 1921”。落札予想価格10万~15万ドルのところ27.5万ドル(約4435万円)で落札された。本作は1994年4月20日のクリスティーズ・ニューヨークのオークション“Photographs, Part 1”で9.05万ドルで落札された作品。ちなみに1年複利で諸経費を無視して単純計算すると約26年で約3.99%で運用できたことになる。

Christie’s NY, “Photographs”, Lewis Hine “Mechanic and Steam Pump, 1921”

上記のマン・レイ作品とルイス・W・ハインとの利回りの違いは、過去25年間に写真の評価基準が大きく変化したことが如実に反映されている。90年代、ファインアート写真は、他のアート分野と独立して存在していた。そこでは、撮影後数年以内に制作されたヴィンテージ・プリントが極めて珍重されていたのだ。94年のルイス・W・ハインの落札予想価格は7万~9万ドルで、マン・レイの95年当時の落札予想価格は1.2万~1.8万ドルにとどまっていた。2021年では写真は大きな現代アート市場における表現の一部だと考えられるようになった。ファインアートとして認知されているマン・レイ作品と、骨董的価値が高いルイス・W・ハインの20世紀ヴィンテージ作品の評価は逆転したのだ。ルイス・W・ハインの落札予想価格は10万~15万ドルにとどまっているが、マン・レイは落札予想価格20万~30万ドルに大きく上昇している。
市場における評価基準の変化は「ファインアート写真の見方」(2021年玄光社)に詳しく書いてある。興味ある人はぜひご一読ください。

いまニューヨーク・ダウの株価は金融緩和の継続やワクチン接種進行を背景に高値で推移している。しかしワクチン接種による感染収束や楽観的な景気回復予想など、すでに市場は良いニュースを大方織り込んでいると思われる。実際のところ、日本や欧州では感染者数が再上昇している。日本の一部都市では、まん延防止措置法が適用、欧州の一部都市ではロックダウンが再度実施されている。またこれらの地域ではワクチンの普及も遅延している。市場が楽観視するほど新型コロナウイルスの感染問題は世界規模では簡単に解決しない可能性もあるだろう。株価とアート市場とは関連があると言われている。富裕層のコレクターは株を持っているからだ。先行きに予断は許されないが、今後にコロナウイルスの感染者数が減少に転じ、株価も順調に推移すれば、高額作品の出品も増えてオークションの売り上げも回復してくると思われる。しかしリーマンショック後の2019年秋のような、急激なV字回復は難しいと思われる。

「ファインアート写真の見方」発売
写真はアート?評価基準は?
すべての疑問を解消!

ブリッツは昨年の3月から約1年間、ずっと完全予約制での営業を余儀なくされてきた。つまり、ギャラリーは基本クローズで、予約が入った時間帯のみに感染対策を行いオープンするというものだ。この間は不要不急の外出自粛が求められていたので、集客をアピールするような告知活動はできなかった。
個人的には、昨年秋に開催した「Pictures of Hope」などは、時節が反映されたとても良くキュレーションされたグループ展だったと思っている。多くの人に見てもらえなくてとても残念だった。
長年行っている講座やワークショップは、多くの人が集まって写真作品を前に議論を交わす密になりがちな場だ。これも感染防止から1年間以上に渡り開催を自粛してきた。

ギャラリーが閉まっているので、さぞかし暇を持て余していたと思われるかもしれない。実は状況は真逆で、特に昨年夏場以降は極めて忙しかった。実は「ファインアート写真の見方」(玄光社)という本の執筆をずっと行ってきたのだ。本を書こうとしたきっかけは、ギャラリー店頭で来廊者から聞かれる素朴な疑問からだった。最近、特に若い世代の人たちから、日本で写真作品が評価される理由が理解できない、教えて欲しいという質問を多く投げかけられた。年齢的には、2000年以降に成人を迎えたミレニアル世代以降の人たちだと思う。具体的な疑問は、美術館/ギャラリーの写真展での企画意図や、木村伊兵衛写真賞やキャノン写真新世紀などの写真賞の選考理由が不明などというものだった。一般の人は、ファインアートの写真は専門家だけにしかわからない難解で特別な世界だと考えるようになっていると感じた。それゆえに本書の帯のコピーは「今こそ知りたい!評価される写真の規準と値段 すべての写真ファンの疑問を解消」となっている。
そのような人たちへの説明には、とても時間がかかった。質問者の持つ知識や情報量にはかなりばらつきがあり、解説前にまず前提条件を説明する必要があったからだ。ギャラリーの立ち話では断片的な説明しかできないので、いままでは講座やワークショップへの参加を促していた。しかし、コロナウィルスの感染拡大で、それらの開催は長期に渡り自粛が求められた。
それならば、本にまとめれば需要があるのではないかと考えたのだ。調べてみると、現代アートの見方の解説本はあまたあるが、写真をファインアートの視点から系統立てて解説する本は日本ではまだ書かれていなかった。
しかし本書はあくまでも一人のギャラリストによる、パーソナルな視点の一般向けの入門書である点は強調しておきたい。世の中には様々な意見があるのは承知している。本書は市場での取引実績を基準にして書かれている。しかし、市場を重視しない考え方もある。本書に書かれたことが絶対ではなく、数多あるファインアート写真ルールのひとつにすぎないのだ。当たり前だが、研究者や学者が書いた、専門家対象の高尚な学術書の類ではない。

