エルトン・ジョン・コレクション(続報)
オンライン・オークション開催!

前回にレポートした、クリスティーズNYで開催されたポップミュージック界の巨匠エルトン・ジョンの「The Collection of Sir Elton John」セール。ライブと同時に、2月9日から月末まで中低価格帯の、アート作品、衣装/装飾品、インテリアなどのオンライン・オークション、「Honky Château」、「Elton’s Versace」、「The Jewel Box」、「Elton’s Superstars」、「Love, Lust and Devotion」、「Out of the Closet」が開催された。

全593点の出品うち写真関係は177点。そのうち約75%が落札予想価格1万ドル以下の低価格帯、25%が1~5万ドルの中間価格帯、高額価格帯の出品はなかった。ライブオークションで取り扱われた高額価格帯の作品は、落札予想価格の範囲内での落ち着いた金額での取引がほとんどだった。高額落札上位3点も落札予想価格の下限付近での落札にとどまった。しかし中低価格帯では、落札予想価格上限を超える落札が多く、特に1万ドル以下のカテゴリーにはエルトン・ジョン・コレクションのプレミアムが明らかに見られた。

今回のオンライン・オークションでも引き続きその傾向が顕著だった。特にファッション系、ポートレート系の落札が極めて好調、落札予想価格上限を超える落札が多く見られた。
特筆すべきは、エディション付き作品、モダンプリントでも、落札予想価格上限を大きく超えての取引が多く見られたことだ。作品相場を熟知しており、作品の流動性が高く他オークションで購入可能だと知る、一般のファインアート写真コレクターなら絶対に買わない高価格レベルだ。また普段はあまりに人気が高くない、ブルース・ウェバー、ハーブ・リッツのメール・ヌードも落札予想価格上限をはるかに超えて落札されていた。

Christie’s NY, Terry O’Neill, 「Elton John Performing a Handstand, 1972」

またオークションの特性上当たり前なのだが、エルトン・ジョンが所有していた、エルトン自身が被写体の写真作品は高額で落札されている。普段のオークションだとあまり人気が高くない、テリー・オニールの1975年のドジャーズ・スタジアムのライブ写真も落札予想価格を超えて落札。エルトン作品の最高額は、「Elton’s Superstars」に出品された、テリー・オニールの「Elton John Performing a Handstand, 1972」で、50.&X60.6cmサイズのゼラチン・シルバー・プリント、落札予想価格8000~12000ドルのところ、2.268万ドル(約340万円)で落札されている。

Christie’s NY, ANDRÉ KERTÉSZ, 「Melancholic Tulip, 1939」

また「HONKY CHÂTEAU」に出品されたアンドレ・ケルテス作品にも注目したい。彼のアイコニック作品「Melancholic Tulip, 1939」は、普段のオークションでも見られる25 x 20 cmサイズのゼラチン・シルバーのモダンプリント作品。落札予想価格6000~8000ドルのところ、2.016万ドル(約302万円)で落札された。これは明らかに、ファインアート写真の価値だけではなく、高い名声を誇るエルトン・ジョンが所有していたことに価値を見出した新規コレクターが購入したのだと思われる。本作のフレーム裏には「Sir Elton John Photography collection」ラベル、美術館展出品の作品ラベルが貼られていた。最高の来歴だといえるだろう。

Christie’s NY, Bruce WEber, 「Peter at my loft, NYC, 1997」

メール・ヌード系では特にブルース・ウェバーが好調で、落札予想価格上限の10倍を超える驚異的な落札も見られた。「Love, Lust and Devotion」に出品された「Peter at my loft, NYC, 1997」は、35.2X27.6cmのエディション1/10のゼラチン・シルバー・プリント。落札予想価格2000~3000ドルのところ、なんと3.276万ドル(約491万円)で落札されている。

Christie’s NY, Shirin Neshat,「Stripped, from Women of Allah, 1995」

一連のオークションで高額評価で注目された写真作品が、「Love, Lust and Devotion」に出品されたシャリン・ネスハット(Shirin Neshat)の「Stripped, from Women of Allah, 1995」。彼女は、イラン生まれニューヨーク在住のアメリカ人アーティスト。写真、ビデオ、長編映画で、抑圧的な社会で女性がいかに自由を見出すかを探求している。同作は、121.6 x 81.9 cmサイズ、エディション2/3のゼラチン・シルバー・プリント。落札予想価格3~5万ドルだったが、2.772万ドル(約415万円)での落札だった。

Christie’s NY, Radcliffe Bailey,「PINNIN LEAVES、1999」

写真関連作品での最高額落札は、「Honky Château」に出品されたラドクリフ・ベイリー(Radcliffe Bailey/1968-2023)による、111.7 x 146 cmサイズの写真コラージュ作品「PINNIN LEAVES、1999」だった。彼は、ミックス・メディア、ペイント、彫刻、写真、既製のオブジェやイメージを通してアフリカ系アメリカ人の過去、現在、未来を探求してきた米国人アーティスト。落札予想価格1~1.5万ドルのところ、9.45万ドル(約1417万円)で落札されている。2023年11月に55歳で亡くなっていることも高額落札の背景にあるかもしれない。

Christie’s NY, 「CARTIER, PLATINUM AND DIAMOND-SET ‘SANTOS OCTAGON’ WITH ONYX DIAL, REF. 2965」

その他の私物ではコレクタブルとして人気の高い腕時計が高価で落札されていた。「The Jewel Box」に出品された「CARTIER, PLATINUM AND DIAMOND-SET ‘SANTOS OCTAGON’ WITH ONYX DIAL, REF. 2965」は、落札予想価格7000~10000ドルのところ、なんと8.19万ドル(約1228万円)で落札されている。やはりスーパースターが実際に身に着けていたことがコレクターに大きくアピールしたのだろう。

(為替レート 1ドル/150円で換算)

クリスティーズ