ブリッツ・ギャラリーの次回展は、20世紀英国を代表する写真家ノーマン・パーキンソン(1913 – 1990)の日本初個展 「 Always in Fashion 」となる。
ノーマン・パーキンソンは、ファッション/ポートレート分野において、20世紀でもっとも偉大で、影響力を持つ写真家の一人だと言われている。ファッション写真好きの人なら必ず彼の代表作品を見たことがあるはずだと思う。
ファッション写真の歴史を紹介する写真集には、間違いなくパーキンソン作品は収録されている。今回の展示作品に触れて、はじめて見慣れた写真がパーキンソン撮影だったと気付く人も多いだろう。
彼のキャリアを簡単に紹介しよう。1931年、ウェストミンスター・スクールを18歳で卒業。法廷カメラマンの見習いで写真の基礎を学んだのち、1934年にスタジオを開設。1935年に「ハ―パース・バザー」誌に雇われ、1940年まで同誌英国版の仕事を行っている。
彼の写真はキャリア初期から革新的といわれていた。パーキンソンは、スタジオから外に出て、ストリートや、遠隔地のエキゾチックな場所での撮影を最初に行った写真家の一人なのだ。モデルの存在にリアリティーを感じさせる彼の撮影方法は「ドキュメンタリー・ファッション」と呼ばれ注目される。
戦後は、「ヴォーグ」(1945-1960)、「クィーン」(1960-1964)などの世界的なファッション誌で仕事を手掛け、その後は「タウン&カウントリー」などの仕事を行っている。
彼の写真は、ヴィジュアル面から50年代パリのニュー・ルックや60年代のスウィンギング・ロンドン時代の雰囲気作りに関わる。「ファッション写真の父 」とも呼ばれ、その後に登場する若手写真家の撮影スタイルに多大な影響を与えている。英国人写真家では、60年代に登場した、デヴィッド・ベイリー、テレンス・ドノヴァン、ブライアン・ダフィーが有名。パーキンソンの写真には、彼ら3人の特徴だった、勢い、即興性、動きと変化がすでに取り込まれていたのだ。
今回の日本初個展では、1938年から1982年までに撮影されたモノクロ/カラーの代表作約25点を紹介する。
リサ・フォンサグリーヴスやマリー=エレーヌ・アルノーなどがモデルを務める有名ファッション写真から、オードリー・ヘップバーン、ジェリー・ホール、ザ・ビートルズ、デヴィッド・ボウイなどの珠玉のポートレートも含まれる。
すべてが作家の意思を受け継いで運営されているノーマン・パーキンンソン・アーカイブスから提供されるエディション付きエステート・プリント作品。
また2019年夏に刊行された「Norman Parkinson: Always in Fashion」(ACC刊)や、英国から輸入したポストカード類も販売される。
実は本展にはもう一つの見どころがある。ノーマン・パーキンソンのファッション・ポートレート写真と共に活躍した写真家の作品を展示する「華麗なるファッション写真の世界」も同時開催する。リチャード・アヴェドン、ジャンル―・シーフ、メルヴィン・ソコルスキー、ホルスト、ブライアン・ダフィーなどの作品展示を予定している。展示作品数はもう少し増えるかもしれない。
どうか楽しみにしていてほしい。
(開催情報)
「ノーマン・パーキンソン 写真展 」
(オールウェイズ・イン・ファッション)
2019年 10月11日(金)~12月22日(日)
1:00PM~6:00PM/ 休廊 月・火曜日 / 入場無料