本のベースは、20年くらい継続して行っている「ファインアート・フォトグラファー講座」の内容だ。これは写真をギャラリーで売りたい、という写真家の人たちへの対応がきっかけで始まった。最初のうちは、質問者に対して個別に対応し、ファインアート写真の定義、マーケットの仕組み、ポートフォリオの制作方法など、海外市場での一般的な考え方を説明してきた。その後、同様の問い合わせが非常に多かったのでセミナー形式にしたのだ。
最初はプロ・アマチュアの写真家が参加者の中心だった。次第にコレクションに興味ある人、自分でギャラリーを運営したい人なども増えて内容の範囲がひろがった。本書で展開してきた考え方は、すべて現場での参加者とのやり取りを通して生まれてきた。
今回、講座初期のレジメを見直す機会があった。本書でも触れているが、時間と共にファインアート写真の評価ルールがどんどん更新され、講座内容も変化してきた事実が確認できた。特に写真のデジタル化と現代アート市場の隆盛が、従来からある20世紀写真に大きな影響をもたらした事実が再確認できた。
2010年代になると、海外市場の方法論を日本にそのまま導入するのには無理がある事実に気付いた。それまで、セミナーを継続してきたが、その内容を参考にして作品制作を継続する人がほとんど生まれなかったからだ。そこで日本独自のファインアート写真の価値基準の提示を思いついた。本ブログの読者にはなじみのある「写真の見立て」だ。本書ではその内容の一部を紹介している。

本書は、写真好きの一般の人、アマチュア・プロ写真家、コレクターなどを対象に、ファインアート写真の見方をステップアップで学べる入門書として書かれている。実はファインアート写真には、その時々の評価ルールがあり、それを学んでいくことで見方が獲得できるのだ。

しかし、決して簡単で単純なノウハウが存在していて、それを学べば誰でもすぐに理解できるわけではない。本書を読み進めればと分かると思うが、かなり複雑な内容を含み、前提とする知識の積み上げなしには理解しにくい箇所もあるのだ。私はライフワークとして一生付き合っていける高度な知的遊戯だと考えている。教養としてファインアート写真に興味のある人、コレクションに興味ある人には最適な本だと思う。

また具体例として市場で作品人気の高い写真家/アーティストの評価理由も解説している。ロバート・フランク、ソール・ライター、アンドレ・ケルテス、スティーブンス・ショア、ウィリアム・エグルストン、ヘルムート・ニュートン、リチャード・アヴェドン、アンドレアス・グルスキー、ピーター・ビアード、ヴォルフガング・ティルマンズ、マイケル・デウイック、テリ・ワイフェンバック、アレック・ソス、ライアン・マッギンレー、鋤田正義、ヴィヴィアン・マイヤー、ノーマン・パーキンソンなどをディープに分析している。

もちろん写真表現でアーティストを目指す人も意識して書かれている。現在、新型コロナウィルス感染症の影響で写真撮影や写真展開催などの創作活動の制限を余儀なくされている人が数多くいると思う。アーティスト志望者は、まさに自らを客観視して、創作活動を基本から見直す良い時期ではないだろうか。なかなか知ることのできない、作品テーマの見つけ方、成功するキャリアの秘訣、ギャラリーの写真評価方法、フォトブック制作方法なども解説しているのでぜひ参考にしてほしい。

コレクションに興味を持つ人ももちろん対象だ。作品の価値がどのように決まるかを、20世紀写真、21世紀写真に分けて解説している。具体的に何を買うか、情報収集法、指南書ガイド、コレクション展示方や収蔵方にも触れている。また過去にファインアート・フォトグラファー講座に参加した人は、受講内容の復習にもなるだろう。

本書は、4月5日に発売予定です。約352ページのかなり分厚い本になりました。ぜひ店頭で手に取ってご覧になってみてください。
https://www.artphoto-site.com/news.html

アマゾンでもご予約可能です。

出版社のウェブサイト

テリー・オニール写真展
「Every Picture Tells a Story」
会期延長が決定!

