キューバのシークレット・ライフ
マイケル・デウィック”Habana Libre”

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先日、マイケル・デウィックの新刊"Michael Dweck: Habana Libre"を紹介したら写真展の問い合わせが多かった。写真展は、ブリッツで12月2日(金)よりスタートする予定です。

新刊に収録されているのは、ナイトクラブのパーティー、若者のナイトライフ、スケートボーダー、ファッションショー、音楽ライブ、ビーチライフ、サーフィンなどのシーン。作品をみて多くの人は、マイアミかリオという印象を持つだろう。しかしすべて共産主義国キューバの写真なのだ。キューバと言うと、ライ・クーダとヴィム・ヴェンダース監督の「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の、古い街並みと50年代のアメリカ車が走っているというイメージを持つ人が多いだろう。
いまでも多くの住民は経済的には非常に貧乏だ。しかし、キューバの社会には違う面があるという。それはアーティスト、俳優、モデル、ミュージシャンたちの階層。デウィックが撮影したのは、西側はもちろん、キューバ内でも知られていない同国内に存在するクリエィティブな特権階級のシークレット・ライフのドキュメントなのだ。どうも実際のお金が平均以上の生活のために必要なのではなく、社会的なコネクションが重要らしい。お互いに才能を認め合った多分野のクリエイティブな人たちのコミュニティーということだろうか。
そのような人材が育った背景には、1959年の革命以来、政府がキューバ文化の振興に力を入れたことがあるようだ。本書に収録されている、"キューバは経済的には貧乏だが、人材的には豊かだ" というUNICEFのLimpias氏のコメントがそれをよくあらわしている。私はこの視点こそは、「お金がなくてもそれぞれが自分磨きをして魅力的になれば、仲間が集まってきて幸せになれる」、という不況で苦しんでいるアメリカ人へのメッセージではないかと感じている。私たち日本人にも当てはまるだろう。このあたりの事情は写真展開催の前にデウィックに聞いてみたい。

デウィックの写真集はプレミアムが付くことで知られている。"The End: Montauk"(2004年刊)の帯付き初版などは、誰が買うのだと思うくらい高額になっている、"Mermaids" (2008年刊)も価格上昇中だ。"Michael Dweck: Habana Libre"も初版限定3000部なのでフォトブックコレクターは要注意だ。なお、プリント付きの箱入り特装写真集も限定100部発売予定。収録作品イメージや値段はまだ未定。詳しい情報がわかりましたらご案内します!