オークションでの写真作品の最高金額が、2011年11月8日にクリスティーズ・ニューヨークで開催された”Post-War and Contemporary Art”のイーブニング・セールで更新された。最高額をつけたのは、ドイツ人アーティストのアンドレアス・グルスキー(Andreas Gursky 1955-)の1999年の写真作品 “Rhein II”。ドイツのライン川を撮影しデジタル可能された抽象的な巨大カラー作品だ。彼は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で2001年に個展を開催している世界的なアーティスト。実は、この”Rhein II、1999” は2005年~2006年にかけて、東京国立近代美術館などで開催された「ドイツ写真の現在」にも出品されていた。たぶん今回の落札分とはエディション番号が違うと思うがまったく同じイメージだ。
さてオークションでは、落札予想価格が250万~350万ドルだったところ、$4,338,500.(@80.約3億4708万円)で落札され、今年5月にシンディー・シャーマンが付けた$3,890.500. (@80. 3億1124万円)の記録を抜き去った。
実はこのオークションは写真(Photographs)のカテゴリーではない。巨大なグルスキーの写真は1点物作品としてコンテンポラリー・アート分野の扱いなのだ。ちなみに、同オークションでの最高値は、ロイ・リキテンスタイン(1923-1997)による1961年の作品で、$43,202,500. (@80. 34億5620万円)の作家オークション最高金額で落札されている。1点ものの絵画の価値は写真とはけた違いだ。
グルスキー作品の詳細は以下の通り.
作家名 ANDREAS GURSKY (B. 1955) “Rhein II、1999”
Chromogenic color print(タイプ C プリント)
Plexiglasにマウント
作品サイズ 185.4 x 363.5 cm
エディション 1/6
この作品はトータルのエディション数が僅か6点。そのうち4点がすでにMoMA、テート・モダンなど4つの有名美術館に収蔵されている。世界的な有名アーティストの代表作であるとともに、市場で出ることが極めて稀な1枚であったことが高額落札の背景にあると考えられる。 いままでの写真の高額落札はほとんどが、リーマン・ショック前だった。それが、今年になって2回も更新されたということは、金融商品の価値が揺らいでいる中でブランド作家の貴重作品は優良な資産であることを改めて印象付けた。市場の2極化が更に進んでいるのだと思う。
ちなみに高額落札された写真作品の2位以下は下記の通りになります。
・シンディー・シャーマン(Cindy Serman)
“Untitled, 1981”Ed.10 24X48inch Christie’s May,11 2011
$3,890.500.
・リチャード・プリンス(Richard Prince)
“Untitled(Cowboy), ”Sotheby’s Nov. 2007
$3,401,000.
・アンドレアス・グルスキー(Andreas Gursky)
“99 Cent II diptych ,2001” Sotheby’s London Feb, 2007
$3,346,456.