ブリッツは英国人写真家テリー・オニール(1938 – 2019)の追悼写真展「Every Picture Tells a Story」を1月15日から完全予約制で開催中だ。
しかし開催期間はずっと緊急事態宣言が継続されており、不要不急の外出が求められていた。また感染状況が一向に改善しないことから宣言は3月21日まで延長されることになった。東京では新規感染者数の下げ止まり傾向との報道もあり、現段階では21日に解除されるかは不透明な状況だ。

本展はテリー・オニールの生前に制作された、本人の直筆サイン入りの貴重なライフタイム・プリントの展示となる。一部の代表作は既にエディションが完売しており、オークションでの取り扱いのみになっている。残念ながら、緊急事態宣言により、多くのお客様に来廊を積極的にすすめることが困難な状況が続いていた。また会期終了の28日が近いことから、問い合わせが増加し、緊急事態宣言下に無理して来廊するお客様の増加も予想される。
したがって、ブリッツではいったん3月28日に会期を終了するものの、4月7日から5月9日まで、新たに約1か月程度期間を延長して写真展を開催すことを決定した。展示内容には変更がない予定だ。従って、会期末に来廊を予定していた人は、どうか無理しないでほしい。4月になり、暖かくなることで新型コロナウイルスの感染状況が改善することを心から願いたい。
完全予約制を継続するか、それとも一般公開とするかの対応は、緊急事態宣言が解除されてから検討したい。

テリー・オニール作品の人気は死後も全く衰えていない。サザビーズ・ロンドンでは2021年3月16日まで「Made in Britan」をオンライン開催している。

Sotheby’s London「Made in Britain」

これは英国を舞台に活躍しているアーティストによる、絵画、版画、写真、デザイン、オブジェ、セラミックなどの作品を販売する企画オークション。写真は26点が出品されているが、テリー・オニール作品は、エルトン・ジョン、デヴィッド・ボウイ、オードリー・ヘップバーン、ブリジッド・バルドー、ショーン・コネリー、ラクウェル・ウェルチの6作品が出品されている。
代表作の<<Brigitte Bardot, Spain, 1971>>も、ロンドンのHackelBury Fine Artが販売した16X20″の銀塩作品が出品されている。

Terry O’Neill , Brigitte Bardot, Spain, 1971, (C)Iconic Images

本作はエディションが完売しているので、欲しい人はオークションで購入するしかない。落札予想価格は5000~7000ポンド(@150/約75~105万円) 、すでに3月15日時点で8000ポンド(約120万円)のビットが入っている。

Sotheby’s 「Made in Britan」

「時間~TIME 鋤田正義写真展」
京都で開催

新型コロナウィルスの感染拡大の影響で延期されていた「時間~TIME 鋤田正義写真展」。4月3日から美術館「えき」KYOTOで開催されることが発表された。1980年3月、ボウイは広告の仕事で京都を訪れている。彼は仕事が終わった後に、鋤田を京都に招待して共にプライベートな時間を過ごしている。鋤田はロックのカリスマの鎧を脱いだ素のボウイを、京都の街並みを背景にドキュメント風に撮影。数々の名作がこの時のセッションから生まれている。電話ボックス、古川町商店街、阪急電車、旅館で写された写真などは、ボウイのファンなら見覚えがあるだろう。

2020年、鋤田はコロナ禍の京都で約40年前にボウイを撮影した場所を再訪している。展覧会タイトルのように、ボウイを通して悠久の都「京都」における、写真による時間経過の可視化に挑戦している。展覧会ディレクションは、プロデューサー立川直樹氏が行っている。会期中は、鋤田正義と立川直樹とのトークイベント開催の可能性も模索されているとのこと。しかし新型コロナウィルス感染拡大の影響で詳細は現時点では決まっていないそうだ。もし開催が決定された場合は、以下の美術館公式サイトで情報が発表される見込みだ。

以下が立川直樹氏の展覧会の紹介文。
この展覧会はその時にボウイと訪れた場所を鋤田が40年の時を超えて撮影した写真の組み合わせにより歴史や、文化、伝統、前衛が入り交じった京都の地で”時間”と題して開催される。BOWIE X KYOTO X SUKITAという時空を超えたコラボレーションは、2人のマスターの魂の交歓が結実したもので魔法のような時間に観客を誘ってくれる。(プロデューサー 立川直樹)

なお鋤田正義のキャリアを回顧する写真集「SUKITA ETERNITY」だが、こちらも新型コロナウィルスの感染拡大により出版予定が遅れている。全ての作品セレクション、デザイン、色校正が終了し、やっと印刷が開始されたところだ。残念ながら京都の展覧会には発売は間に合わないと思われる。しかし、春以降の発売時にはブリッツで記念写真展などの開催を構想中。楽しみにしていてください!

・「時間~TIME 鋤田正義写真展」
2021年4月3日~5月5日
美術館「えき」KYOTO

https://kyoto.wjr-isetan.co.jp/museum/exhibition_2104.html